はじめに
研磨フィルム方式は、砥石研削と比較して多くの利点を持っています。 その中でも特に注目すべき点は、管理の簡便さと仕上げの均一性です。 以下に、研磨フィルム方式の研磨について主な特徴と利点を詳述します。

- 管理の簡便さ
研磨フィルム方式は、砥石研削に比べて圧倒的に管理が楽です。条件設定を行うことで、誰でも同じように仕上げることが可能です。これは、特に加工後の品質管理が重要な製造業において大きなメリットとなります。
専用機の開発
研磨フィルム方式の装置はほとんどが専用機となります。汎用のものが少ないため、特定の加工ニーズに応じたカスタマイズが必要ですが、これにより特定の用途に対して最適な性能を発揮することができます。Mipoxではワークサイズに合わせた装置設計+研磨フィルムのサイズをご提案しております。多様な研磨材と環境対応
研磨フィルム方式では、多種多様な研磨フィルムを装着することで、様々な加工面を得ることが可能です。また、乾式・湿式どちらにも対応可能で、加工環境は材料を含め非常にクリーン&コンパクトです。高能率・低コスト
加工物に応じて研磨フィルムの幅(サイズ)やテープフィードスピード(送り速度)を選択できるため、高能率で低コストな加工が実現できます。フィルムの交換も簡単に行えるため、目的に応じた面粗さを得ることができます。簡単操作と精密仕上げ
作業員の経験の多少に関わらず、一定で精密な仕上げが可能です。テープフィード機能があるため、常に新しい砥粒面で研磨することが可能であり、均一な仕上げを維持できます。毎秒1mm前後の送りスピードから条件出しをすると良いでしょう。多様な形状・材質への対応
研磨フィルム方式は、内径、外径、楕円形状など多様な形状に対しても精密な仕上げ加工が可能です。研磨ヘッドやバックアップロールの形状を工夫することで、研磨フィルムをワークに追従させます。強度の低い結晶系材料のワークも低ダメージで加工することが可能です。
研磨フィルム方式の研磨装置基本構造

① 供給リール
―新しい研磨フィルムを供給する側。巻き出し側になります。
② 巻き取りリール
―使用済みの研磨フィルムを巻き取る側。巻き取り側です。
③ 押し付け荷重・機構
適切な圧力をかけて均一な研磨を行います。コンタクト圧力調整は電空制御やモーター制御でコントロールします。ヘッドの重み(自重)で加圧する場合もあります。
④ コンタクトロール
―研磨フィルムを工作物に押し付けるバックアップ材。スポンジや硬度30度くらいの柔らかいものから、ルビーのような硬質の宝石まで様々な種類があります。
⑤ 研磨フィルム
―研磨を行う重要な面です。装着する研磨フィルムが長ければ長いほど、フィルム交換時のダウンタイムは減りますが、加工時の振動対策などで装置が大掛かりになる可能性もあります。
⑥ 加工テーブル
―ワークを安定して保持します。真空吸着や物理的なチャックなどの固定方式があります。
多様な研磨方式
Mipoxは、研磨材と研磨装置の両方を自社開発・製造しており、作業の効率化、面粗度の向上、完全自動化、インライン化を目指しています。研磨フィルムを使用することで、加工時間の短縮と均一な仕上がり面を得ることが可能です。
ロールフィニッシャー
シャフトやローラーなどの円筒物の外周部を研磨する装置です。研磨フィルムの種類と粒度選定により、要求される面粗度を容易に得ることができます。

多関節ロボット研磨装置
ロボットアーム先端のアタッチメントを変更することで、多種多様な研磨が実現します。

内径加工
内径加工は、円筒の内部を研磨するプロセスで、研磨フィルム方式の利便性を活かして高精度な仕上げが可能です。

球面加工
球面加工は、ボールやスフェリカルな部品の表面を研磨する際に用いられます。精密な形状と滑らかな表面仕上げが求められます。

平面研磨装置
平面加工は、板状の部品や表面が平らなワークピースに対して行われる研磨方法です。精密な仕上げが必要な場合に特に有効です。研磨ヘッドはX、Y、Z軸の3軸補完動作が可能で、複雑な形状にも対応できます。乾式・湿式のどちらでも研磨が可能です。

クランク・カムの研磨
クランクシャフトやカムのような複雑な形状を持つ部品の研磨にも、研磨フィルム方式が効果的です。

ボールネジ研磨
主にボールねじ等のらせん状の溝を研磨する装置です。リード角やボール径に最適な角度・形状に合わせたコンタクトローラーを押し当てることで、精密な研磨が可能です。

まとめ
研磨フィルム方式はその利便性と高い精度、環境に優しい加工方法ということから、多くの産業分野で採用されています。管理の簡便さと多用途性により、今後ますます重要な技術となることでしょう。 Mipoxは今後も様々な研磨方式とともに、お客様の課題解決に向けた最適な研磨方法の提案を行っていきます。