はじめに

金属バット市場は、学生野球を中心に安定した需要を維持しています。高校野球や少年野球での使用が主流であり、耐久性と打球の飛距離を重視した製品開発が進んでいます。近年は、軽量化と強度のバランスを追求した高性能アルミ合金や複合素材の採用が増加し、価格帯も幅広く展開されています。各メーカーは振動吸収技術や打球感の向上に力を入れ、競争が激化しています。安全性への配慮から反発力規制が厳格化する一方で、選手の成長に合わせたカスタマイズ需要も高まっています。

金属バット
(画像=金属バット)

金属バット製造の基本工程

金属バット製造における基本工程は以下のとおりです。

  1. 素材選定・調合
  2. 押出成形または鋳造
  3. スウェージング(絞り加工)
  4. 熱処理
  5. 研磨工程
  6. 表面処理・塗装
  7. 最終組立・検査

研磨について

金属バットは、スウェージング(絞り加工)や熱処理などの工程を経ています。これらの工程で生じた表面の酸化膜や微細な傷、加工痕を除去するため、最初に「前処理研磨」が行われます。前処理研磨では、バフ研磨やブラスト処理などを用いて表面の粗い部分や不純物を取り除きます。アルミニウム合金バットの場合は特に、熱処理後の表面に生じる酸化膜の除去が重要です。

研磨工程について

粗研磨

比較的粗い研磨材 80~180番を用いて、成形時の加工痕や表面の大きな凹凸を除去します。この段階では、ベルトサンダーや専用の研磨機を使用することが一般的です。

中間研磨

240〜400番程度の研磨材を用いて、より細かな表面処理を行います。この段階で、バットの表面の均一性が高められます。

仕上げ研磨

600番以上の研磨材を使用し、表面を滑らかに仕上げます。高級金属バットでは1000番以上の研磨材も使用されます。

バフ研磨

最終段階ではやフラップホイールやバフに研磨剤を付けて、表面を鏡面のように仕上げます。アルミニウム合金バットではこの工程が特に重要となります。

研磨材 研磨材

特殊研磨

高性能金属バットの製造では、以下のような特殊な研磨技術も用いられます。

・電解研磨

電気化学的作用を利用して金属表面を均一に除去する技術です。微細な表面処理が可能で、応力除去にも効果があります。

・振動研磨

バットを振動装置に入れ、特殊な研磨材と共に振動させることで均一な研磨を行う技術です。複雑な形状部分の研磨に適しています。

・ショットピーニング

微小な金属球や硬質材を高速で表面に打ち付け、表面を硬化させると同時に微細な凹凸を作り出す技術です。疲労強度の向上に効果があります。

研磨完了後、金属バットは陽極酸化処理(アルマイト処理)や塗装などの表面処理に進みます。研磨の品質はこれらの仕上げ工程の出来栄えに直接影響します。完璧に研磨された表面は、均一な表面処理を可能にし、耐久性と美観を向上させます。

まとめ

金属バットの製造工程における研磨は、バットの性能と品質を左右する重要な工程です。適切な研磨によって金属材料の特性を最大限に引き出し、優れた打球感と耐久性を持つバットが完成します。近年では、コンピュータ制御による自動研磨システムも導入されていますが、依然として熟練職人の技術と経験が重視される分野でもあります。金属バットの進化は、このような精緻な研磨技術の発展とともに続いています。Mipoxでは様々な研磨材の提案が可能ですので、研磨についてはぜひ当社までご相談ください。