マイポックスは2024年1月、デバイスウェーハに対応した常温接合サービスを開始しました。このサービスは、高精度なアライメント技術を利用することで、従来の接合技術が抱えていた位置ずれの課題を克服し、産業界の新たな可能性を開くものです。本記事では、その技術の特長と、現在の対応状況についてご紹介します。
目次
±0.2μmを実現する6軸アライメント機構
一般的な接合技術では、平面方向の位置合わせのみに依存していたため、接触時の位置ずれを防ぐことができず、精密な作業には限界がありました。
マイポックスでは、真空チャンバー内で使用可能な特殊なピエゾアクチュエータを用いた6軸方向のアライメント機構を採用しています。これにより、±0.2μmという高い位置合わせ精度を実現し、より高度な常温接合を可能にしました。
可動型Arビームソースとナノ接着層で接合の幅を拡大
この技術の特長は、可動型のアルゴン(Ar)ビームソースを使用している点にもあります。従来の固定型ビームソースとは異なり、ウェーハ表面を均一に活性化処理できるため、接合強度のばらつきを最小限に抑えることが可能です。
さらに、Siナノ接着層ビームソースも適用できるため、一般に接合が困難とされるイオン結晶性の材料にも対応しています。中間層としてSiスパッタ方式を採用することで、イオン結晶性の材料でも良好な接合を実現しました。多種多様な組み合わせの接合が可能となり、幅広いアプリケーションの拡大に貢献しています。特にSiCウェーハの接合ではこの方式が多く用いられており、近年増加しているアプリケーションをリードしています。
Si-FABにより電極を伴う接合でも絶縁性を確保
この取り組みはSi-FABにも対応しています。ArやN2を用いたビーム照射時にSi原子を同時に照射することで、Siリッチな表面を生成し、電極を伴う接合においても絶縁性を確保することが可能です。
これは半導体業界だけでなく、電子機器や宇宙航空、自動車産業など、多くの先端技術分野において重要な進展といえます。
最新の対応状況|4つの接合方式に対応
サービス開始以降も設備と技術の拡充を進めており、高精度アライメントを伴う接合は、現在6インチを対象に以下の4つの方式に対応しています。デバイスの耐熱温度や求められる接合強度、電極接続の有無などに応じて、最適な方式をお選びいただけます。
今後は、2027年ごろに新たな接合装置の導入を予定しています。導入後は、接合サイズをチップから12インチまで、高精度アライメントを4・6・8・12インチまで広げ、特徴の異なる2台の装置から接合内容に応じてより適した装置を選べる体制となる見込みです。新しい装置では、純粋な活性化処理時間を当社従来装置比で約1/4に短縮できる見込みです。
接合後の界面検査にも対応
接合界面に残った微細なボイド(空洞)や剥離は、放熱性の低下や製品寿命の短縮につながるため、接合後の評価が欠かせません。しかし、従来の赤外線(IR)透過検査では、金属膜や不透明基板、SiCなど赤外線を通さない材料の界面は観察できませんでした。
マイポックスでは、ノードソン社製の超音波顕微鏡「C-SAM® D9650」を導入し、こうした材料の接合界面もサンプルを壊さずに評価できます。12インチウェーハにも対応しており、ボイドの位置を特定したうえで精密研磨による断面解析まで、まとめてご相談いただけます。
関連記事:
接合界面のボイドを非破壊で可視化|ノードソン製超音波顕微鏡「C-SAM D9650」導入と12インチ対応ソリューション
まとめ
マイポックスの常温接合受託サービスは、6軸ピエゾアクチュエータによる±0.2μmの高精度アライメントと、可動型Arビームソースによる均一な活性化処理によって、位置ずれやばらつきを抑えた精密な接合を実現しています。Siナノ接着層やSi-FABを活用することで、イオン結晶性の材料や電極を伴う接合にも対応しています。現在はプラズマ活性化接合や金属拡散接合、ハイブリッドボンディングもお選びいただけるほか、接合後の界面検査もあわせてご相談いただけます。
マイポックスは、単に製品やサービスを提供するだけでなく、技術革新を通じて社会に貢献し、持続可能な未来を支える基盤づくりを目指しています。接合方式の選定や試作のご相談など、お気軽にお問い合わせください。
記事No,140
