紙やすりと言えば、小学生の頃に受けた図工の授業を思い浮かべる人も多いでしょう。
しかし、紙やすりの中で実は1番人気の耐水ペーパーについてはご存知ない人も多いようです。
本記事では、耐水ペーパーの選び方や便利な使い方を製造業者ならではの視点でご紹介します!

目次

  1. 耐水ペーパーとは?
  2. 耐水ペーパーの使用用途
  3. 耐水ペーパーの水研ぎメリット
    1. 熱くなりにくい
    2. 目詰まりしにくい
    3. 削った粉が飛散しない
  4. 耐水ペーパーの番手
  5. 耐水ペーパーの用途別の選び方
  6. 耐水ペーパーの基材/砥粒
  7. 耐水ペーパーの使い方
  8. まとめ

耐水ペーパーとは?

 
※Mipoxが製造している耐水研磨紙のジャンボロール

耐水ペーパーは耐水研磨紙(Water resistant abrasive paper)とも呼ばれ、表面を塗装した物の塗膜を水に濡らしながら研磨して滑らかにし、美麗な塗装面に仕上げるために使う紙のことです。表面の汚れやサビを取るほか、すり傷のぼかし、密着性の向上、ツヤ消しなど、仕上げ面を美的・機能的に良くする目的で使います。
粒度120~3000まで多様なものがあるため、研磨する面の状況や研磨力、耐久力、強度、使いやすさなどを考慮して適当な研磨紙を選ぶ必要があります。

紙やすりの耐水タイプと言える耐水ペーパーには、水研ぎできる利点があります。水研ぎとは、やすりを水に濡らしてから研ぐことです。水研ぎの利点は、水で表面を削ったクズを流しながら研磨できる点にあり、目詰まりを起こしにくく、研磨する時に発生する摩擦熱を水で緩和することもできます。

サイズは230mm×280mmが一般的ですが、さらに小さくカットされている耐水ペーパーもあります。

耐水ペーパーの使用用途

耐水ペーパーは、木工塗装や金属塗装、プラスチック、車両の塗膜など、幅広い分野において研磨の用途で使われています。主に以下のような使用例があります。
• 金属研磨
• 車両塗装面の研磨や車のキズ補修
• 塗装前のサフェーサーの研ぎや塗面研磨
• 樹脂の汚れ落とし
• 金属素地の荒磨き、製品の凸凹をなくすため
• 鏡面仕上げの下処理
• ステンレス磨き
• 洗面まわりやトイレの掃除

耐水ペーパーの水研ぎメリット

 

耐水ペーパーは通常の紙やすりにはない特徴があります。ここでは、耐水ペーパーの水研ぎに関するメリットについてご説明します。

熱くなりにくい

やすりで研磨している際に、摩擦によって熱が生じることがあります。手で磨く際にはとても厄介で、下手をすればやけどする可能性もあります。しかし耐水ペーパーの耐水性と防水性を利用して、水研ぎを行うことで、熱は発生せず快適に削ることができます。

目詰まりしにくい

目詰まりとは、やすりの削る部分に削ったカスが詰まって削りにくくなることで、やすり掛けの際によく起こる問題です。耐水ペーパーであれば耐水性があるので、水を用いて削りカスを落としながら削ることができます。その上、水で研がなくても目詰まりのリスクが低いというメリットもあり、削る時に余計なストレスを感じなくて済みます。

削った粉が飛散しない

やすり掛けをした後の処理や掃除に困った人も多いのではないでしょうか? 細かく飛び散った粉を掃除するのはとても面倒ですし、飛散した粉を吸引してしまう恐れもあります。一方、耐水ペーパーで水研ぎをする際は、カスが水に吸収され、飛散したりバラバラになったりしません。耐水ペーパーは掃除の手間や粉を吸引する危険を大幅に減らせる優れた道具と言えます。

耐水ペーパーの番手

 
耐水研磨紙シート

耐水ペーパーの裏面には 必ず番手番号が記載されています。この番号は研磨紙に塗布されている砥粒のサイズを表しており、粗さの規格です。砥粒のサイズは、粒の大きさの上限下限の範囲が指定されており 「粒度」と呼ばれます。 数字が小さいほど砥粒が大きくて荒く、数字が大きくなるほど砥粒が小さくなり、仕上げ向きとなります。これらが研磨加工の表面の仕上がりである面精度を決める要素です。

始めのうちは数字の小さい番手を使用して、段々数字を大きくして仕上げていくと綺麗な仕上がりになります。

①#60~#100
最も目が粗いやすりです。表面をなめらかにするというよりは、形状を修正するために使用します。

②#120~#240
目は粗いですが、形状は変えなくてよいものに使います

③#280~#800
目は細かいです。塗料の密着向上のための塗装前の下地調整に使います。

④#1000~#3000
特に細かい種類のやすりです。金属の研磨、車のボディなどに使用します。

耐水ペーパーの用途別の選び方

耐水ペーパーは用途によって適切な番手が異なります。以下でそれぞれ見ていきましょう。

  1. 木材に使う時
    木材を研磨する時は、耐水性・防水性がないため耐水ペーパーは使わず、空研ぎペーパーを使用してください。

  2. 金属に使う時
    金属を削る時はおよそ240番手以上の番手を用いましょう。金属は粗いやすりを用いると傷が目立ちやすいので、木材と比べて細かい番手が必要です。大まかな研磨は240~400番手を使用し、仕上げには600~1000番手を用いましょう。

  3. プラスチックに使う時
    プラスチックは金属同様に傷が目立ちやすいのですが、木材と同じくらい柔らかいので、いろいろな種類の使い分けが必要です。使う番手の範囲は300~1000番手が好ましく、粗いやすりでは傷が付いてしまうので気を付けましょう。

耐水ペーパーの基材/砥粒

この章では耐水ペーパーの基材とその基材にのる砥粒の説明をしていきます。

  1. 基材
    ・一般的にはCwt(ウエイト):標準品、金属木工塗装面万能型、乾湿両用
    ・Cwtのソフトタイプ:曲面に最適、乾湿両用
    ・Awt:基材が薄い

  2. 砥粒
    ・C砥粒:標準品、金属木工塗装面万能型、乾湿両用
    ・A砥粒:硬質金属塗装面に最適、高研磨力タイプ、乾湿両用

耐水ペーパーの使い方

ここでは、耐水ペーパーの具体的な使い方について紹介します。

  1. 耐水ペーパーをカットする
    まずは使用する耐水ペーパーのサイズを決めて研磨するワークに合わせてカッターで切りましょう。
    手でビリビリ破いて切るのはやめましょう。掌サイズのA4の1/4サイズが人気のあるサイズになっています。

  2. 耐水ペーパーを水につける
    水が垂れるくらいに水を耐水ペーパーに含ませてください。

  3. 研磨する
    研磨で大切なのは力を入れて強く擦るのではなく、弱い力で何往復もさせて磨くことです。
    力を入れすぎると目詰まりの原因になります。

  4. 再度水につける
    研磨粉が出てきたり水分がなくなってきたりしたら、水でクズを流します。また、ペーパーが乾いてきたと感じたら再度ペーパーを水につけて研磨してください。


ぜひあわせてこちらの記事をお読みください!
研磨紙で”包丁研ぎ”をやってみた|予想以上の展開に!


まとめ

耐水ペーパーは、木材や金属のバリ取りや塗装の下地処理、錆び落としなどさまざまなDIYシーンで使用する必需品です。紙やすりの種類や特性を理解して使いこなせれば、作品の仕上がりも驚くほど違います。サンドペーパーは金属やすりに比較して耐久性が低く、使い捨ての消耗品製品です。価格が安いという利点もあり、どんな作業にも対応できるよう日頃から準備しておくと作業が効率化できるでしょう。耐水ペーパーはシンプルですが、使い方次第で万能なアイテムへと変貌します。
DIYで家具を自作するもよし、石を削ってアクセサリーにするもよし、プラモデルをスタイリッシュに仕上げるもよし!耐水ペーパーはさまざまなニーズに応えてくれます。