IHクッキングヒーターや炊飯器でおなじみの誘導加熱(IH)は、実は工場でも注目の技術です。IHは金属などの導電体を非接触で加熱する方式で、コイルから発生する磁場で物体の内部に渦電流を生じさせ、その抵抗熱で加熱します。火を使わずに狙った場所だけを素早く温められるので、省エネでクリーン、しかも制御が簡単です。今回は、Mipoxが提案するIHが製薬現場でどんな価値を生み出すのか、身近な例を交えてご紹介します。

製薬工程が求める“非接触”と“クリーン”

ワクチンなどを詰めたバイアル瓶は、ゴム栓の上からアルミキャップをかぶせて密封します。従来の熱風や接触式ヒーターでは加熱ムラや清掃の手間が問題でした。IHならアルミキャップだけを均一に加熱でき、わずかな時間で封止が完了します。装置が瓶に触れないためコンタミネーションの心配が少なく、GMP対応や省エネにもつながります。
もう一つの例が、洗浄や滅菌用の金属配管。配管全体をヒーターで温めると熱が逃げて作業環境も悪化しますが、IHなら配管そのものに渦電流を流し内部から発熱させるため、必要な区間だけを効率良く加熱できます。短時間で温度を上げ下げできるので、洗浄→加熱→冷却の工程がスムーズになり、省エネと作業性の両立が期待できます。

バイアル

IHが身近で使われている意外なシーン

IHは工場だけのものではありません。ジャムやジュースの瓶の内蓋に使われるアルミ箔のシールは、IHで瞬時に溶着されることで漏れや異物混入を防ぎます。美容液や点眼薬など、小型容器のキャップシールにも同じ仕組みが使われています。IHなら接触しないので衛生的で、力も要らずに均一な封止が可能です。また、自動車や家電の金属部品を局所的に焼きばめする加工でもIHの「必要な場所をピンポイントで加熱できる」特長が重宝されています。

アルミ箔シール

Mipoxが目指すIH活用の未来

誘導加熱は「非接触」「短時間」「省エネ」「クリーン」という現代の製造業にとって魅力的なキーワードを兼ね備えています。メールでも触れられていたように、バイアル封止や配管加熱はもちろん、医薬品や食品業界での新たな用途を探る動きが出ています。Mipoxでは、既存ラインに手軽に組み込めるIH機器や自動化への提案を通じて、お客様の課題解決に貢献していきます。家庭でIHクッキングヒーターを使うのと同じように、製造現場でもIHが当たり前の存在になる日も遠くないでしょう。
さらにIHは制御性が高く自動化ラインと相性が良いポイントも持ちます。出力や温度の調整が簡単で、従来のヒーターよりメンテナンスの手間が少なく消耗品も減らせます。医薬・食品向けのIH装置はメーカーごとに様々な工夫が施されていますが、原理は共通なので特許侵害を心配する必要はほとんどありません。重要なのは、加熱対象や生産ラインに合わせて周波数やコイル形状を最適化すること。その点でもMipoxは豊富な実績とノウハウを持っています。あなたの現場でIHの力をどう活かせるか、一緒に考えてみませんか。

IH