重防食塗装は、橋梁や高速道路、送電鉄塔などの鋼構造物を、厳しい腐食環境から長期間守るための塗装です。本記事では、重防食塗装の工程例や、厚膜塗装で起こりやすい塗料のタレへの対策、老朽化が進む橋梁の補修工事で行う素地調整(1種〜4種ケレン)の違いと、それぞれに使われる研磨材をわかりやすく解説します。
重防食塗装とは
橋梁・高速道路・送電鉄塔などの構造物は、風・雨・雪・寒暖差などの厳しい環境にさらされるため、腐食への対策が必要です。重防食塗装とは、構造物を長寿命化するために、長期間の防錆・防食性を保つ塗料を厚く塗り重ね、厳しい腐食環境にも耐えられるようにする塗装のことです。
重防食塗装の工程例として、鋼道路橋防食便覧に示されている一般外面の塗装仕様(C-5塗装系)を紹介します。
鉄骨製作工場で素地調整1種B(ブラスト処理)を施した後に、無機ジンクリッチプライマーや構造物用さび止めペイントを下塗りし、工場または現場で耐候性に優れる2液形ポリウレタンエナメル、アクリルシリコン樹脂エナメル、あるいは常温乾燥形フッ素樹脂エナメルを上塗りする塗装仕様が規定されています。
重防食用塗料は粘度が高く、一度で厚く塗れる仕様になっています。総合膜厚は200μm以上となるため、建築で通常使用される塗料に比べて重く、タレやすいのが特徴です。
タレの除去・修正や塗装前の足付けには、次の製品が使用されています。目的に合わせて選びましょう。
マジックタック/ドライタックペーパー高研磨力・耐久性タレの除去・修正に時間がかかる場合におすすめです。マジック式(マジックタック)とのり付き(ドライタックペーパー)の2タイプがあります。
不織布ホイール:NLディスク塗装面を傷つけにくい塗装面をひどく傷つけずにタレを除去したい場合におすすめの不織布ホイールです。橋梁の老朽化と補修工事の現状
老朽化した国内橋梁の補修・延命工事が、喫緊の課題となっています。1964年の東京五輪以降に整備された高速道路網や新幹線の橋梁部分では、長寿命化のための工事が必要な案件が多くあります。JR東日本は、東北・上越新幹線の橋梁やトンネルなどの新幹線構造物を対象に、2031年度から大規模な改修を計画しています。
国土交通省道路局の調べによると、全国約73万橋の道路橋のうち、建設後50年を経過した橋梁の割合は約42%で、10年後には約65%まで増える見込みです。今後、補修工事の需要はますます高まっていきます。
ケレン(素地調整)の種類と使う研磨材
補修工事で行う素地調整(下地処理)の作業は「ケレン」と呼ばれ、作業内容や方法に応じて1種ケレンから4種ケレンまでの4種類に分類されます。さびの面積や塗膜の割れ、膨れなど、旧塗膜の状態に応じてどのケレンを行うかが決まります。ここでは、それぞれの作業内容と、使用される主な研磨製品をご紹介します。
FOR 2・3種ケレン
ディスクグラインダー用の研磨材
2種・3種ケレンでは、ディスクグラインダーにファイバーディスクやハイハイディスクなどを取り付けて、旧塗膜や錆を除去します。
ファイバーディスク
ハイハイディスクFOR 4種ケレン
手作業用の研磨材
4種ケレンでは、ユニサンドパッドやユニベックス、研磨布などを使い、手作業で粉化物や汚れを除去します。
ユニサンドパッド
ユニベックスシート
研磨布シートまとめ
重防食塗装は、橋梁などの鋼構造物を厳しい腐食環境から守るための厚膜塗装です。厚く塗るぶん塗料のタレが起こりやすいため、タレの除去や足付けには、状況に合わせた研磨材の使い分けが欠かせません。
高度成長期以降に整備された道路橋、トンネル、河川、下水道、港湾などは、今後20年で建設後50年以上を経過する施設の割合が加速度的に高くなっていきます。一方で、労働人口の高齢化による建設業の人手不足は深刻化しており、次世代への技術継承も大きな課題です。人手不足を解消するためには、作業の効率化が欠かせません。
建設現場ではドローンやウェアラブルカメラといったシステムやツールの導入が進められています。マイポックスも、研磨力と耐久性の持続が期待できるダイヤモンド研磨材など、作業効率を高める研磨材製品の開発や、省力化・自動(ロボット)化の提案を通じて、少ない人手でもこれまでどおり事業を継続できるよう、生産性の向上に貢献していきます。
