キッチンから始まるIHの不思議

ご家庭で使われるIHクッキングヒーターは、コイルに交流を流して磁場を生み、鍋自体に渦電流を起こして発熱させる仕組み。火を使わずに効率よく加熱できるため、安全性と省エネを両立する技術として広く普及しています。この“金属そのものが発熱する”現象は、実は最先端のものづくりにも応用されているのです。

磁界

ものづくりを変えるIHのチカラ

工場の現場では、炎を直接当てずに金属部品を加熱できる誘導加熱が、品質と効率の両面で注目されています。非接触加熱のため部品が汚れにくく、温度上昇も狙った場所に瞬時に集中させられるので、大型ギアから精密電子部品まで柔軟に対応可能。装置はコンパクトながら再現性の高い温度制御が行え、ロボットとの相性も良く、自動化ラインの構築に貢献します。火炎を使わないためCO₂排出や火傷リスクを減らせる点も、現場の環境改善に直結します。

ロボット

世界が注目する市場とトレンド

誘導ろう付け市場は2032年までに約1.9億米ドルに達すると予測され、アジア太平洋地域が最大の市場になる見通しです。EVや軽量化のニーズが高まる中国・インド・日本・韓国などで採用が急増し、欧州ではサステナブルな製造やインダストリー4.0への投資が追い風に。北米でも自動車・航空宇宙向けの再投資が進み、誘導加熱の需要が伸びています。

IH

EV×IHが切り拓く未来

電気自動車の普及によって、アルミや複合材など新素材の接合や熱処理が求められています。非接触で局所加熱できる高周波誘導加熱は、バッテリー周辺や電子部品への影響を抑えながら加工できるため、EV製造に不可欠な技術です。高周波誘導加熱機市場は2033年までに5.5億米ドル規模に拡大すると予測され、自動車産業がその成長を牽引します。省エネとCO₂削減に貢献する点でも、EVのサステナビリティと親和性が高いといえるでしょう。

EV

まとめ

IHクッキングヒーターでお馴染みの誘導加熱が、ものづくりの現場やEVの未来を支える柱になりつつあります。火を使わない安全性、狙った部位だけをすばやく加熱できる効率性、そして省エネ性。この三つの魅力がグローバル市場で評価され、アジア・欧州・北米で急速に普及しています。製造工程の改善やEV部品の加工に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。高周波誘導加熱の可能性を、ご一緒に広げていきましょう。

電気自動車のパワートレイン構造図、EVシルエット
(画像=電気自動車のパワートレイン構造図、EVシルエット)