「ハサミのケア=お客さまの髪の毛のケア」
いつでも切れ味抜群で最高のカットをお客様に提供するために、お手入れには気を遣いたいものですね。ハサミの切れ味を維持するには毎日のお手入れが肝心。お手入れをしているか否かでハサミの寿命は大きく変化します。

今回は研磨フィルムを使用し、ご自身で簡単にできるハサミのお手入れ方法を紹介します。
ハサミをお手入れしないとどうなるのか
ハサミのパフォーマンスはさまざまな原因が重なり少しずつ低下していきます。例えば下記のような原因が挙げられます。
ダメージ① パーマ液(酸)や水分によるサビ
ダメージ② 無理な押し切り
ダメージ③ ネジの緩み・締めすぎ
ダメージ④ 返り刃
お手入れせずに使用し続けると徐々に悪循環が生まれ、ハサミだけではなくご自身にも悪影響を及ぼします。
切れ味が悪くなる >>> 無意識に押し切りする >>> ハサミに負担がかかり返り刃や不具合が生じる >>> さらに切れ味が悪くなる >>> 切れ味が悪くなることで無駄な力が入って腱鞘炎の発症につながってしまうだけでなく、お客様の髪の毛に刃が引っかかり思い通りのカットが再現できないなど、仕事の効率を著しく下げてしまうでしょう。
今回紹介するお手入れ方法を日々のセルフメンテナンスに取り入れ、ハサミはもちろん、ご自身へも負担なく最高のパフォーマンスを発揮していただきたいです。

ハサミをお手入れする3つのステップ
▽ご用意いただくもの
・濡れタオル
・セーム革
・GC #10000研磨フィルム

研磨フィルムのおすすめのサイズは、70㎜X114㎜(A4サイズ1/8) もしくは70㎜X228㎜(A4サイズ1/4)です。A4サイズが一番手に入りやすいかと思いますので、お手入れしたいハサミに合わせてお好みのサイズにカットしましょう。

ハサミを研ぐ前には、ネジを外して分解し一度セーム革で全体的に汚れをふき取っておきましょう。
STEP1: セット
作業机に濡れタオル、その上にフィルムの研磨面を上にしてセットします。フィルムの下に濡れタオルを敷くことで、研磨時のズレを防止します。こちらで十分作業可能ですが、濡れタオルの下に何か板を挟んでいただくと、より面が安定して研磨作業がしやすくなりますよ。
STEP2: 切れ味を出す
まずは表側の刃先部分をフィルムに当て、5回ほど押し滑らせましょう。同じ作業を中間部分・刃元部分でもそれぞれ5回ずつ行います。それぞれの研磨が完了したら、刃先から刃元をつなげるようにスライドさせながら3回ほど押し滑らせて仕上げます。

STEP3: 均し(ならし)
セーム革でふき取りながら刃を均しましょう(裏刃側に出ている細かい返り刃を取り切るイメージです)。研磨完了後は専用のオイルをさして組み立て直します。刃こぼれしてしまう恐れがあるので、組み立て直す際には刃と刃がぶつからないようご注意くださいね。

研磨後にはぜひティッシュで切れ味を確認してみてください!研磨直後は少し使用しただけでも新しい返り刃が極わずかに出てしまうので、その都度セーム革で拭き取るようにしましょう。
#10000だけでも簡単にメンテナンスできますが、#6000や#8000などステップを増やしていただくとそれだけ精度が上がります。実際に#1000から#2000,#4000,#6000,#10000と5ステップでハサミの研磨をされるお客様もいらっしゃいますよ。
【推奨製品】
- GC1000-75 FEZ-C 228-280
- GC2000-75 FEZ-C 228-280
- GC4000-75 FEZ-C 228-280
- GC6000-75 FEY-B 228-280
- GC8000-75 FEY-A 228-280
- GC10000-75 FEY-A 228-280
(#1500, #3000の取り扱いもございます)

また日々のメンテナンスとは別に、同様の方法をより粗い番手からスタートしていただくと、より深く入ってしまった刃こぼれや刃の傷を削り取ることも可能です。
【推奨製品】
- WTCC-S #240~ →刃こぼれや傷を取り、新しく刃をつける
- WTCC-S #400~ →粗めの研磨紙で付いた研磨傷を磨き取る
まとめ
砥石を使った研磨に比べ、とてもお手軽ですので試してみる価値はあるかと思います。ご紹介したお手入れ方法をご活用いただき、今日からメンテナンスを始めてみましょう。