液晶ディスプレイ(LCD)は私たちの生活のいたるところで使われています。このLCDに欠かせない重要部品がカラーフィルターです。カラーフィルターがあるからこそ、LCDがカラフルな画面になります。本記事では、カラーフィルターの製造工程や、良品率を上げる研磨フィルムによるリペア工程を解説します。

目次

  1. カラーフィルターとは
    1. カラーフィルターの製造工程
  2. カラーフィルターのリペア工程
    1. 主な品質不具合
    2. リペア方法
    3. 研磨フィルム使用のリペア装置
  3. Mipox研磨テープの紹介
  4. まとめ

カラーフィルターとは

カラーフィルターは、画像の「色」を生み出すフィルターです。コントロールされた光線を薄い顔料フィルターに透過させることで、人の目に多彩な画像情報を与えます。
このフィルターは薄いガラス基板とカラーレジストで構成されています。

ガラス基板上には、赤(R)、グリーン(G)、ブルー(B)、黒(ブラックマトリックス:BM)の4色のカラーレジストによって構成されるパターンが形成されています。このパターンはRGBで1画素になるようBMを用いて格子状に形成されています。BMは隣接カラーレジスト同士の混色を防ぐ役割もあります。
このRGBの3色の混色によって、すべての色を表現できます。たとえば、黄色を表現したい場合はRGBを1:1:0で組み合わせます(光を透過させるかしないかでコントロールします)。3色の組み合わせや明るさを調節することで、カラフルな色彩表現が可能になります。

▽カラーフィルターのイメージ

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カラーフィルターの製造工程

カラーフィルターの製造方法は主にカラーレジストをガラス基板上に塗布し、露光や現像によって定着させる「フォトリソグラフィ」という方法で作られています。
大まかな製造工程は次の通りです。

  1. 格子状のブラックマトリクス(BM)をガラス基板上にパターンを形成する
  2. カラーレジストを塗布
    *塗布方法は20年前まではスピンコーターでしたが、レジスト材料の節約と塗膜平坦性向上のため、現在ではほぼスリットコーターが使われています。
  3. 設計されたパターンに合わせるフォトマスクをかけて、UV光を照射し、遮蔽されていない部分のレジストを架橋反応させる
    *光源は使用時間によって衰退するため、十分に感光させなければレジスト底が固まりません。
  4. アルカリ現像液で不要なレジストを除去。その後ポストベークでレジストを硬化させる
    *架橋反応したレジストをさらに加熱して塗膜を硬化させます。
  5. 上記2~4までの工程を3回繰り返し、RGBパターンを形成する
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(カラーフィルターの側面イメージ)

カラーフィルターのリペア工程

自動光学式検査機(AOI)を使って形成されたパターンを検査・測定するほか、うまく形成されていないパターンを修正する工程です。

主な品質不具合

  1. レジスト高さが揃わないと、高すぎる分を減らせなければならない
    *カラーフィルターはTFT基板(光透過を制御する役割)と両面接合するので、レジスト高さがそろわないと接合問題になります。原因はレジスト塗布工程の膜厚平坦性コントロール問題にあります。

  2. パターン上に異物(金属パーティクルなど)があり、またはレジスト凝集塊があり、これらを除去しなければならない
    *主にレジスト製造中の異物混入か、分散不十分、原材料純度、または使用者側の保管状態、レジスト液濾過フィルター未交換などによる問題があります。

リペア方法

上記の不具合を解消するには以下の対策があります。

  1. レザーで不要分を除去する
    レザーを使って不要物を焼却することは可能ですが、レジストを底部まで焼却することもしばしば発生し、その場合はインク(顔料液)での色補填が必要になります。インクが高価でまたレザーの消費電力も高いため、カラーフィルター業者は一部のリペアラインにしかレザーユニットを導入していません。

  2. 研磨フィルムで不要分を除去する
    工程効率およびコスト合理性の観点から、メインのリペア方法は研磨フィルムで不要分を削り取ることです。大まかなリペア工程は次の通りです。
    a) 光学式検査機(AOI)で欠陥を見つける
    b) センサーの感知で研磨ヘッドが研磨位置に降下、研磨フィルムを走らせて不要分を削り取る
    c) 研磨ヘッドが下りながら研磨し続けて、予定の高さに着けば研磨終了
    上記3工程を何回も繰り返し、見つけられた欠陥を除去します。

▽研磨フィルムによるリペア効果の一例

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研磨フィルム使用のリペア装置

カラーフィルター業界で有名なリペア装置業者にL社とV社があります。両社とも業界をリードする日本の装置メーカーです。装置の機能はほぼ同等ですが、使用する研磨フィルムの外見が大きく違います。

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(Mipox In-Cassette製品の外観 )

V社:使用する研磨材は幅12.6mmの研磨フィルムロールです。

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(Mipox研磨フィルムロール製品の外観)

L社とV社のリペア装置は、フォトマスクのクリーニングに使われる場合もあります。その際は研磨効率の良いダイヤモンドフィルムを使うことになります。(露光工程中、フォトマスク上に付着するレジスト昇華物を研磨で除去する用途)。

Mipox研磨テープの紹介

カラーフィルターのリペア工程に使われる研磨フィルムは、主にアルミナ粒子(AWA)#10000,#15000,#20000の3番手です。

アルミナ研磨材 研磨粒子粒径 膜厚 表面粗度
AWA10000 0.5um 28.2um 0.16um
AWA15000 0.3um 30.7um 0.14um
AWA20000 0.2um 28.4um 0.13um

上記数字は参考値で、一般的に使われる型番のデータとなります。Mipoxには他の違う型番もあり、膜厚そして表面粗さが違います。

リペア工程においてどの番手を使うかは、基本的には使用者の評価結果次第です。研磨効率、研磨後レジスト面粗度などの終端ニーズに合致できればよいです。レジスト面粗度を重視する場合、Mipoxは#20000を推薦します。研磨効率を重視する場合、まず#10000を試していただければと思います。
近年、画面の精細化が進んでRGB画素寸法がさらに微細化しています。レジスト強度を向上させるため、レジスト膜が硬くなる傾向にあります。研磨粒子が細かいほど、レジスト除去効率が良くなるケースもあると聞きます。
Mipoxは研磨フィルムの製造で50年以上の経験があり、製造工程そして加工品質に誇りを持っています。

ここからは、MipoxのAWA10000製品を例として説明します。
▽平坦かつ精緻な研磨層表面、研磨傷が生じにくい

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▽Mipox製品のスリット端面が他社品よりキレイで、使用際の端面落ち屑が少ない

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まとめ

Mipoxは研磨フィルムの製造には長年の経験があり、そしてすべての製造・加工工程はクリーンルーム内で操業しています。In-Cassette製品へのカセット巻き替え加工も自社内で一貫して生産できる体制を構えています。研磨フィルムの品質およびクリーン度には自信があります。カラーフィルターのリペア工程においてお困りごとがありましたら、ぜひ各地域のMipoxの営業窓口にお問い合わせください。

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(In-Cassette製品巻き替え機(クリーンルーム内操業))

▽参考資料 https://www.toyo-visual.com/ja/products/fpdcf/colorfilter.html https://www.toppan.co.jp/electronics/colorfilter/display/structure/ https://www.vtec.co.jp/ja/tech/process/process_filter.html