自動車・建機・家電など、あらゆる製品の塗装品質を支える「電着塗装」

その品質を決定づけるのが、前処理工程と塗膜調整での研磨作業です。 この記事では、電着塗装の概要から不具合の原因、研磨材の選定ポイントまで、現場目線で詳しく解説します。

電着塗装 その概要とメリット

電着塗装(カチオン電着塗装)は、製品(ワーク)を塗料槽に浸し、電気の力で塗料を均一に析出させる塗装方法です。複雑形状でも安定した膜厚が得られ、作業効率・耐食性・環境対応性に優れることから、以下の分野で広く採用されています。
自動車部品 建設機械・農機具 家電製品の内部パーツ 金属製品全般 また、水溶性塗料を使用することで、VOC排出量の抑制や人体・環境への負荷軽減にも寄与します。

電着塗装の作業工程

脱脂:表面の油分や汚れを除去
皮膜処理:リン酸亜鉛処理などで密着性向上
電着塗装:塗料槽に浸漬し、電流で析出
水洗:余分な塗料を純水等で除去
乾燥・焼き付け:塗膜を加熱硬化

なぜ研磨が重要なのか前処理不備による不具合

電着塗装の品質は、前処理の精度に大きく左右されます。特に以下の不具合は、異物残存・表面粗さの不均一などに起因することが多く、研磨工程が重要です。

(不具合内容)
塗膜剥がれ
ピンホール・ブツ
塗装浮き・腫れ

(主な原因例)
密着不良、異物残存
塗膜内への異物混入
研磨粉やリントの混入
表面に残った錆や油分、不適切な粗さ

電着塗装における研磨材の活用シーンと製品提案

①【前処理工程】異物除去・密着性向上に
推奨製品:SUWF-DLM(フィルムマジック)
粒度:#240~#400
特長:ホコリ・バリ・油分除去と同時に表面粗さを均一に整え、塗料の密着性を高める
メリット:安定した下地作りと不具合防止

②【電着後工程】微細な「ブツ」除去・塗膜調整に
推奨製品:WRAF-DDSM
粒度:#320 / #600 / #800
用途:塗装表面に発生した軽微な異物や粗さを均一にし、上塗り工程の仕上がりを向上
粒度選定の注意:粗すぎると傷、細かすぎると作業効率低下

特徴・技術解説:マイポックス フィルム研磨材

製品名及び特長
SUWF 靭性の高い研磨材。目詰まり少なく高耐久
WRAF 研削性に優れたフィルム基材
WTCF 微細番手に対応。仕上げ研磨に最適
※リント(繊維屑)混入を防ぐリント対策品もございます。ご指定可能です。

研磨工程の注意点 リント・研磨粉の管理

研磨作業中に発生する以下の物質が、塗膜不良の要因となります
研磨粉(研ぎカス)
研磨材交換時の繊維(リント)
これらは塗膜内に混入すると「突起=ブツ」の原因となります。
防止策として、研磨後のエアブロー・洗浄工程の徹底が必須です。

まとめ|塗装品質を支えるのは、確かな前処理と研磨技術

電着塗装は、美観・耐久性・防錆性すべてに関わる重要工程です。
そしてその基盤を支えるのが、確実な前処理と仕上げにおける研磨材の活用です。
研磨材の選定や課題解決はMipoxへご相談ください製品仕様・使用環境・塗装条件に応じた最適な研磨材をご提案します
サンプル依頼・技術相談もお気軽にどうぞ。