ガス炉をIHに変えると現場が“涼しく”なる理由
「真夏の工場はサウナどころか灼熱地獄だ」――そんな声を、現場から耳にすることは少なくありません。特にガスを燃料にした乾燥炉や焼入れ炉のそばは、立っているだけで汗が噴き出すほどの熱気。ラインを通るたびに立ちくらみや頭痛に悩まされる人もいます。水分補給や送風機だけでは追いつかず、熱中症で倒れるリスクは常に隣り合わせ…。実はその“暑さの元凶”はガス炉にあるのです。炉全体を高温に保つ仕組みのため、熱が周囲にダダ漏れし、部品を乾燥させるどころか作業者まで蒸し焼きにしてしまっています。

IHがもたらす“ピンポイント加熱”の力
もし“部品だけをピンポイントで加熱できる”技術があったら? それが IH(誘導加熱) です。IHは金属自体を直接発熱させる仕組みで、炉全体を熱風で満たす必要がありません。
- 部品はしっかり加熱できるのに
- 周囲の空気はほとんど熱くならない
このシンプルな違いが、現場環境を劇的に変えるのです。 IHは電磁誘導によって金属内部に渦電流を発生させ、対象そのものを発熱させます。外から炎や熱風を当てるのではなく、金属自身を“ヒーター”に変える仕組みです。 その結果、
- 必要な部品だけに熱を集中できる
- 炉全体を熱する必要がなく、省エネ&省スペース
- 周囲への放熱が少なく、作業環境が涼しい
といったメリットが得られます。 わかりやすく言えば、ガス炉はオーブン型、IHは電子レンジ型。オーブンは部屋まで熱くしますが、レンジは食品だけを加熱します。IHはまさに“工場版電子レンジ”で、必要な金属部品だけを的確に加熱できるのです。

夏場の労災リスクを減らす「設備更新」
熱中症は個人の努力で防ぎきれるものではありません。どんなに水分補給をしても、炉の放熱で作業場そのものが灼熱では限界があります。実際に「午後になると体調を崩す社員が続出する」という声もあります。 だからこそ、熱源をガスから電気へ切り替えることが、根本的な解決につながります。さらに、省エネ補助金の対象となるケースも多く、導入コストの負担を抑えながら設備更新を進められる点も大きな後押しです。

粉体塗装の乾燥でも大きな成果
IHの強みは、粉体塗装の分野でも証明されています。たとえば従来のガス炉で40分かかっていた乾燥が、IHでは20分に短縮。ラインスピードが上がり、残業がゼロになった事例もあります。さらに炉長をコンパクトにできるため、工場レイアウトの自由度も向上。加えてCO₂排出量も大幅に削減でき、省エネと脱炭素の両立を実現しています。 これは単なる効率化ではなく、「人が倒れない安全な現場」と「持続可能な工場経営」 を両立させる取り組みです。

Mipoxの取り組み
Mipoxは粉体塗装の乾燥に強みを持ちながらも、それだけにとどまりません。高周波焼入れや予熱、乾燥工程など、ガス炉に頼ってきたさまざまな工程をIHに置き換えるソリューションを展開しています。CAEシミュレーションによる事前検証や、部品形状に合わせて設計できるフレキシブルIHコイルの開発など、現場ごとの課題にフィットした提案が可能です。 「ガス炉の暑さで困っている」 「熱中症リスクを減らしたい」 「省エネと脱炭素に本気で取り組みたい」 ――そんな悩みにIHは応えます。

まとめ
- ガス炉は“暑さ・非効率・CO₂排出”のトリプル課題を抱えている
- IHは「部品だけを加熱」するから、省エネで涼しい作業環境を実現できる
- 粉体塗装の乾燥で実績があり、焼入れや予熱など幅広い工程に応用可能
- 熱中症対策は、作業者の我慢に頼るのではなく、設備そのものを変えることから始まる