FRP研磨工程でお困りになられていませんか?FRP樹脂は軽量で耐久性があり、さまざまな用途で使用されている素材です。本記事では、大きい構造物である風力発電の風車のFRP研磨方法のメリットについて紹介します。

目次

  1. FRPとは
  2. なぜ風力発電の風車においてFRP樹脂を採用しているのか
  3. Mipox研磨製品の使用説明
  4. 各工程の流れ
  5. 時短のための2つのサンダー
    1. Go9サンダー
    2. スマートサンダー
  6. 最後に

FRPとは

FRPとは繊維強化プラスチックのことであり、〝Fiber Reinforced Plastics〟の略称です。

ガラス繊維や炭素繊維などの繊維(ファイバー)をプラスチックと混合することで強度を増した複合材料のことを指します。FRPは樹脂(プラスチック)の内部に、繊維質の素材を織り込み混ぜ込み製法で生産し強度を高めるとことを目的とした素材になります。従来の素材では金属等の強度のある素材を使用していた産業でもプラスチック樹脂を採用した案件が積極的に取り入れられるようになりました。

軽くて高い強度を持つ材料ですが、一方で繊維には方向があるため、研磨する際にはこれが原因で面精度がうまく出ないことがあります。もともと機械的強度を上げるために入れている繊維ですが、これにもいくつか種類があります。

炭素繊維で強化されているCFRP、ガラス繊維で強化されたGFRPやポリエチレン繊維で強化されたDFRPなどがあります。こうした繊維は、決められた方向に配置して機械的強度を上げてある場合もあれば、全体に均一にまぶしてある場合もあります。

なぜ風力発電の風車においてFRP樹脂を採用しているのか

風力発電の風車のどこにFRP樹脂が使用されていると思いますか?

答えは、風車の内羽根部分です。すでに述べた通り、FRPの大きな特徴は、樹脂の内部にガラス繊維や炭素繊維などを補強材として埋め込んでいることです。風車で採用されている理由は、軽くて機械的強度・耐食性・成型性に優れている点にあります。過酷な条件下で使用される風車の素材に最も適していると考えられています。

風車内羽根部分の製造工程は、

  1. 木型にFRP樹脂を流し込み成型する
  2. ローターの軸受け部分の接続用穴開けを大型施盤機で行う

上記の工程でFRPの内羽根の形状が完成します。

風車

Mipox研磨製品の使用説明

FRPの研磨では、手作業ではサンドペーパーやコンパウンド系のものをウエスにまぶして使って行われることが多いですが、精密の研磨では機械研磨も行います。素材はやわらかい樹脂で、高温環境下では軟化もします。電着されたダイヤモンドや一般的に使われるC砥粒やA砥粒が使われているディスクサンダーなどでも研磨可能です。

今回、研磨材、機械ツールを組み合わせてシステムで提案を行い風車研磨での採用が決定しました。また、研磨材が採用となった理由としては、研削力重視をテーマとしながら研磨後の仕上がりは細かく表面の粗さを少なくするという難しい研磨作業が可能となった点になります。

使用したツールはこちらの製品です。
研磨材:耐taiQ、剛goQ 、マジックタック
粒度:60、120、240、400、600、800の4粒度を使用
サンダー:Go9サンダー・スマートサンダー

左:耐Q 右:剛Q
(左:耐taiQ 右:剛goQ)

各工程の流れ

初期工程研磨の粒度60は主力番手での採用で、羽根型、成型後のはみ出したバリを落とす作業を行います。次に粒度120はバリ取り後の面取り、そして粒度240・400・600で羽根表面の中研ぎ研磨を行います。最後に仕上げ研磨として粒度800で仕上げの悪い箇所を修正していきます。

最終仕上げ粒度の800は、羽根表面に空気抵抗を付けないような仕上げ(揚力性能の向上)が必要でした。羽根表面の面粗度を上げるにはどのツールが最適なのかを検討しました。

解決策として粒度600までは紙基材の研磨材を使用し最終仕上げの粒度800は仕上りおよび耐久性(目詰りが少ない)があるフィルムマジックペーパーを採用しました。

フィルム研磨材は、フィルム特有の仕上りが可能になり磨き工程に近い表面粗度を出すことが可能になったことで当社製品が採用に至った強みとなりました。

時短のための2つのサンダー

また、上記研磨材を使用する際に2種類のエアサンダーを用いて研磨時間の短縮を目指しました。

Go9サンダー

通称ダブルアクションサンダーになります。ダブルアクションサンダーは研磨力に関しては弱いが仕上りがきれいという利点があります。しかし、シングルアクションサンダーと比較すると研削力が弱いため研磨時間がかかるデメリットが発生します。 解決策として、ダブルアクションサンダーの振り幅を大きくし初期工程作業では9㎜振れるGo9サンダーを投入し仕上り、研磨時間の短縮を図ることに寄与することが可能となりました。

Go9サンダー
(画像=Go9サンダー)

スマートサンダー

中研ぎから仕上げ工程では、面粗度を重視する必要がありました。Go9サンダーは研削力に関しては強いのですが、仕上りに不安があります。そこで仕上げ重視サンダーでスマートサンダーの出番です。粒度400~800まではスマートサンダーで表面の仕上げを滑らかにするためにダブルアクションサンダーでの振り幅を小さくし最終工程できれいな表面に仕上げることができました。

スマートサンダー
(画像=スマートサンダー)

最後に

当社研磨材およびツールは、FRP樹脂、金属、木工等様々な用途に適した製品をお客様に提供することができます。今回のFRP樹脂研磨は、表面研磨だけではなく研磨後の繊維片を出さない、バリ等の研磨の短時間に仕上り面粗度を求める作業が必要となります。

現在、Mipoxはさらなる新しい製品を検討し、よりお客様のニーズに合った製品を開発することを目指しています。製品の発展にこれからもご注目ください。