2026.07.05

Surfer Interview
足立海世
波を求めて─ハワイ・ノースショアでの日々─
ハワイ・オアフ島のノースショア。世界最高峰の波が押し寄せるこの海岸に、毎冬3か月間にわたって合宿に訪れる日本人サーファーがいる。5歳でサーフィンの試合に初出場し、敗北をバネに本格的なキャリアをスタート。今年18歳を迎え、いよいよ世界の海へと踏み出す。
Beginning
サーフィンとの出会い
Q:サーフィンを始めたきっかけは?
お父さんが昔サーフィンをしていて、小さいころから海に行っていたので、気がついたらやっていました。最初は何も考えずにやっていたんですが、5〜6歳で初めて試合に出たとき、3番か4番で負けてしまって。それが悔しくて、本気でやろうと思いました。
Q:サーフィンはどんな競技ですか?
波に乗って、その乗った波の中で技をして競い合う競技です。魅力は、同じ波が1回も来ないこと。同じ海でも波によってできる技が違うし、人によって同じターンでも動きや形が異なる。そのいろんなスタイルを見ているだけでも楽しいんです。
「負けるのが悔しくて、本気でサーフィンを始めようって思いました」
Hawaii
ハワイとの縁
Q:ノースショアで練習をしだしたのはいつから?
最初に来たのは小学校3年の冬で、1週間だけでした。次のシーズンは2週間、その次は1か月と、どんどん増えていって、ここ6年ほどは3か月来るようになっています。
Q:ノースショアの小学校にも通ったと聞きましたが。
ずっと行きたいと思っていた学校で、たまたま縁があって通わせてもらえました。英語を覚えるためというのもあったんですが、ハワイでサーフィンするには地元の友達と仲良くなることが大事で、学校に行けば早く人間関係が作れると思ったんです。
サーフィンを通じて学んだこと
海外に来ることで、日本では出会えない人たちと交流できる。英語、スペイン語……さまざまな言語を話す人たちと関わる経験は、サーフィンを通じて得た最大の財産のひとつだという。
「日本にいたら、会わなかったかもしれない。海が、世界へつながる扉になっています」
Skills & Mind
技術とメンタル

Q:得意な技は何ですか?
1つに特化しているわけじゃないんですが、強みは全ての技を平均的に同じくらいできるところです。ただ全部が平均なので、その平均をもっと上げることと、何か一つ特化できるものを習得したいと思っています。
Q:今シーズンは伸び悩みを感じていると聞きました。
ハワイに来る前の大会の結果も良くなくて、今回の前半もなかなかうまくいかないことが多かったです。モヤモヤする感じが初めてだったので、最初は結構落ち込んでいました。でも、そのままずっと続けていくことで後半は良くなってきた。なぜ良くなったかはあまりわかっていないんですが、とりあえずやり続けることが大事なんだなと感じました。
Q:昨年の世界選手権はどうでしたか?
一番の目標だったジュニアの世界選手権で早々に負けてしまったのが去年の一番の反省です。試合は20分間で良い波に2本乗らないといけないんですが、自然の波は来る場所も種類も変わる。その状況判断の大切さを痛感しました。
「落ち込んで諦めるんじゃなくて、常にやり続けることが大切──それをすごく感じた一年でした」
Role Model
憧れとロールモデル
Q:憧れの選手は?
ケリー・スレーターです。世界で一番、世界チャンピオンになった回数が多い選手。ハワイに通い続けていたら、ノースショアで実際に会うことができました。ケリーの家もこちらにあるんです。
「サーフィンを上手くなりたいなら、まずたくさん練習しろ」──それを強く感じて、毎日サーフィンしています。

朝起きてご飯を食べ、サーフィンをして、昼ご飯を食べて休憩、また海へ。夜は動画チェックをして眠る。この繰り返しを3か月間続ける。波待ちが長い日は4時間ウォーターにいることもある。「もう1本でいいから乗りたいな、とずっと思っている」。日本にいるときは海から遠く、時間的な制約もあるが、それでも1日1回は必ずサーフィンする。
ハワイでの1日ルーティーン
| 朝 | 起床・朝ご飯。 |
|---|---|
| 午前 | サーフィン。波が来ない日は4時間波待ちをすることも。「もう1本乗りたいな」とずっと思いながら海にいる。 |
| 昼 | 昼ご飯・休憩。食べることも大好き。 |
| 午後 | 再びサーフィン。合計7時間前後が多い。 |
| 夜 | 夕ご飯・動画チェック・就寝。この繰り返しを3か月間続ける。 |

Future
これからの挑戦
Q:今後の目標を教えてください。
今年から18歳になるので、インドネシアなど海外の試合に出ていきます。これまでは日本の試合が中心でしたが、いよいよ世界と戦っていく年です。最終的な夢は世界チャンピオン。その夢があるから、なるまでは続けられます。
Q:競技以外でやってみたいことは?
日本中の美味しい二郎と家系ラーメンを食べて回りたいですね。ラーメンと牛乳が大好きで(笑)。ハワイでも牛乳だけは欠かさないんですが、こっちの牛乳のほうが味が濃い気がします。
「世界チャンピオンになるという夢が、原動力になっています。なるまでは、ずっと続けられる」
Cross Talk
ノースショアにて─才能と、海への執着─


ベティルー・サクラ・ジョンソン
プロサーファー / WSL チャンピオンシップツアー
「海世とはもう何年もの付き合いになるけど、ハワイに来るたびにいつも謙虚で。ちゃんと時間を使って、自分をさらけ出して練習している。そういうところが好き」

足立 海世
サーファー / 伊豆出身・18歳
「初めて会った時、何年前か分からないですけど……昔見た時から、めっちゃサーフィンうまくてすごいなって思ってました」

ベティルー・サクラ・ジョンソン
プロサーファー / WSL チャンピオンシップツアー
「海世がハワイに来ると、彼の純粋で剥き出しの才能がそのまま見える。パワーがあって、チャージする──特にパイプラインやハレイワでのライディングは圧倒的。ノースショアで時間を過ごすことの大切さを、彼はわかってる。いつも海にいて、いつも練習して、いつも本気。それがすべてを証明している」

足立 海世
サーファー / 伊豆出身・18歳
「昔、あまり(ハワイで)友達がいなかった時に、たまたま一緒になって。めっちゃ良くしてくれて、すごい嬉しかった。2歳上なんですけど、今でも会ったら普通に喋ったりします」

足立 海世
サーファー / 伊豆出身・18歳
「俺、そんなアドバイスとかいうレベルじゃないし……サーフィンの話はあんまりしないですね。でも会えば、普通の友達として話せる。それが嬉しいというか、ありがたいというか」

ベティルー・サクラ・ジョンソン
プロサーファー / WSL チャンピオンシップツアー
「これからどんな活躍をするのか、本当に楽しみ。素晴らしい人間性を持った、最高のサーファー。彼の未来が見たい」
「純粋で、剥き出しの才能」──サクラが選んだその言葉は、競技の世界でこれ以上ない褒め言葉だ。磨かれすぎていない、飾らない強さ。ノースショアで毎日波を追い続けた時間が、そのまま身体に宿っている。
そして海世は今日も、ボードを抱えて海へ向かう。雲の上の存在と「普通に喋れる」ほどの関係を築きながら、まだ謙虚に、まだひたむきに。波は、待ってくれないから。
ベティルー・サクラ・ジョンソン
プロサーファー / WSL チャンピオンシップツアー
世界最高峰のWSLチャンピオンシップツアーに参戦するトッププロ。幼少期から足立海世を知る一人。
足立 海世
サーファー / 18歳
幼少期より父の影響でサーフィンを始める。静岡・伊豆出身。小学3年生からハワイ合宿を毎年実施。日本ジュニアシーンのトップを経て、2026年よりシニアへ移行。