安定した電力供給が実現している日本では、電気のある生活が当たり前になっています。
しかし、世界を見渡してみると、日本のようにいつでも自由に電気が使える国や地域は実はそんなに多くはありません。発電設備の乏しい国は停電が頻繁に起きており、満足に電気が使えない状況があるのも事実です。

その中で安定した電気をつくるための重要部品にタービンブレードがあります。そしてタービンブレードの性能を大きく左右するのが製造の最終工程で行う研磨です。本記事では、タービンブレードの製造に最適なMipoxの研磨材を提案します。

目次

  1. タービンブレードとは
  2. タービンブレード研磨
    1. タービンブレード研磨の主目的
    2. タービンブレード研磨工程例 
    3. レジンクロスベルトでの研磨
    4. ユニベックスホイールでの研磨
  3. 課題と提案

タービンブレードとは

近年は太陽光発電や風力発電、再生可能エネルギーの利用拡大が注目されていますが、まだ発電量は僅かで、7割を占める火力発電と2割弱の原子力発電が主力です。

石炭・石油・LNG等の化石燃料をボイラーで、核燃料を原子炉で燃やして生成された水蒸気を利用するものが蒸気タービンであり、蒸気の代わりに高温高圧の燃焼ガスを利用するものが、ガスタービンです。いずれも水蒸気や燃焼ガスをタービンに吹き付け高速回転させ、発電機のモーターが回転することで電気を生み出しています。

このような発電システムで大きな役割を果たしているのがタービンブレードです。
タービンに組み込まれている、1枚1枚の羽根をタービンブレードと呼びます。その羽根が水蒸気や燃焼ガスのエネルギーを受けることでタービンを回転させており、タービンブレードはタービンを効率よく回転運動に変える為の重要な部品となります。ブレードはローター「翼車」に組み込まれて回転する「動翼」とケーシング「車室」に組み込まれる「静翼」の2種類に分類され、用途や機能に合わせて様々な形状と関連部品が製作されてます。
その材料は、耐食・耐熱・耐摩耗合金が使用されており、極めて高い強度と精度を実現しておりエネルギーを効率よく受けれるように3次元曲面の複雑な形状をしています。

(画像=タービンブレード
(画像=タービン)

タービンブレード研磨

タービンブレード研磨の主目的

サイズ・材料の種類により効率の良い成型方法(鍛造・鋳造・切削機械加工)にて3次元曲面の複雑な形状に成形し、研磨により表面仕上げ・規定寸法出し行い、最終仕上げを行います。タービンブレードの研磨は、サイズごとに設定された製品精度に仕上げる必要があります。仮に規定値外であると、組み合わせた場合そのズレが積み重なり効率よくエネルギーを受けることができずバランス不良につながり、発電に支障が出る場合があります。

(画像=タービンブレード
(画像=タービンブレード)

タービンブレード研磨工程例 

タービンブレード研磨工程例
Step1 機械加工後のワークを計測し寸法バラツキを確認
Step2 逆R形状部分の研磨 「機械加工目 エンドミル刃先跡の除去 赤色部分」
使用研磨材レジンクロスベルト # 100~240 25×33350、50×3350他
Step3 部品両端の複雑形状部分の研磨「機械加工目の除去 緑色部分」
使用研磨材ユニベックスホイール他
Step4 全体の仕上げ研磨
使用研磨材不織布ベルト、ユニベックスホイール他

レジンクロスベルトでの研磨

当社の研磨ベルト、レジンクロスベルトは品種も豊富で一般金属から特殊鋼金属まであらゆる研磨に適用できるようになっております。複雑な形状のタービンブレード研磨に対応できるよう、各企業様、ご要望サイズの製作も可能です。また、R形状部分に 沿うように適度な柔軟性と研磨力があり、研磨力重視から仕上げ研磨まで全ての研磨に 最適な製品を選択できることが可能です。

ユニベックスホイールでの研磨

安定した研磨能力とディップ方式を採用することにより、特殊化学繊維不織布に砥粒を特殊な接着剤で均一に中まで含ませています。繊維と砥粒が同時に消耗し、常に安定した研磨力と均一な仕上げ面を得られます。ワークへの馴染みと、焼け防止を重視しており、ハンドツール、研磨機にセットした研磨など多様な要望にも対応が可能です。

課題と提案

タービンブレードは、高温・高圧の水蒸気や燃焼ガスを受けながら、音速に近いスピードで回転を続ける為、極めて高い強度と精度が必要となります。

近年は、材料・加工技術の進化で、より耐熱性が高く硬い材質「難削材」が使用されるようになっており、形状も複雑化がすすんでいます。
その為、3次元形状の複雑な形をしており研磨の完全自動化は難しく、大半の部分が手作業での研磨となっています。材料・ワークを固定したり、自由に動かしやすいようにスリングで吊るしてフリーで研磨したり、各企業様独自で工夫改良して研磨をしているのが現状かと思います。
また、複雑形状部分に関しては、独自で市販の研磨材、補助具を加工して作業仕様に合うように工夫されるなど手間暇をかけて対応をされている状況かと思います。

その中でも完全自動化は難しくとも、研磨材、研磨治具、機械部品の改良等で半自動化をすすめて、少しでも研磨の省力化になるよう当社では、研磨材だけではなく、研磨ベルトに使用するコンタクトホイールも同時にご提案をしております。
材質はゴム、ウレタン、スポンジなどがあり、またサイズは小径タイプから大型まで、溝の形状も作業状況により加工提案も可能です。

当社はいかに研磨を省力化出来るかを常に考え、各企業様と一緒に研磨材、機械部品も一体でのご提案をしてまいります。