Mipoxの研磨フィルムは、ハードディスクドライブ(HDD)における磁気ディスクの製造工程において非常に重要な役割を担っています。この記事では、HDD製造工程に用いられるMipoxの研磨テープの特徴に着目し、その役割や重要性について詳しく説明します。

目次

  1. HDDとは
  2. HDDの基本構造と仕組み
  3. Mipoxの研磨フィルムの役割と重要性
  4. Mipoxの研磨フィルムの特徴
  5. まとめ

HDDとは

ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、最初にHDDとはどういったものなのかについて簡単に説明します。 HDDは、記録媒体の1つであり、一般的にイメージしやすいのが、パソコン等に内蔵されているものかと思います。 ですが、現代の情報社会では、SNSやIoT等が急速に普及し、巨大なデータが生成・共有され、これらのデータがデータセンターに集約されています。HDDは、このデータセンターにおいて大容量かつ高性能なデータ保存ソリューションとして不可欠であり、データの安全性と可用性を確保するために重要な役割を果たしています。

HDDの基本構造と仕組み

続いて、HDDの基本的な構造とその仕組みについて簡単に説明します。 HDDの内部は非常に精密な構造をしており、主に以下の部品から構成されています。

  • プラッタ(ディスク): データが記録される円盤状の磁気ディスクです。1枚から複数で構成されます。
  • ヘッド: データの読み取りと書き込みを行います。
  • アーム: ヘッドやスライダーを保持し、ディスク上の正確な位置に移動させます。
  • スピンドルモーター: プラッタを高速で回転させる役割を担います。
  • アクチュエータ: ヘッドを動かすためのアームを制御します。アームを高速かつ正確に移動させ、必要なデータに素早くアクセスできるようにします。
tada

HDDでは、ヘッドがディスク表面に対して、数nm~10nm程度の非常に微細な高さで浮かんでいる状態で動作します。これはディスクが高速回転することによって気流が発生し、その浮力がヘッドを持ち上げることで可能となります。
この仕組みにより、HDDは高速回転するディスクの表面に非常に近い位置に浮上したヘッドがアクセスすることでデータの読み込み/書き込みを行います。

Mipoxの研磨フィルムの役割と重要性

HDDの製造工程において、Mipoxの研磨フィルムは最終研磨工程(バニッシュ・クリーニング/ワイプ)で活躍します。この工程は、HDDの性能と信頼性に直結する極めて重要なステップです。

最終研磨工程の役割は、先に述べたように、HDDが正常に動作するためには、高速で回転するディスク上にヘッドが数nm~10nm程度の高さで安定して浮上することが必要です。微細な異物や異常突起がディスク表面に残ると、ヘッドがこれに当たり、データの損傷やクラッシュの原因となります。そのため、最終研磨工程では、製造工程や前段階で生じた異常突起や微細な異物などを除去し、数nm以下のレベルでクリーンな状態に仕上げる必要があります。

最終研磨工程における順序やプロセスの有無は各社異なりますが、Mipoxの研磨フィルムは大きく2つの役割に分類されます。まず、異常突起を研磨によって除去するバニッシュテープ。そして、バニッシュや前段階で発生した異物を取り除くクリーニング/ワイプテープが挙げられます。これらの役割を果たすことで、HDDの最終研磨工程が効果的に行われ、信頼性の高いディスクが製造されるのです。

Mipoxの研磨フィルムの特徴

今回は主にバニッシュテープの特徴に焦点を当て、詳しく説明いたします。 研磨材として使用されるのは主にアルミナと呼ばれる酸化アルミニウムです。粒度は非常に小さく、また、このアルミナは非常に高い純度を誇ります。その背景には、HDDが非常に精密な機構であるため、微量の不純物が性能や信頼性に悪影響を及ぼす可能性があるからです。

バニッシュテープは、研磨層表面の特徴によって大きく2つに分類されます。一つは均一な平滑タイプで、もう一つは多角形が無数に存在するタイプです。当社の製品群では、平滑なタイプをF-Type、多角形タイプをT-Typeと呼称しています。T-Typeには多角形中心部にくぼみと多角形の隣接部に溝が存在する特徴を有しています。これらはチップポケットと呼ばれ、研磨時に発生する研磨屑等の異物を捕集・排出する効果があると考えられています。

T-Typeの研磨フィルムに関して、当社のコア技術である「塗る」技術を駆使して、例えば、多角形のサイズやくぼみの深さ、表面粗さ等の様々な要素を調整した製品を提案できます。この様に、各社に合わせて研磨フィルムをカスタマイズし、最適な製品を提供することが可能です。

次に、クリーニングテープについて説明いたします。当社の代表的なクリーニングテープは均一な球状の粒子を用いたテープで、球状である理由は、ディスクを傷つけないようにするためです。この設計により、ディスクを確実にクリーニングし、高い信頼性を保つことができます。

また、Mipoxの研磨フィルムの特徴には、コア技術の1つである「切る」技術の巧妙な活用が挙げられます。これにより、研磨テープを製品化する際の切り口となる端面が、他社と比較して非常に高い精度であり、正確な切り口を実現できます。

テープ端面の精度が向上することで、HDD最終研磨工程での使用時に生じるテープ端面によるキズや異物付着といった問題が軽減されます。 Mipoxの研磨フィルムは、その非常に高精度な端面がクオリティの向上に寄与し、最終的には高品質な製品を提供できる一因となっています。この技術的な差別化は、顧客に対して優れたパフォーマンスと信頼性を提供する上での重要な要素です。

まとめ

Mipox株式会社は「塗る・切る・磨く」のコア技術を駆使し、研磨フィルム、クリーニング用フィルム、液体研磨剤(スラリー)を様々な分野に提供している研磨材メーカーです。
本記事でご紹介したHDD最終研磨工程に用いられるような高い精密性が要求される用途向けの製品から、一般の工業用途に至るまで、広範な製品と技術を保有しております。お客様のご要望に合わせて、当社のコア技術を駆使した製品開発から、保有する研磨機や評価機器を活かした研磨工程における最適なソリューションの提案も可能です。お悩みやご相談があれば、どうぞいつでもお気軽にお問い合わせください。