「たい焼きは一丁焼きに限る」なんて、聞いたことありませんか? 一つ一つ金型で丁寧に焼き上げるあの製法、実は製造業の世界にも共通点があるんです。たとえば、自動車などの座席部材。ウレタンを発泡させて成型するには、上下に分かれた重たい金型をあらかじめ温めておかないと、発泡時にムラが出たり、製品精度に影響することがあります。上下に分かれた重たい金型をじっくり温める必要があります。その工程に、当社では今、“誘導加熱(IH)”という新しいアプローチを提案しています。

現場は過酷、加熱に時間もかかる…
ウレタン発泡の金型成形では、ウレタン液を金型に注入し、所定の温度で発泡・硬化させる必要があります。このため金型自体を事前に加熱しておくのが一般的で、多くの現場では加熱炉(トンネル型や金庫型など)を使って金型を60〜80℃前後に保温しています。 加熱にはガス炉が使われることが多いものの、炉の構造が大がかりになることも少なくありません。ライン全体が長くなり、炉内温度のムラも発生しやすく、加熱時間やエネルギー効率が課題となっています。 また、炉からの放射熱で現場の作業環境が非常に暑くなるという声も多く、近年は作業者の快適性やエネルギーコスト、CO₂削減の観点から、よりスマートな加熱手法への移行が求められています。

スマート加熱の切り札 ― 誘導加熱(IH)
当社が提案する誘導加熱(IH:Induction Heating)は、金型内部に電磁誘導による渦電流を発生させ、金属自体を自己発熱させる非接触型の加熱技術です。従来のガス加熱のように炉全体を温める必要がなく、加熱が必要な部分だけに熱を集中できるため、省エネかつ効率的な熱処理が可能になります。 ウレタン成型用の金型加熱においても、以下のような効果が期待できます:
- 🔥 短時間昇温 — 金型温度を数分で加熱
- ⚡ 省エネ設計 — 必要部位だけを効率加熱
- 🌱 CO₂削減 — ガス不使用で環境配慮
- 🎯 精密温調 — 熱ムラを抑えるスポット加熱
特にアルミ製の金型との相性がよく、昇温スピードや温度保持性にも優れています。さらに、当社ではCAE(電磁界・熱解析シミュレーション)を活用し、金型形状に応じた最適なコイル設計を行うことで、温度分布や加熱効率の最適化を図っています。

「低温」でも効果あり? それがIHの実力
「誘導加熱って高温加熱のイメージ。60℃~70℃程度じゃ意味ないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。でも実は、IHは低温領域でも高効率に加熱できるのがポイント。しかも、外部ではなく金型が直接発熱するため、表面だけ温まるようなムラも少ないのです。 さらに、金型の上下をIHコイルで挟み込むことで、左右均等な温度分布が実現可能。品質を安定させる上でも大きなメリットになります。

CAEのトライアルをご提供します
「導入に興味はあるけど、いきなり設備投資するのは不安」という方のために、当社では金型図面を活用したIH加熱のCAE(シミュレーション)をトライアルしています。事前に加熱特性を可視化し、課題や効果を明確にすることも可能です。設計段階からのご相談にも対応していますので、まずはお気軽にご相談ください。

最後に
ウレタン成型の現場に、IHという選択肢。“たい焼き”のように、1つずつ丁寧に、効率よく、環境にもやさしく。そんな新しい発想を、私たちは技術でカタチにしていきます。 「今の加熱方法、もっと良くならないかな?」 そんなモヤモヤを感じている方は、ぜひ一度、当社のIHソリューションを体感してみてください。