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日曜大工という言葉の代わりによく使われるようになった「DIY」という言葉、何の略かご存知ですか?「Do It Yourself」の略で、直訳すると「あなた自身でそれをやりなさい」となります。

昔は住空間に不便を感じたら、ご近所の大工さんを呼んでひと仕事をお願いするのが一般的でしたが、最近は家具を自作したり、プチリフォームを行ったりする姿が当たり前のように見られるようになりました。

それと同時に、こんな悩みを耳にする機会も増えています。

「買ってきた木材をどのようにサンディング(やすりがけ)したらよいか分からない」「そもそもサンディングは必要なのか」――。

サンディングに関してはさまざまな見解がありますが、もし興味を持っていただいたのならぜひ実際に試していただければと思います。本記事では、サンドペーパーの選び方やサンディングのポイントについて解説します。

目次

  1. 木材のサンディングはなぜ必要なのか
    1. ①細かいキズを取り除くため
    2. ②塗装の密着を良くするため
    3. ③バリ取りを行うため
  2. サンドペーパーの選び方
    1. 材質の違いで選ぶ
    2. 粒度の違いで選ぶ
  3. ハンドサンディングのポイントや注意点
    1. ハンドサンディングのポイント
    2. ハンドサンディングをする際の注意点
  4. まとめ

木材のサンディングはなぜ必要なのか

木材をサンディングする理由には大きく3つあります。

①細かいキズを取り除くため

木材が工場で加工される工程でついた細かい傷などを取り除くためです。製材所ではたくさんの木を大型のバンドソー(ノコギリのような機械)でカット後、モルダーと呼ばれる機械で材料の4つの面を決められたサイズや形に加工します。

②塗装の密着を良くするため

塗料やニスがすでに塗られた家具を塗装し直す場合などは、古い塗装を専用の薬品で剥がした後にサンディングして下地を整える必要があります。この作業を抜きに新しい塗装をしてもすぐに剥がれてしまい、ニスも染み込まないため、重要な作業と言えます。

③バリ取りを行うため

パテ埋めや補修した表面や木材の切断時にできるバリ(ささくれ)を取るのにサンディングが必要となります。このほか、材料の角の面を取って丸く滑らかにしたり、材料の付き合わせた表面の段差を平らにしたりするのにも重宝します。

サンドペーパーの選び方

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サンドペーパーを選ぶ際の決め手となるのが材質と目の粗さ(表面の粒子の大きさ)です。

材質の違いで選ぶ

材質は種類によって若干用途が異なり、大まかに分類することができます。

ガーネット

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ホームセンターなどでよく見かける薄茶色のサンドペーパーは、ガーネットという材料で作られていることが多く、価格がお手頃でハンドサンディングに向いています。粒子の硬さや耐久性はそれほどでもないのですが、削れなくなったらすぐに新しいものに交換できるのがメリットです。

【ガーネット製サンドペーパーの特徴】

  • 薄茶色
  • 耐久性が低い
  • ハンドサンディング向き
  • 手軽に使える

酸化アルミニウム
ガーネットの次によく目にする材質は、黄色のサンドペーパーである酸化アルミニウムです。一般的に酸化アルミニウムはガーネットに比べて値段が少し高めですが、耐久性があるのが特徴です。

【酸化アルミニウム製サンドペーパーの特徴】

  • 耐久性がある
  • ハンドサンディングと電動サンダーで使用可能

セラミック
最近注目されているのがセラミック製のサンドペーパーです。セラミックの砥粒は非常に硬く、より短い時間でたくさんの量をサンディングするのに向いています。ベルトサンダーやディスクサンダーとの相性がとても良いです。

【セラミック製サンドペーパーの特徴】

  • 硬く耐久性に優れている
  • 短い時間でたくさんサンディングできる
  • 電動サンダー向き

シリコンカーバイド
一般的にシリコンカーバイドは黒色や灰色をしており、ガーネットやアルミナよりさらに硬い粒子であるため、金属の塗装下地処理に適しています。目詰まりやほこりの飛び散りを防ぐために水と一緒に使って使用できることから、耐水ペーパーとも呼ばれています。木工作業では塗装後のポリッシュ(仕上げ)に使う場合があります。 【シリコンカーバイド製サンドペーパーの特徴】

  • 黒色や灰色
  • 粒子が非常に硬い
  • 金属の塗装下地処理に適している
  • 木工作業では塗装後の仕上げに使う場合がある

網目状研磨シート
網目状研磨シートは、網戸にやすりがついたような見た目が特徴です。材質はすでに紹介したアルミナが主で、セラミックやシリコンカーバイド製のものもあります。集塵機を使うとほこりを網目から吸い取り、サンディング中にほこりがほとんど出ません。寿命も長く、古い塗装を剝がすのに向いています。

【網目状研磨シートの特徴】

  • アルミナ・セラミック・シリコンカーバイド製
  • 集塵機と併用することでほこりが出ず、耐久性向上
  • 古い塗装を剥がすのに使用可能
  • 値段は高め

粒度の違いで選ぶ

サンドペーパーを選ぶ際の2つ目の決め手となるのが粒度です。パッケージに表記されている数字は番手といい、木工用だと2桁や3桁、細かいものになると4桁の数字のものがあります。

80〜180番
まず覚えておいていただきたいのが、低い数字のものほど目が粗く、深いキズや凸凹を削るのに向いており、一度にサンディングできる量が多くなります。その逆に数字が大きくなるほど目が細かくなり、仕上げのサンディングに向いています。

では一体何番を選んだらいいのでしょうか。結論から述べると、ほとんどの場合は80番からスタートして180番で仕上げて終わるのがおすすめです。スタートの番手を選ぶのに迷った場合には、サンディングしたい材料の切り端や仕上げ対面の裏面でまずテストのサンディングをしてみてください。表面のキズがどれくらい目立たなくなるかを見ましょう。

240番
上の項目で紹介した80〜180番のチョイスは、主に天然の木材の場合です。例外もありますが、人工材料のベニヤなどをサンディングする場合は、目の細かい240番を使うのが理想です。仕上げで使うベニヤのほとんどが元々滑らかな表面に仕上げられており、また表面のベニヤの部分が薄く、目の粗いサンドペーパーを使うとあっという間に表面が削りとられてしまうためです。下地用ではない仕上げのベニヤの表面を仕上げる際には、240番を使って慎重に少しだけサンディングするのがおすすめです。

400番、600番、1500番
ポリウレタン塗装をして家具の表面をコーティングする際などは、一度塗りの後に400番で軽くサンディングし、二度塗りの後に600番で同じようにサンディングをして仕上げ、1500番くらいで仕上げたりもします。

<番手を上げるコツ>
番手を上げていく際には、一気に上げるのではなく徐々に上げていきましょう。目安としては、使っているサンドペーパーの数字の半分の数字を足した番手となります。例えば、80番の次は80の半分の40を足して120番(80+40=120)を、120番の次はその半分の60を足して180番という感じに徐々に上げていきます。

ユーザーの中には、「80番から一気に180番とか240番に上げれば時間の節約になるのでは」と考える人もいるでしょう。しかし結果はその逆になります。一気に上げるとより長い時間、細かいサンドペーパーを使うことになり、労力と時間を無駄にしてします。またサンダーにも負担をかけることになります。

繰り返しになりますが、サンドペーパーの番手を選ぶ際には80番でスタートしてから番手を徐々に上げ、180番や240番でフィニッシュするのが基本になります。

ハンドサンディングのポイントや注意点

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ここでは、ハンドサンディングをする際のポイントや注意点について解説していきます。

ハンドサンディングのポイント

大きく分けて二つの方法があります。一つは手でサンドペーパーを押さえながらサンディングする方法で、もう一つはサンディングブロックなどを使ってサンディングする方法です。

①手や指で押さえてサンディング
一番手軽で簡単にできますが、圧力がかかっている部分にだけ力が集中するので、均一にサンディングしにくいというデメリットがあります。その反面、曲面をサンディングするのには適しています。どちらにしても長時間サンディングをしていると指や手が大変疲れるため、広い面積をサンディングするのには向いていないと言えます。230mm×280mmのサンドペーパーをそのまま使うと大きすぎるので、折りたたんだりカットしたりして使うことをおすすめします。

②サンディングブロックを使う
サンドペーパーをブロックに巻いたりのり付けしたりして固定し、サンディングする方法があります。このやり方は指や手だけを使うより疲れにくく、圧力が平らな面に均一にかかるので安定したサンディングができます。

ハンドサンディングをする際の注意点

①木目と平行にサンディングをする
木目と直角や斜めにサンディングすると、サンディングの時点では見えないキズがニスを塗った後に目立ってしまう可能性があります。

②強く押し付けてサンディングしない
摩擦で発生する熱がホコリの目詰まりを起こし、それが固まるとダマになってサンドペーパーの表面に固着し、新たなキズを材料の表面につけてしまいます。力を入れ過ぎずにサンディングをし、ペーパーの表面のほこりを定期的に取り除いてあげましょう。

以上がハンドサンディングする際のポイントや注意点です。。ハンドサンディングのメリットは機械でできない細かい部分をサンディングでき、削る量をコントロールできることです。その反面、広い範囲をサンディングするのには時間がかかるので、シーンに応じて電動のランダムオービットサンダーとハンドサンディングを使い分けるのが良いでしょう。

まとめ

サンディングは地味な工程ですが、手を抜かずにやることで仕上がりが断然違ってくるので、ぜひ気長にやってみてください。