今年も愛知国際展示場にて技能五輪全国大会が開催され、2025年10月16日、18日と現地に赴き、会場へ訪問してきました。
マイポックスが製造・販売している技能五輪向け高精度やすり「カーボナイトG3」、「ユーロハイブリッド/Euro Hybrid」 をご使用いただいている企業の指導員に御礼と激励を伝えるとともに、猛スピードで機械パーツを仕上げていく白熱した様子を観戦してまいりました。
技能五輪全国大会 概要
開催期間:2025年10月17日(金)〜10月20日(月)
※機械組立て職種は先行開催
会場:愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)ほか、愛知県内15会場
参加規模:全42職種・約1,025名(原則23歳以下の青年技能者)
主催:中央職業能力開発協会/厚生労働省/愛知県
本大会は、全国の青年技能者が「技の日本一」を競う国内最大級の技能競技会です。
日本のものづくり文化を支える“職人技”を広く社会に発信するとともに、次代を担う若手人材に努力目標を与え、技能の重要性と継承の意義を啓発する場として開催されています。
機械組立て職種の特徴
「機械組立て」は、機械・装置を構成する部品をやすりによる手仕上げから、組立・調整に至るまで一貫して行う、ものづくりの原点といわれる職種です。
加工精度・平面度・組立精度のすべてが手の感覚に委ねられ、図面を“形にする力” が試される競技でもあります。
第63回大会では、約60点の部品のうち主要8部品(118面以上)を手仕上げで加工し、空気圧で駆動する「連続穴あけ加工装置」を完成させる課題が設定されました。
削る・測る・組むという一連の工程を通じ、±0.001mm単位の精度 と作業手順の正確さが同時に求められる高度な技能が競われます。
私の訪問体験・気づきポイント
①会場の雰囲気
昨年私が訪問したA日程とは違い、B日程は一般の来場者も観戦に来られていたこともあり非常に多くの人々が行きかう状況の中、ものともしない選手たちの緊張感が漂っており、集中力がひしひしと伝わってきました。
工具が並び、やすり・測定器・部品が整然と配置されており、それらを的確に使い分けパーツを仕上げていく様は圧巻の一言でした。
②競技の流れ・作業プロセス
今年の競技時間は6時間30分です。選手はまず部品のフライス痕をやすりで削り落とし、やすり痕に変えていく基準出しからスタート。
弓ノコでのパーツの切断や大まかな形状だし、丸穴を角穴へ変えていく切削加工、平やすりでの面取り加工や表面仕上げなど、図面の寸法が示された公差内での手仕上げ加工を行っていき制限時間の大半はパーツの加工に費やされます。
残りの30~40分で一気に組立て・空気圧系統の調整が行われ、動作確認・不具合調整など最後まで油断はできません。
③私が注目した技術・ポイント
やすりがけやケガキなどの基本動作の丁寧さ・正確さはもちろんのこと、
仕上げ加工において±0.001mmレベルの精度を出すためには、やすりの “当たり” 具合は極めて重要で選手自身の思った通りの切削が行えるかはやすりの性能がモノを言います。
選手によって使うやすりの種類、当てる角度、力の入れ方、仕上げでは微妙な違いがあり、経験による “手感の差” も出ていると感じました。
訪問を通じての学び
今回の大会では、機械組立て職種の競技ブースに加え、加工前後の部品サンプルや組立て後の装置展示も行われていました。
そこでは「カーボナイトG3」をはじめ、用途に合わせて形状を加工したやすりが多数紹介され、
スタッフによる実演では、作業内容に応じてやすりを削り、角度をつけて最適な形状に調整するなど、現場での工夫が紹介されていました。
同じ一本のやすりでも、使い方や加工次第で性能を最大限に引き出せる──
一言でいうなら、「工具と技能の融合が真価を発揮する現場」でした。
現場で培われた創意工夫こそ、製品を支える力であると改めて感じました。
また、当日は団体訪問の学生たちも多く来場し、スタッフの説明に熱心に耳を傾けていました。
デジタル化が進む中でも、“手で仕上げる技術”が競技として継承され、若い世代に刺激を与えていることは非常に印象的です。
ものづくりの現場には、データや自動化では置き換えられない「手感覚」「工夫」「精度への執念」が息づいています。技能五輪を通じて、その価値を次世代へとつなぐ重要性を実感した訪問となりました。
まとめ
今回の技能五輪全国大会を通じ、日本のものづくりを支える若き技能者たちの情熱と努力、そしてそれを支える指導者・企業の姿勢に改めて感銘を受けました。
競技会場では、わずかな寸法差にも妥協しない精度への追求や、手作業による繊細な仕上げ技術など、日々の鍛錬の積み重ねが“技”として結実する瞬間を数多く目にしました。
マイポックスのやすり製品が、こうした高精度な競技の現場で活用されていることに大きな誇りを感じるとともに、
今後も 「技能を支えるツールメーカー」として、品質と開発から技能継承に貢献していく姿勢をより一層強めてまいります。
一言でいうなら、技能五輪は“技術と情熱が交わる原点”です。
若い世代が「手仕事の魅力」や「精度を極める楽しさ」に触れ、ものづくりの未来を担うきっかけとなるよう、
マイポックス呉ベースでは、安定した品質と技術革新の両立に引き続き取り組んでまいります。
