カーボンロッドで使われるカーボンとは、一般的にはアクリル繊維を焼成して製造した炭素繊維(カーボンファイバー)の俗称です。そのカーボンファイバーに樹脂を含浸させたプリプレグをさらに熱硬化したしたものがCFRP製品と呼ばれています。

CFRPの切断と研磨および塗装工程は、常に品質向上とコストダウンの改善を進めており、その度に生産工程の改善をされています。使用される原材料や塗装工程が変更された場合に、研磨品質を保てなくなる場合があります。そのため、工程の変更に合わせた研磨材を選ぶ必要がでてきます。

カーボン素材は「軽くて強い」という特徴から、身近なところでは、釣竿・ゴルフクラブ・テニスラケット・競技用自転車部品などのレジャー・スポーツ分野や、航空機・人口衛生といった最先端の分野まで、多種多様な用途で使用されています。

この記事では、CFRP素材のコストが削減できる効率の良い加工方法と、製品に付加価値を与える塗装の研磨方法についてご紹介いたします。

目次

  1. CFRP素材加工の研磨工程
    1. 切断と切断部分の研磨工程
    2. 表面の研磨工程
  2. 塗装の研磨工程
    1. 塗装研磨工程
  3. Mipox研磨材のご紹介
    1. レジンクロスベルトSRCJ-B
    2. 不織布研磨材NL

CFRP素材加工の研磨工程

現在、最も主流なロッド素材として24 tonもしくは30 tonのカーボンが使用されています。CFEPの生産工程では、カーボンをマンドレルというテーパーのついた鉄の真に巻き付け、テーピングで空気抜きを行います。

その後、加熱処理で樹脂を硬化させ、脱芯・セロ取り・切断(寸法切り)・外径調整(グリップ部分)を行ったものが釣竿の原型となり、ここで、弾性・しなり・反発力など、ロッドの機能面のほとんどが決定されます。
切断と研磨の工程で、生産効率を上げコストを下げる目的で、次の研磨材が使用されています。

カーボンロッド
(画像=カーボンロッド)

切断と切断部分の研磨工程

電着ダイヤブレードでCFRP素材を切断します。ダイヤブレードのダイヤ電着部分は標準品では5mm程度ですが外周から20mmとすることによって、CFRP素材を切断後にダイヤブレード側面で切断面を同時に研磨できるようにします。
そうすることによって、後工程の砥石による切断面の研磨時間を削減できます。そして価格の高いダイヤブレードの両側面が研磨に使用できますので、ダイヤブレードの耐久性も上がりコストを削減することができます。

①電着ダイヤブレード#100 305x3(ダイヤ部分20mm)
x25.4

②砥石GC60L 405x150x228.6

表面の研磨工程

レジンクロスベルトの使用量を減らしてコスト削減する方法としては、研磨工程の番手を1番手省略して工程を設計します。レジンクロスベルトの粒度規格の順番は、~180番・220番・240番~となり、数字大きくなるほど研磨材の大きさが小さくなり、研磨仕上げ面が細かくなります。180番よりスタートする場合は220番を省いて240番で研磨できます。1番手省略して研磨しても前工程の粗い研磨目を消すことができ、1工程を省略できます。

  1. レジンクロスベルトSRCJ-B S-16 #180 100x1850TN
  2. レジンクロスベルトSRCJ-B S-16 #240 100x1850TN
  3. 不織布研磨材NLF VF-HS 305x100x25.4
  4. 不織布研磨材NLF VF-H 305x100x25.4
  5. 不織布研磨材NLF VF-S 305x100x25.4
  6. 不織布研磨材NTB VF 150x1850

塗装の研磨工程

1本数千円から数十万円もする高価な釣竿までさまざまなロッドがあり、塗装は製品の美観を整えて、付加価値をつける意味で最も重要な工程です。

別の観点から言えば、塗装は「軽くて強い」カーボン素材の弱点を補う加工ともいえます。カーボンは曲げやしなりに強く復元力も十二分に持っていますが、決まった用途に合わせた設計で製造がなされているため、想定していない方向からの衝撃には弱い性質があります。さらに紫外線の影響を受けて劣化しやすい素材でもあり、それらの弱点を補うためにも塗装を行います。
塗装の研磨工程は次の製品を使用します。
塗装工程も同様に、研磨工程の番手を1番手省略して工程を設計するとコスト削減ができます。

塗装研磨工程

  1. レジンクロスベルトSRCJ-B S-16 #320 100x1850
  2. レジンクロスベルトSRCJ-B S-17 #400 100x1850
  3. レジンクロスベルトSRCJ-B S-17 #600 100x1850
  4. レジンクロスベルトSRCJ-B S-19 #800 100x1850
  5. 不織布研磨材 ユニウール #500/#800/#1500

Mipox研磨材のご紹介

レジンクロスベルトSRCJ-B

レジンクロスベルトSRCJ-B
特徴非鉄金属や非金属研磨用。布基材に合繊を使用して強度を柔軟性があります。
布基材Jw
研磨材炭化ケイ素CC
接着剤フェノール樹脂

不織布研磨材NL

特徴:不織布を重ねて圧縮した製品で研削力と被削材への追従性があります。バリ取りやヘアライン仕上げなど幅広い分野で使用できます。
基材:不織布
接着剤:フェノール樹脂

弊社は今ある研磨材だけでなく、お客様のご要望に合わせた研磨材製品の改良・開発も行っております。お客様のご要望に真摯にお応えして、カスタマーサクセスにつながるご提案をさせていただきます。