サンドペーパーは耐水研磨紙・空研研磨紙だけでなく、原材料の組み合わせによって多くの種類があります。使い方に合わないサンドペーパーを選ぶと、期待する仕上げ面や耐久性が得られないことがあります。 研磨紙は何でできているか原材料と規格等を説明させていただき、研磨紙の種類からどういった特徴があるのかをご紹介いたします。

サンドペーパーを使った研磨の必要性
木材や金属などの材料の表面を保護し、美的・機能的付加価値を向上させるために、表面加工が行われています 。研磨材による研磨・研削もその中の一つの手段となります。研磨工程を省略すると、密着不良や着色ムラ・美観を損なうなどの問題が起こります。そのため、研磨・研削工程は品質上でもとても重要です。
研磨作業は次のことを目的として行われています。
不必要なものを除去する
・表面の汚れを取る
・厚みを調整する
・バリを取る
表面を平滑にする
・傷を除去する
・塗装面を平滑にする
・摩擦を低減する
表面に凹凸を付ける
・塗装を重ね塗りするときの密着性を向上させる
・艶消しやヘアーライン加工を行う
紙・研磨材・接着剤の種類
サンドペーパーの種類を説明するために、サンドペーパーの構造から説明します。

基材(紙)
サンドペーパーに使用される基材は、クラフト紙・防水処理紙・ラテックス処理紙があります。 それらは単位面積あたりの重量によって次のように区別されています。
基材の種類 | 研磨紙基材重量 g / ㎡ | 耐水基材重量 g / ㎡ | 基材厚み μm |
---|---|---|---|
Aw | 95 未満 | 110 未満 | 約 95 |
Cw | 95 ~ 140 | 110 ~ 150 | 約 140 |
Dw | 140 ~ 200 | 150 以上 | 約 190 |
Ew | 200 以上 | - | 約 270 |
研磨材
研磨材は天然産と人造のものがあり、人造のものが多く使われています。 サンドペーパーに使用される人造の研磨材は、主に「溶融アルミナ」が2種類と、「炭化珪素」の1種類の合計3種類が使われています。サンドペーパーに使用した場合の性質や特徴は次の通りとなります。
基材の種類 | 特徴・用途 |
---|---|
Aw | 強度は弱いが、柔軟性に富み曲面になじみやすい。 手研磨とバイブレーションサンダーに使用されます。 |
CW | 最もサンドペーパーに使用される平均的な強度です。 ストロークベルトサンダーに標準使用されます。 ラテックス処理したタイプは柔軟性があり、手研磨やサンダーで使用されます。 |
Dw | 強度がやや強いとともに、研磨紙も硬くなる。粗い粒度でサンダーで使用される。 |
Ew | 最も強度があって硬い。 ワイドベルトサンダー・エッジサンダー等での強研磨に使用される。 |
種類 | 記号 | 色 | 主な性質・特徴 |
---|---|---|---|
溶融アルミナAl2O3 | AA | 赤褐色 | 硬度はやや落ちるが粘りがある。 鈍角な粒子形状なのでサンドペーパーでは、切込みは浅く研磨力が小さいが、仕上げ面は細かくなる。 柔らかい塗装膜では目詰まりが少なくなり耐久力が良い。 |
溶融アルミナAl2O3 | WA | 白色 | AA研磨材より形状が鋭いため研磨力がある 塗膜研磨では研磨性よく目詰まりも少ない |
炭化珪素SiC | CC | 黒色 | 硬度はあるが脆い。 形状がシャープであるため、サンドペーパーにした場合は研磨力が良い。仕上げ面が粗くなる傾向がある 硬い木材や塗装膜の研磨に適している(ただし、柔らかい塗装膜の研磨では目詰まりしやすい)。 |
接着剤
サンドペーパーは研磨材を紙基材に接着し固定するために2回接着剤を塗布します。その接着剤は合成樹脂接着剤を使用します。この接着剤の使い分けがサンドペーパーの性能に影響します。
接着剤層メイクコート | 接着剤層サイズコート | 呼び名 | 記号 | 特色 |
---|---|---|---|---|
レジン | レジン | オール・レジン レジン・オーバー・レジン | R/R | 耐熱性があり、高速、高過重下の機械研磨用に使用する。 |
耐水性レジン | 耐水性レジン | 耐水(ウォーター・プルーフ) | W/P | 紙基材は防水処理を行ったものに使用する。接着剤も耐水性レジンを用いて主に水を使用した湿式研磨に使用する。 |
研磨力・仕上げ面粗さと耐久性について
サンドペーパーに要求される性能には、研磨力・仕上げ面・耐久性・強度・使いやすさなどがあり、これらが同時にまたは、個別に要求されます。この中から特にサンドペーパーの基本的な性能である研磨力と仕上げ面について説明いたします。
研磨力
研磨力は次の項目によって変わってきます。
①粒度
②研磨材の種類
③接着剤の種類
④基材の種類
①粒度
粗い研磨材の方が細かい研磨材に対して研磨力は高くなります。
②研磨材の種類
サンドペーパーの場合は研磨材の形状によって研磨力が変わり、一般的にはシャープな形状のCC研磨材がその他の研磨材と比較して研磨力は高くなります。ただし、研磨する対象物が硬く、回転工具(サンダー)を使用して研磨する場合ではCC研磨材は硬くてもろい性質によって欠けてしまい、AAやWA研磨材の方が研磨力は高くなります。
③接着剤の種類
硬い接着剤を使用すると研磨力が高くなります。
④基材の種類
接着剤と同様に硬い基材が柔軟な基材よりも研磨力が高くなります。
仕上げ面粗さ
研磨力と仕上げ面粗さは相関関係にあります。研磨力が高くなると、仕上げ面粗さが粗くなります。そのため上記研磨力が高くなる要素では、同時に仕上げ面粗さが粗くなります。
耐久性について
サンドペーパーの耐久性は、水を使わない乾式研磨の場合に、研磨したカスがサンドペーパー表面に付着する「目詰まり」が問題になることが多いです。この目詰まりを防止するために、「目詰まり防止剤」をサンドペーパーに塗布したタイプがあります。
目詰まり防止剤の原材料は主に「金属石鹸」と呼ばれる潤滑剤で、ステアリン酸カルシウム等が使用されており、その金属石鹸の潤滑性や剥離性によって目詰まりを防止しています。目詰まり防止剤で耐久性を伸ばすことができる反面、研磨力が低下する場合や、研磨後に研磨対象物を塗装する場合などに塗装欠陥で不良となってしまう場合がありますので、注意して研磨紙を選択する必要があります。
当社では目詰まり防止剤加工を「DS」加工の名称で呼び、DS加工品は製品名の後に「DS」を付けて表示します。
製品記号 | 接着剤 | 研磨材 | 基材 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
WTCC | WP | CC | Cw | 耐水研磨紙の標準品・金属や塗装面用の万能タイプ。DS品は乾式使用で、特に目詰まりの多い軟質塗面に最適 |
WRCC | WP | CC | Cw | 金属や木工塗装面用。研磨力を重視したタイプ。乾式・湿式の両方で使用できる。 DS品は乾式使用・硬い塗装面が研磨できる研磨力重視タイプ。 |
WRAC | WP | CC | Cw | 硬質の塗装面に最適。高研磨力タイプ |
RRCC | WP | CC | Cw | 柔軟なソフトバックタイプ・硬質の木工・金属の塗装面に最適で乾式・湿式の両方で使用できる。 |
RRAC | WP | CC | Cw | 柔軟なソフトバックタイプ。高研磨力中でも仕上げ面を重視したタイプ。乾式・湿式の両方で使用できる。 DS品は目詰まりの早い塗装面の乾式研磨に最適。 |
製品記号 | 接着剤 | 研磨材 | 基材 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
FTCA‐DS | WP | CC | Aw | 木工木地と塗装面の曲面と平面の手磨き及びサンダー研磨用。 |
DRCC | R/R | CC | Cw | 乾式専用標準品。金属と木工塗装面の研磨に最適。研磨力良好。 |
DRWC | R/R | WA | Cw | 木工木地、塗装面に最適。目詰まり少なく仕上げ面良好。 |
AHAC-DS | R/R | AA | Cw | 金属木工塗装面に最適。研磨力良好 |
FRCC-DS | R/R | CC | Cw | 木工木地と塗装面の曲面と平面の手磨きサンダー研磨用。 |
DRAD‐DS | R/R | AA | Dw | 金属および塗装面の下地研磨用。 |
まとめ最後に
当社は今ある研磨材だけでなく、お客様のご要望に合わせた研磨材製品の改良・開発も行っています。お客様のご要望に真摯にお応えして、カスタマーサクセスにつながるご提案をさせていただきます。