プラスチック金型の研磨・磨きは、製品の品質を向上させるために非常に重要な工程です。この記事では、プラスチック金型に関する研磨の方法や注意点・技術について解説します。
■プラスチック金型とは
プラスチック製品やゴム製品などを成形する際に使用される道具です。金属製の型に溶融した樹脂を流し込み、冷却・固化させることで製品の形状を作り出します。金型は製品の形状に合わせて設計・製造されるため、製品の品質や生産性に大きな影響を及ぼします。

■金型の主な構造
- キャビティ(成形空洞):製品の形状を決める最も重要な部分です。溶融樹脂が流れ込む空間で、製品の外形を決定します。
- コア:キャビティの内部空間を形成する部品です。製品の内部形状を決定します。
- スプルー:溶融樹脂が金型内部に流入する入口部分です。
- ランナー:スプルーから各キャビティへ樹脂を導く通路です。
- ゲート:ランナーからキャビティへ樹脂を流し込む箇所です。
- エジェクタ:成形品を金型から取り出す機構です。
- 冷却回路:金型内部を冷却し、成形品を固化させる仕組みです。
■プラスチック金型の用途
プラスチック金型は、さまざまな用途で使用されており、以下のような分野で特に一般的です。
- 自動車産業: 自動車の内装部品、外装部品、エンジン部品など、多くのプラスチック部品が金型を使用して製造されています。
- 家電製品: テレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品の外装や内部部品もプラスチック金型で作られています。
- 日用品: 食器、容器、掃除用具、玩具など、日常生活で使用する多くの製品がプラスチック金型を用いて製造されています。
- 医療機器: 注射器、医療用容器、診断機器など、医療分野でもプラスチック金型が重要な役割を果たしています。
- 電子機器: スマートフォン、コンピュータ、周辺機器などのケースや内部部品もプラスチック金型で製造されます。
- 包装: プラスチック製の包装材や容器も金型を使用して作られ、食品や化粧品などの包装に利用されています。
- 産業機器: 機械部品や工具のハウジングなど、産業用のプラスチック部品も金型を使って製造されます。
これらの用途において、プラスチック金型は高い精度と効率を持って大量生産を可能にし、さまざまな形状やデザインの製品を作ることができます。
■金型の研磨(磨き)
金型の研磨(磨き)は、金型の性能を維持し、製品の品質を安定させるために重要な工程です。研磨には以下のような目的があります。
- 表面粗さの改善:キャビティ面やコア面の表面粗さを改善することで、成形品の外観や触感を向上させます。
- 型離型性の向上:金型表面の研磨によって型離型性が向上し、成形品の取り出しが容易になります。
- 耐久性の向上:研磨によって金型表面の硬度が上がり、金型の耐久性が向上します。
- 成形品の品質安定化:表面粗さの均一化や型離型性の向上により、成形品の品質が安定します
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■金型の研磨方法
金型の研磨には以下のような方法があります。
手研磨 研磨布紙やバフを使って手作業で研磨する方法です。細かい部分の研磨に適しています。 手研磨用工具も作業し易いように作業者独自の工具を作成し繊細な磨きを実現しております。
(※画像提供:関西研磨工業株式会社様)機械研磨 研磨機を使って自動的に研磨する方法です。大面積の研磨に適しています。
- 電解研磨 電解液中で金型を陽極として通電し、金属を溶解除去する方法です。滑らかな仕上がりが得られます。
- ショットブラスト 圧縮空気を使って研磨材を金型表面に吹き付ける方法です。素早く研磨できます。
- レーザー研磨 レーザー光を照射して金属表面を溶融・蒸発させる方法です。高精度な研磨が可能です。
■研磨の留意点
金型の研磨を行う際の主な留意点は以下の通りです。
- 研磨方法の選択 金型の材質や形状、研磨目的に合わせて適切な研磨方法を選択する必要があります。
- 研磨面の管理 研磨面の状態を定期的に確認し、必要に応じて再研磨を行う必要があります。
- 研磨剤の選択 研磨剤の粒子径や硬度を適切に選択し、金型表面を傷つけないよう注意が必要です。
- 研磨時間の管理 過剰な研磨は金型表面を損傷する可能性があるため、適切な研磨時間を設定する必要があります。
- 冷却管理 研磨時の摩擦熱によって金型が過剰に加熱されないよう、適切な冷却管理が重要です。
■まとめ
プラスチック金型の研磨は、製品の品質や生産効率を向上させるために欠かせない工程です。研磨の基本工程や使用する道具、注意点を理解し、最新の技術を取り入れることで、より高品質な製品を生産することが可能になります。金型磨きの技術は常に進化しており、今後も新しい技術や方法が登場することが期待されます。研磨技術向上に弊社製品も一役を担っております。