ここ数年、パワー半導体デバイスが非常に大きな関心を集めております。その中でもSiC(シリコンカーバイド)やGaN(窒化ガリウム)といった結晶材料が注目されており、ウェーハを作製するための高品質な結晶が求められています。

プロセス済みSi結晶ウェーハ.png
(画像=プロセス済みSiC結晶ウェーハ)

さて簡単に“高品質な結晶”と言いましたが、結晶の品質というものは何で決まるのでしょうか?表面の傷などはもちろんですが、その他で重要なものとして結晶に含まれる『欠陥』の数があります。結晶の欠陥とは一体どういったものなのでしょうか?それを理解するには結晶がどのようにしてできているかを考える必要があります。
辞書で結晶という単語を調べてみると『分子や原子が規則正しく並んだもの』というような説明がされています。
例えて言うと、同じ形、サイズのレゴブロックを順番に並べて作ったかたまり。これが結晶のイメージです。雑に作ったり、急いで作ったりすると、ブロックがうまくはまらなかったり、ずれたりして変な形になってしまいます。これが、結晶に欠陥が入った状態です。
ブロックが正しい位置にいない状態なので、隙間ができたりします。このブロックのズレやできた隙間を『転位』と呼びます。大まかなイメージでは転位=欠陥と思って差し支えありません。  

 

(a)きれいに積まれたブロック。 欠陥のない結晶のイメージです。
b

この転位、ブロック遊びでは大きなズレに見えますが実際の結晶では原子や分子レベルの小さなズレなので、普通は直接目で見て確かめることができません。でも、デバイスの性能を決定する重要な要素なので、メーカーの人達は「どうしても見たい!」と思っているのです。
調べる方法としては結晶を溶かしてできた穴を調べたり(エッチング)、レントゲンのようにX線で撮影したりする方法(X線トポグラフィ)もあるのですが、大事な結晶を壊さなければいけなかったり、特別な施設を利用することが必要だったりと、結晶中の転位を評価するのは一筋縄では行きません。 当社ではこれらの手法とはまた違った形で転位を評価する画期的な装置をご案内できます。 次回の研磨ラボで詳しくご紹介いたしますのでお楽しみにお待ち下さい。