はじめに|根本悠生選手とのスポンサー契約について
2024年4月26日、Mipox株式会社はレーシングドライバー・根本悠生(Yuki Nemoto)選手とのスポンサー契約を締結しました。一見すると、当社の主力事業である「塗る・切る・磨く」とモータースポーツは無関係のように思われるかもしれません。しかし、モータースポーツおよび自動車産業は、表面処理技術と密接に関わっており、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)などの先端素材において研磨加工の重要性がますます高まっています。
本契約は、次世代モビリティの進化に向けて当社の研磨技術をさらに深化させていく上で、非常に意義のあるものと捉えています。根本選手が参戦しているSUPER GTやFanatec GTの理解を深めるため、社員が現地でのレース観戦・応援も実施しました。
根本悠生選手プロフィールとこれまでの軌跡

基本情報 氏名:根本 悠生(Yuki Nemoto) 生年月日:1996年9月22日 出身地:東京都 5歳で電動ゴーカートを始め、16歳で四輪レースデビュー。トヨタの育成プログラムを主席で修了し、以降はイタリアGT選手権や欧州GTシリーズで活躍。現在は日本人初の欧州ファクトリードライバーを目指し、国内外で奮闘中。
主な戦歴 2020年:Italian GT Sprint Championship チャンピオン 2020年:スーパー耐久 ST-Xクラス チャンピオン(富士24時間含む) 2022年:Italian GT Endurance シリーズ チャンピオン 2023年:Fanatec GT World Challenge Europe Sprint Cup Silverクラス フル参戦
根本選手のコメント Mipox様の「塗る・切る・磨くで世界を変える」という理念に深く共感しています。このパートナーシップを通じて、モータースポーツの世界だけでなく、自動車産業の進化にも貢献できることを誇りに思います。
レースシリーズの紹介|SUPER GTとFanatec GTの違い
SUPER GTとは? SUPER GTは、日本を拠点に開催される人気のGTカーシリーズです。レースはGT500とGT300の2クラスで構成されており、前者は高性能マシン、後者は市販車をベースにしたマシンが参戦します。トヨタ、日産、ホンダといった国内の主要自動車メーカーがエントリーしており、富士スピードウェイや鈴鹿サーキットなどの国内有名サーキットを舞台に開催されます。レース距離は300kmから最大1000kmに及ぶ耐久形式で、戦略性とスピードの両立が求められるシリーズです。
Fanatec GT World Challengeとは? Fanatec GT World Challengeは、ヨーロッパ、アジア、アメリカを舞台に開催される国際的なGTカーシリーズです。GT3規格の市販車をベースにしたマシンが使用されており、ドライバーは「プロ」「プロアマ」「アマチュア」といったクラスに分かれて参戦します。レース形式も多様で、1時間のスプリントレースから24時間の耐久レースまで幅広く設定されている点が特徴です。スパ・フランコルシャン、モンツァ、シルバーストーンなど、世界的に有名なサーキットで開催され、国際的な注目を集めています。
両シリーズの違い(比較表)
項目 | SUPER GT | Fanatec GT World Challenge |
---|---|---|
開催地 | 日本中心 | 世界各地(欧米・アジア) |
車両規格 | GT500/GT300 | GT3規格 |
レース形式 | 耐久レース(300~1000km) | スプリント/耐久の混在 |
参加メーカー | トヨタ、日産、ホンダなど | 欧州の自動車メーカーが中心 |
当社社員による現地応援レポート
レース観戦の概要 Mipoxでは、社員を対象に観戦希望者を募り、下記レースを応援しました: 2024年8月3日~4日:SUPER GT(富士スピードウェイ) 2024年8月24日~25日:Fanatec GT(岡山国際サーキット)
現地観戦で感じた“技術のリアル”
多くの社員にとって、モータースポーツの現地観戦はまさに「未知の世界」でした。
しかし、根本悠生選手によるわかりやすく熱意ある解説のおかげで、レースの構造や車両の特徴、そして技術的な違いについて理解が深まりました。
GT500とGT300の性能差や戦略性、市販車ベースと専用マシンの設計思想の違いなど、画面越しでは気づきにくい“現場のリアル”を体感できたことは、社員にとって非常に貴重な経験となりました。
ピット見学で味わった臨場感
さらに、ピット内での燃料補給やタイヤ交換の様子も、数メートルの距離から間近で見学。
マシンがピットレーンに滑り込む音、メカニックの無駄のない動き、そして数秒で完結する作業の緊張感と精密さ——まさに“瞬間の芸術”でした。
その場に立ち会った社員からは、「まさか研磨がここで関わっているとは思わなかった」という声も上がりました。
タイヤ交換時のホイールや車載ディスプレイ、電動モーターなど、実際に私たちの製品が活用されている領域を知ることで、製造現場と最先端モビリティとの“技術的なつながり”を肌で感じる機会となりました。
「ただ速く走る」だけでは語れないモータースポーツの奥深さ。そして、それを支える無数の技術の積み重ね。
現地観戦は、社員にとって“自社技術の社会的意義”を再認識する貴重な体験となりました。
MipoxのCFRP研磨技術とモータースポーツへの貢献
CFRPとは?
CFRP(炭素繊維強化プラスチック)は、「軽くて強い」ことを特徴とする次世代の複合素材です。
高い剛性と耐久性を持ちながらも軽量であるため、自動車や航空機、スポーツ用品、医療機器、建築材料など、さまざまな分野で活用が進んでいます。
さらに、CFRPは以下のような特性を持っています:
- 導電性や耐熱性
- 自己潤滑性(摩擦が少なく滑らかに動く)
- 低熱膨張率(熱によって膨張しにくい)
- X線透過性(医療・検査用途に適する)
これらの利点がある一方で、CFRPは複数の素材が組み合わさった構造のため、「削る」「磨く」といった加工が非常に難しいという課題があります。特に、従来の研磨紙や研磨布では毛羽立ちが生じたり、研磨材自体がすぐに劣化してしまうといった問題が発生していました。
こうした課題に対し、MipoxではCFRP専用の研磨材「KULTRA」を開発しました。 この製品は、ダイヤモンド砥粒と特殊コーティング技術を組み合わせており、CFRPの繊維構造を壊すことなく、効率よく高精度に加工することが可能です。すでに複数の量産現場でも導入が進んでおり、高品質な加工の実現に貢献しています。

自動車分野でのMipox製品の活用
Mipoxの製品は、自動車の各種部品において以下の用途で使用されています
用途 | 使用製品 |
---|---|
エンジン部品研磨 | VARIOFILM |
サッシュ溶接バリ取り | DRZD |
アルミホイール仕上げ | NEW Z |
ドアノブ成形研磨 | NRWJ |
塗膜異物除去 | RRCC、WRAC、WRAF |
EVモーター研磨 | WTCC |

今後に向けて|持続可能なモータースポーツの実現へ
モータースポーツとカーボンニュートラルの関係性
一見すると、モータースポーツは「スピードを競うためにエネルギーを大量消費する産業」と捉えられがちで、カーボンニュートラルとは相反する存在のように見えるかもしれません。
しかし実際には、モータースポーツは次世代モビリティ技術を実証・開発する“走る実験室”として、軽量化・電動化・省エネ化といった革新技術の最前線に位置しています。 車両の性能向上や環境負荷の低減といった社会課題に対し、現場での実践を通じてリアルな解決策を生み出し続けているのです。
Mipoxが担う役割
Mipoxは、「塗る・切る・磨く」の表面処理技術を通じて、このようなモータースポーツの技術進化を支えています。 特に、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)やアルミといった軽量素材の研磨において、精密加工・量産適応性・品質安定性といった観点から高い貢献を果たしています。
これは単なるスポーツ支援ではなく、自動車業界全体の「軽量×高性能×環境調和」の実現を支える技術連携であり、社会全体のモビリティ革新に直結する取り組みです。
次なる未来へ
今後もMipoxは、モータースポーツという技術革新の現場で培ったノウハウを活かし、根本悠生選手とともに次世代モビリティの未来へ挑戦を続けてまいります。
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