光電融合技術には、生成AIの実現のためのデータセンター、5G通信網などの発展に更なる技術開発と需要が見込まれております。NTT株式会社の構想のIOWNなど日本企業が発信拠点となった技術が、最先端の半導体メーカー、ソフトウェア企業の注目を集めて次世代技術が積極的に開発されております。光ファイバーは、基礎というべき技術であり、弊社の研磨技術も次世代の開発の一端を担っております。

光回路+サーバーのCG(光が流れるデータセンター)
(画像=光回路+サーバーのCG(光が流れるデータセンター))

目次

  1. なぜ光電融合技術が注目を集めているか?
  2. IOWN(アイオン)とは
  3. 光ファイバーの需要増

なぜ光電融合技術が注目を集めているか?

世界の各地で、生成AI向けにデータセンターの建設が進んでいますが、データセンターに必要な電力は膨大なものになっています。計算に必要なGPUなどのチップを乗せたボードは更に大きく性能向上を計っており、計算だけではなく冷却にもまた多くの電力が使用される結果となっています。そこで、消費電力を減らすためにデータを通す電線自体の消費電力が課題となってきており、データ転送の回路自体を電気から光に変える技術が大きな注目を集めております。また、光による利点は消費電力だけではなく、高速のデータ転送速度にあり、光技術により転送距離を問わない設計が可能になり、必要な計算能力だけ使用するなど効率的な使用が出来るようになります。技術的には実用段階を目指す段階にあり、PCボードの内部パーツとして光端子が接続される時代がすぐそこまで来ております。

チップ横に光モジュールを配置した概念図
(画像=チップ横に光モジュールを配置した概念図)

IOWN(アイオン)とは

NTT株式会社の提唱の次世代ネットワーク構想です。Innovative Optical and Wireless Networkの略で、光技術を駆使して低遅延、低消費電力、大容量、高品質なネットワーク構成を目指しています。技術を利用して様々なサービスが提案されており次世代光技術として紹介されています。「光技術をありとあらゆる所に」、ということで通信業者の通信網はすでに光ネットワークとして確立し、既に実現している技術ですが、更に装置の内部まで全て光でのやりとりに変更するという野心的な構想になります。5Gネットワークもそうですが、量子コンピューター、データセンターなど光技術の使用範囲を更に広げる技術開発を行っております。研究開発の側面が強い技術ですが、最先端のAIデータセンターで必要とされる実用的な技術で近年注目されており、国内だけでなく世界的企業の参加も増えており大きな注目を集めております。

具体的技術としては、データセンターでの実用化技術としてCPOパッケージが注目されています。

CPO(Co-Packaged Optics)と呼ばれデータセンター内の既存の近距離電気配線を補完する技術になります。

CPOパッケージ 従来構造

上記図のように、既存データセンターでは、ボードの外に光の受光機と変換装置が一体になったモジュールを取り付けて、光ファイバーをつなぎ外部とデータ情報のやり取りを行っております。そのため、集積回路とモジュールまでの間の電気回路による遅延があり、また大容量のデータを転送にかかる電気消費が大きくなっている課題があります。

CPOパッケージ

従来の構造と比較して、ボード内に光ケーブルが入りよりチップとの近距離でデータをやり取りしていることが特徴です。

電気信号から光に代わることで、電気と比較して帯域幅の大幅な増加と低遅延であること、集積回路のGPUなどのアイドリングタイムを少なくすることから、特にAIにおける処理の大きな改善の見込みがあります。

  • 生成AIのスケーリングにおける低コスト化
    データセンター内の光ケーブルの長さは1mから数百メートルに延伸する一方、ミッドレンジの電気配線と比較して5分の1に消費電力が抑えられる可能性があります。

  • AIモデルの学習の高速化
    開発者は、従来の電気配線と比較して、帯域幅が広くなり、低遅延でのデータのやりとりが可能になるため、複数集積回路、GPUなどを連携させ、最大5倍高速で大規模言語モデル(LLM)を学習できる可能性があり、標準的な LLM の学習にかかる時間が3ヶ月から 3 週間に短縮し、大規模なモデルを扱えるとともにパフォーマンスの向上を図ることができます。

光ファイバーの需要増

AIによる電力消費の増大と大容量のデータのやり取りが求められており、光ファイバーはデータ送信ケーブルを置き換えようとしています。次世代光ファイバーの実用技術として帯域幅が大きく、低遅延で距離を選ばない光によるデータ転送の実現に向けて、すぐそこまできている段階にあります。 弊社製品は光ファイバーの端面の仕上げ研磨に使用されており、データ通信のエラーを防ぐための高精度な研磨が必要とされており、弊社製品も合わせて進化を求められ技術開発を行っております。