Mipoxの呉ベースは技能五輪でも使用されている金属やすりを製作しております。機械組立て職種で多くの参加企業様にご使用頂いており、その目立て技術には自信を持っております。今回その目立て技術を活かして引張試験機の掴み歯であるチャック治具を新たに開発しております。そこで、引張試験機におけるチャック治具の重要性や開発品の特徴について紹介します。

目次

  1. 引張試験機とは?
  2. クランプ部分であるチャック治具の重要性
  3. 当社開発のチャック治具の特徴
  4. まとめ

引張試験機とは?

引張試験機は、材料の引張強度を試験するための機械です。通常、材料のサンプルを採取し、両端を引張試験機のクランプにしっかりと固定します。
引張試験機は一定の速度でサンプルを引っ張り始め、これによりサンプルは伸びて最終的には破断します。この試験では材料がどの程度の力で伸び、そして最終的にいつ壊れるかを明らかにします。
壊れるまでの力(最大引張力)は材料の引張強度として注記され、単位面積当たりの力(N/m² または Pa)で測定されます。また、試験中に記録される力と変形の関係から、材料の他の重要な特性、例えば、引張モジュラスや屈服強度も特定できます
このように引張試験機は、新しい材料の開発や既存の材料の互換性を試験する際に重要な役割を果たし、製品の品質基準を満たしていることを保証します。

(アムスラー式引張試験機)            (クランプ部分に鋼線を取り付けた様子)
左:(アムスラー式引張試験機)        右: (クランプ部分に鋼線を取り付けた様子))
左:(鋼線が破断する様子)           (破断するまでの力を装置で計測))
左:(鋼線が破断する様子)      右: (破断するまでの力を装置で計測)

クランプ部分であるチャック治具の重要性

引張試験機におけるチャック治具は非常に重要な役割を果たします。これは材料のサンプルを試験機に確実に固定し、適切なテンションを適用するための部品です。
適切なチャック治具が用いられると、サンプルは均一にストレスを受け、正確な結果が得られます。一方、不適切なチャック治具を使用すると、サンプルが不均一にストレスを受け、結果が歪んだり、サンプルが試験中にチャック治具からスリップしたりする可能性があります。
また、チャック治具はサンプルを適切な角度と位置に保つためにも必要です。これは、特に非均一な形状やサイズの材料を試験する際に絶対的に重要です。正確な位置付けと固定がなければ、材料は試験中にずれて不正確な結果を引き起こす可能性があります。
したがって材料の特性を正確に測定するためには、高い保持力を持ち、引張力に対して滑らない適切なチャック治具の選択と使用が不可欠です。

左・中央:純正品タイプのチャック治具 右:やすり埋込みタイプのチャック治具
(画像=左・中央:純正品タイプのチャック治具 右:やすり埋込みタイプのチャック治具)

当社開発のチャック治具の特徴

純正品タイプのチャック治具は耐久性の良い物が多いですが、それだけに非常に高価な製品となっているためコスト面で苦慮されている企業様も多いようです。
Mipoxのスチールワイヤーチャック治具は技能五輪大会向けの高精度なやすり目立て技術を応用した、やすり埋込みタイプ用チャック治具となります。材質は「SS400」という鉄材を使用しており、浸炭窒化処理により表層に硬度を持たせ、靭性もあるため被削材を掴みやすくなっています。
目立て可能サイズは、【厚み=16mm x 幅=45mm x 長さ=400mm】となります。お客様のご使用機械に合わせ、ご要望のサイズ(厚み・幅・長さ)、目種(単目・複目)、目立てピッチ、片面・両面の目立てなど様々なご相談にお応えする事が可能となります。

 

まとめ

鋼線の引張強度試験では、適切なチャック治具が試験の精度に大きな影響を与えます。鋼線は高強度で滑りやすいため、高い保持力と摩擦力を備えたチャック治具が必要となります。こういった要素の必要性からお客様の機械に合わせたスチールワイヤーチャック治具の開発を行っています。このような発想の転換によって、やすり技術が削る用途とは全く異なる場面で活躍します。Mipoxの呉ベースでは固定概念にとらわれず新たな価値の創出に向け、これからも取り組んでまいります。弊社で開発したスチールワイヤーチャック治具を是非お試しいただければと思います。