半導体製造工程では、プローブカードを用いてICチップの機能テストを行い、不良品を選別しています。
このテスト工程は品質確保の要であり、完成品の歩留まり率の改善に大きく貢献するとされています。プローブカードは高価な治具であるため、プローブ針を定期的にクリーニングして寿命を延ばすことが、半導体テスト業者にとって重要な課題となっています。

本記事ではプローブカードの基本的な構造や種類のほか、プローブカードの寿命を伸ばす効果があるマイポックス製クリーニングシートをご紹介します。



目次

  1. プローブカードとは
  2. プローブカードの寿命を伸ばすには
  3. プローブ針の種類と対応する研磨シート
  4. まとめ

プローブカードとは

プローブカードの役割

プローブカードは半導体製造工程でウェーハの品質を検査する際に用いられる道具で、配線基板の上に多数の精密プローブ針を装着しています。検査の際はウェーハ検査装置の上にプローブカードを搭載し、上から下方のウェーハに接触させて検査を行います。電気回路がオープンかショットかの判別のほか、電流、抵抗値と周波数も測定できます。このようなテスティングは半導体チップスの品質確保および品質向上につながります。

プローブカードの構造

一般的なプローブカードは、丸い配線板の上に多数の精密プローブ針を装着した構造になっています。針の装着方式の違いによって、垂直型、カンチレバー、MEMSなどの種類があります。

垂直型 配線用基板に針ブロックを取り付ける。プローブ配列自由、メンテナンス容易
カンチレバー 配線用基板に直接針を取り付ける。コスト、狭ピッチ対応
MEMS 配線用基板上に針を形成(フォトプロセス)。精密度、狭ピッチ対応

プローブカード製造業者がカードを開発する際は、コスト、針のピッチ、測定される対象物へのダメージなどを考慮して型を決めます。

プローブカードの種類

プローブカードの種類と言えば、主にプローブ針先の形状の種類を指します。プローブ針には色んな種類があり、検査対象物の電極か端子の形状によって最適な針種類が変わります。代表的な針先形状は丸いタイプ(Round)、フラットタイプ(Flat)、クラウンタイプ(Crown、Pogo pin)などです。

針種類 特性 形状
丸い 測定対象へのダメージが少ない round.png
フラット 検査対象に面で接触 round.png
クラウン(Pogo Pin) 凸形状の対象に接触 round.png

プローブカードの寿命を伸ばすには

ICチップスの検査では多数のプローブ針をウェーハチップスの端子に同時に各々接触します。針の寿命はウェーハチップス端子との接触回数によって摩耗さはりをとりますが、大体数十万回~数百万回の接触によって寿命を終えます。

* クリーニング効果の一例

 
クリーニング前後の比較写真

毎日に大量に品質検査を行うため、もし針が大きく摩耗され、または異物付着という異常が発生すれば検査結果が間違ってしまいます。針への付着物を除去すれば針の寿命を延長できるので、定期的なメンテナンス(クリーニング)が非常に重要です。

プローブカードとクリーニングシートの構成図
研磨方法のイメージ
プローブピンがクリーニングシートに接触する動き先端がU字形のピンが上からシートの中ほどまで下降して接触し、下りきった瞬間に先端の汚れがシート側へ移り、上に戻ると再び汚れが付着した状態に戻るループアニメーション


プローブ針の種類と対応する研磨シート

検査対象物の電極や端子の形状によって最適な針の種類が変わるように、クリーニングに適した研磨シートも針の種類ごとに異なります。マイポックスでは、それぞれの針種類に対して高いクリーニング効果を発揮する研磨シートを取り揃えています。針先端だけでなく側面まで含めた異物除去効果が高く、クリーニング時の針の摩耗が少ないシートほど適しているといえます。針の摩耗が大きいほど、寿命は短くなってしまうためです。

マイポックスクリーニングシートの構造・種類

PET type
先端 ◎ 側面 △ 使用温度 120℃ 針先摩耗性 High
・ラッピングフィルム+粘着層の構造
・カンチレバー、フラット形状品に対応
・強固な付着物の除去に適した構造
PET対応針形状
推奨ピン形状:カンチレバー、フラット
PETタイプ構造
PF3 type
先端 〇 側面 〇 使用温度 120℃ 針先摩耗性 Low
・フラットクッション上に研磨層を形成
・低ダメージ高効率なクリーニングが可能
・カードタイプ、針先形状を選ばずに適用可能
PF3対応針形状
推奨ピン形状:カンチレバー、ラウンド、ニードル、MEMS
PF3タイプ構造
SWE type/NWE type
先端 〇 側面 ◎ 使用温度 120℃ 針先摩耗性 Low
・凹凸クッション上に研磨層を形成
・低ダメージ高効率なクリーニングが可能
・ラウンド、ポゴピン形状に適した構造
・NWEシリーズ:低塩素タイプ
SWE/NWE対応針形状
推奨ピン形状:ポゴ、MEMS 他
SWEタイプ構造 SWEタイプ構造
NWEタイプ構造 NWEタイプ構造
SWF type(耐熱強化タイプ)
先端 〇 側面 ◎ 使用温度 150℃ 針先摩耗性 Low
・SWE typeの耐熱性を大幅に向上(〜150℃)
SWF対応針形状
推奨ピン形状:ポゴ、MEMS 他
SWFタイプ構造
BC3 type
先端 〇 側面 △ 使用温度 80℃ 針先摩耗性 Low
・ラッピングフィルム+クッション粘着層の構造
・低ダメージ高効率なクリーニングが可能
・カンチレバー、ラウンド形状に適した構造
BC3対応針形状
推奨ピン形状:カンチレバー、ラウンド
BC3タイプ構造
Gel type
先端 〇 側面 ◎ 使用温度 180℃ 針先摩耗性 Very low〜Low
・シリコーンエラストマーにSiC研磨材を分散
・摩耗や傷のないクリーニングが可能
・シリコーンの優れた耐熱性
・多彩なピン形状に対応
Gel Type対応針形状
推奨ピン形状:ラウンド、フラット、ポゴ、MEMS
Gelタイプ構造

まとめ

マイポックスでは、PET・PF3・SWE/NWE・SWF・BC3・Gelなど幅広いラインナップの研磨シートを取り揃えており、プローブ針の形状や検査環境の温度条件に応じて最適な製品をお選びいただけます。適切なクリーニングシートを選定することで、針先の摩耗を抑えながら安定した検査精度を維持し、プローブカードの寿命を延ばすことにつながります。

マイポックスのクリーニングシートは世界各国の半導体製造・テスティング・パッケージング業界で愛用されています。製品選定に関するご相談やお問い合わせは、マイポックス各地域営業窓口までお気軽にご連絡ください。


記事No,48


■よくある質問(FAQ)

Q1. なぜプローブカードのクリーニングが重要なのですか?

A. プローブ針には検査時に金属片や酸化物などの異物が付着します。
これにより接触抵抗が変化し、測定誤差や誤判定の原因となります。
定期的なクリーニングにより接触安定性を維持し、歩留まり向上につながります。

Q2. プローブ針の寿命は何で決まるのですか?

A. 主に接触回数による摩耗と異物付着が寿命を左右します。
数十万〜数百万回の接触で摩耗が進行し、形状変化や導通不良が発生します。
適切なクリーニングにより摩耗進行を抑制できます。

Q3. プローブカードの種類によって何が違うのですか?

A. 垂直型・カンチレバー・MEMSなど構造が異なります。
それぞれコスト、対応ピッチ、精度、メンテナンス性が異なり、用途に応じて選定されます。
特に微細化が進む半導体ではMEMS型の重要性が高まっています。

Q4. 針形状(Round・Flat・Crown)で何が変わるのですか?

A. 接触方式とダメージ特性が変わります。
Roundは低ダメージ、Flatは面接触で安定、Crownは凹凸対応に優れます。
検査対象の電極形状に応じて最適な形状が選ばれます。

Q5. なぜ研磨シートの種類を使い分ける必要があるのですか?

A. 針の形状や付着物の種類によって最適なクリーニング条件が異なるためです。
強い除去力が必要な場合と、低ダメージが求められる場合で選定が変わります。
適切なシート選定が寿命延長と精度維持の両立につながります。

Q6. プローブ針の摩耗を抑えるポイントは何ですか?

A. 過度な研磨を避け、適切な粒度・構造のシートを選ぶことが重要です。
また、クリーニング頻度の最適化により摩耗と汚れのバランスを管理します。
工程設計としての“最適メンテナンス条件”が鍵になります。