目次

  1. 接合のトレンドと技術動向
  2. パワーデバイスとハイブリッドボンディング
  3. 各種デバイスの熱問題
  4. まとめ

はじめに

次世代の半導体製造やMEMS開発において、異種材料の3D積層・集積化はデバイス性能を左右する最重要テーマです。しかし、多層化・微細化が進む中で、従来の300〜400℃を超える熱圧着プロセスは、材料間の熱膨張係数(CTE)差によるウエハの反りや界面剥離、クラックといった熱ダメージを引き起こし、歩留まりを低下させる深刻な技術課題となっています。

こうした背景から、現場では熱負荷を極限まで抑えた「接合温度の低温化・室温化」への要求が切実なものとなっています。本稿では、「LTB-3D 2026」での最新動向を踏まえ、製造・開発の最前線で直面する課題解決への技術的アプローチについて、現場視点で解説いたします。

LTB-3D 2026 看板
LTB-3D 2026は2026年5月、金沢にて開催されました。

接合のトレンドと技術動向

全体を通した潮流として顕著であったのは、デバイス構造への熱影響を徹底的に排除する「200℃以下の低温化および常温接合(RT Bonding)」へのシフトです。これまでの熱圧着プロセスに代わり、表面活性化接合(SAB)や原子拡散接合(ADB)、順次型プラズマ活性化(SPA)といった技術が台頭しています。

ある発表では、超高真空環境下でキセノン(Xe)やアルゴン(Ar)のイオンビームを用いて表面を活性化させ、酸化膜を介さない強固な共有結合を室温で実現する自動ウエハ接合プロセスが注目を集めました。

注目技術:常温接合を支える3つのアプローチ
1
SAB
表面活性化接合
酸化膜を除去し原子レベルで直接接合
2
ADB
原子拡散接合
金属薄膜を介して低温で強固に接合
3
SPA
順次型プラズマ活性化
プラズマで表面を活性化し接合強度向上

原子レベルでの界面制御によって常温での接合を可能にするこれらの技術は、裏面電源供給ネットワーク(BSPDN)などの次世代アーキテクチャを実現するための不可欠な基盤プロセスとなりつつあります。

パワーデバイスとハイブリッドボンディング

低温化のトレンドを受け、製造現場や品質管理において特に議論が集中していたのが、次世代パワーデバイスへの応用と「ボイド(空隙)」および「接合歪み」の制御技術です。

特にSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)に代表される次世代パワーデバイスにおいては、大電流・高電圧を制御する特性上、電気抵抗の低減と効率的な熱マネジメントが不可欠です。これに対し、Cu(銅)電極とSiO₂(酸化膜)などの絶縁膜を同一面内で同時に接合する「ハイブリッドボンディング」は、従来のワイヤボンディングやバンプ接続を排除し、最短距離での配線接続を可能にするソリューションとして期待を集めています。

ハイブリッドボンディングの主なメリット
01
配線抵抗を極限まで低減できる
02
接合界面の全面で強固な密着性を確保
03
デバイス全体の放熱効率を飛躍的に向上


一方、ハイブリッドボンディングを高歩留まりで実現するためには、ウエハ同士を接触させた際に界面を伝播する「ボンディングウェーブ(接合波)」の物理挙動の制御が極めて重要です。技術発表では、3D有限要素法(FEM)シミュレーションにより、ウエハの弾性変形や界面の空気層がボンディングウェーブの伝播に与える影響が詳細に解析されました。

保持チャックの機構や貼り合わせ速度のわずかな不適合が、界面への気体巻き込みによるボイド発生やアニール後の微小なエラーを引き起こすメカニズムが特定され、量産フェーズにおけるプロセスウインドウの最適化が急務であることが共有されました。

接合ウェーハのイメージ図
接合ウェーハのイメージ図

各種デバイスの熱問題

ボイドの抑制と並んで頻出したテーマが、デバイスの動作時に発生する「熱問題」への対処と、それを左右する「表面粗さ(ラフネス)」の極限的な管理です。

常温接合などの直接接合においては、接合品質の低下を防ぐためにCMP後の表面粗さを「Ra = 0.5 nm以下」というナノメートル未満のレベルで平滑化することが厳格に求められます。突起が微小であっても接合不良となり、熱伝導率の低下や絶縁破壊の起点となるためです。

なぜ表面粗さが接合品質を決めるのか
Q
ウエハ同士を常温で接触させて一体化させるプロセスでは、ナノレベルのわずかな凹凸やうねりが原子同士の結合有効面積を著しく減少させます。接合前の表面粗さは、界面の密着性だけでなく「接合強度」そのものに直接影響する極めて重要なファクターです。


現在、熱問題の有効な解決策として、放熱特性に優れた異種材料同士を接合した「複合基板」の導入・検討が急速に進んでいます。接合界面の表面粗さをいかに高度に制御できるかが、複合基板を用いた各種デバイスの熱管理、ひいては製品の歩留まりを左右する鍵となっています。

まとめ

本国際会議での議論が示す通り、3D集積化プロセスの成否は、「低温・常温化」と、それを支える「極限の超平滑表面の創出」、精度の高い「界面の膜質・応力のインライン制御」にかかっています。今後のプロセス開発においては、研磨から接合にいたる各工程の最適化が不可欠です。

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記事No,446