研磨作業において、ベルト研磨材は非常に重要な役割を果たします。適切な研磨材を選定することで、作業効率や仕上がりの品質が大きく向上し、生産コストの削減にもつながります。本記事では、ベルト研磨材の種類とその使い分けについて詳しく解説します。
1. ベルト研磨材の基本構造
ベルト研磨材は主に以下の3つの要素で構成されています。
- 基材(バック材):紙、布、不織布、ポリエステルなど。
- 砥粒:アルミナ、シリコンカーバイド、ジルコニア、セラミックなど。
- 接着剤:樹脂系または動物膠(にかわ)など。 これらの組み合わせによって、ベルト研磨材の性能や用途が決まります。

(画像=左:耐水ロール・ベルト 右:空研ぎロール・ベルト)
2. 砥粒の種類と特徴
ベルト研磨材に使用される主な砥粒の特徴は以下の通りです。
- アルミナ系(酸化アルミニウム)
・一般金属や木材の研磨に適しており、耐久性が高い。
・ コストパフォーマンスが良く、広く使用されている。 - シリコンカーバイド(炭化ケイ素)
・硬度が高く、ガラスやセラミック、非鉄金属の研磨に適している。
・砥粒の割れやすさを利用して、鋭い研磨力を維持できる。 - ジルコニア
・鉄鋼やステンレスの重研磨に適し、高い耐久性を持つ。
・研磨時の発熱を抑える効果があり、連続使用に適している。 - セラミック
・ 超高硬度の素材向けで、耐摩耗性が非常に高い。
・長寿命で効率的な研磨が可能。
・ ステンレスや難削材の加工に最適。

(画像=左:一般金属・特殊鋼金属用 レジンクロスベルト 右:非鉄金属・仕上げ用 レジンクロスベルト)
3. 基材の種類と用途
基材(バック材)は、使用環境や加工対象によって適切に選定する必要があります。
- 紙
・コストが低く、手作業や軽研磨に適している。
・湿気に弱く、耐久性が低い。 - 布
・柔軟性と耐久性があり、金属や木材の研磨に適する。
・研磨中に適度にたわむことで、均一な研磨が可能。 - ポリエステル
・耐水性や耐熱性に優れており、湿式研磨や高負荷作業に最適。
・重研磨用途でも長寿命。 - 不織布
・仕上げ研磨やバリ取りに適しており、ソフトな研磨効果を持つ。
・表面の均一な仕上げが可能。

(画像=ベルトNTB)
4. 用途別のベルト研磨材の選定
用途に応じたベルト研磨材の推奨砥粒とその粒度について具体的に見ていきます。
- 金属加工(鉄、ステンレス)
・荒研磨:ジルコニアまたはセラミック砥粒(P36-P80)
・中間研磨:アルミナ系砥粒(P120-P240)
・仕上げ研磨:シリコンカーバイドまたは不織布(P400以上) - 木工・家具加工
・成形加工:アルミナ系砥粒(P80-P150)
・仕上げ研磨:シリコンカーバイドまたは不織布(P180-P400) - プラスチック・樹脂加工
・粗削り:シリコンカーバイド(P60-P120)
・最終仕上げ:微細なアルミナ砥粒(P240-P600) - ガラス・セラミック加工
・荒研磨:シリコンカーバイド(P36-P80)
・仕上げ研磨:超微粒子のシリコンカーバイド(P400-P1000)

(画像=左:重研削・難削材用 レジンクロスベルト New Z 右:重研削・難削材用 レジンクロスベルト ファインセラ)
5. ベルト研磨材の管理
ベルト研磨材の寿命を延ばし、最適な性能を維持するためには、以下の管理が重要です。
- 保管方法
・湿気や直射日光を避け、適切な温度・湿度で保管する。
・ 過度な曲げや圧力を加えないようにする。 - 使用時の注意点
・適切な研磨速度と圧力を守る。
・目詰まりを防ぐために、エアブローやクリーニングスティックを活用する。 - 交換のタイミング
・研磨性能が低下したら早めに交換する。
・ベルトに亀裂や破損が見られた場合は、即座に交換する。
6. まとめ
ベルト研磨材を適切に選定し、用途に応じた使い分けを行うことで、作業の効率化とコスト削減が実現できます。使用環境や加工対象に合わせて最適な研磨材を選び、適切な管理を行うことが、安定した品質の維持につながります。 研磨作業の品質向上のためにも、本記事を参考に適切なベルト研磨材を選定してください。