近年、自動車産業や産業機械、さらには家庭用電化製品など幅広い分野において電気エネルギーを利用した方式へと移行が進められており、ケーブルや電子部品、その他の産業用部品は曲げや振動といった機械的ストレスに晒される一方で、適切な絶縁性の維持が求められています。

電気エネルギー

屈曲性と絶縁性はなぜ必要?

装置や回路の安全性、信頼性、長寿命を確保するために、屈曲性と絶縁性の両方が非常に重要です。 主な理由は以下のとおりです。

  1. 安全性の維持
    ・屈曲や振動による絶縁材料の摩耗、亀裂が発生すると、漏電や短絡の原因となり、機器や人命に危険を及ぼす可能性があります。
    ・適切な絶縁性を保持することで、電流の不意の流出を防ぎ、安全な運用が実現されます。

  2. 長期耐久性と信頼性
    ・実運用において、ケーブルや配線、電子部品は頻繁に曲げられる、あるいは振動する環境に晒されます。
    ・屈曲性の高い設計・材料は、曲げによる疲労劣化を低減し、長期間にわたり安定した絶縁性能を維持することが可能となります。

  3. 法規制・規格への適合
    ・国際的な安全規格や業界標準では、屈曲中の絶縁性が重要な評価項目として位置付けられています。
    ・これらの規格に適合するためには、屈曲や振動などの実際の使用環境においても十分な絶縁性能を発揮できる設計が求められます。

  4. 製品設計と材料選定の指針
    ・屈曲性と絶縁性の両方を高めるためには、使用される材料の特性や組み立て方法、構造設計が非常に重要です。
    ・例えば、柔軟性の高いシリコンやPTFEなどの材料を採用することで、曲げ疲労に強く、かつ高い絶縁性能を実現できます。

    以上の理由から、電機分野では機械的ストレスや環境変化に耐えるための屈曲性と、安全かつ確実に電流を遮断する絶縁性が不可欠であり、これらの要素は製品の品質、耐久性、安全性に直結しています。

絶縁試験

屈曲性と絶縁性はどうやって試験するの?

屈曲試験と絶縁試験は、製品の品質や耐久性を評価する際に重要となる2つの試験項目です。

【屈曲試験】
・目的: 屈曲試験は、対象物を一定回数・一定角度で曲げることで、日常使用や環境条件下での物理的な耐久性や疲労特性を検証することを目的としています。
・手法: マンドレル屈曲試験のように、円筒形の部品(マンドレル)に試験部材(例えば、ケーブルやバスバー)を巻き付け、機械的に繰り返し曲げたり、特定の角度で保持した状態でテストすることが一般的です。

【絶縁試験】
・目的: 絶縁性試験は、材料や製品が電気的に安全な状態を保っているか、または設計通りの絶縁性能を発揮しているかを確認する試験です。これにより、意図しない電流漏れや短絡、回路の破損といった問題を防ぐための安全性が評価されます。
・手法: 電圧を印加して漏電を測定する「絶縁抵抗試験」や、耐電圧試験など多様な方法があります。これにより、絶縁材料が持つ誘電特性、耐電圧性、表面状態や材料内部の欠陥をチェックします。

絶縁試験

【両試験の関連性】
屈曲試験中に絶縁材料が破損したり、ひび割れが発生すると、電流が漏れる危険性が高まり、新たな安全上の問題となります。したがって、耐屈曲性が高い設計や材料が、長期にわたる絶縁性の維持に寄与する場合が多いです。
このように、両者はそれぞれ独立した検査項目でありながら、実際の製品性能や安全性を総合的に評価するうえで、相補的な役割を果たしています。

絶縁塗料

まとめ

パーツの屈曲絶縁は、製品が実際の使用環境下で安全かつ安定して動作するために不可欠な要素となります。弊社の提供するIH誘導加熱塗装において、被膜コーティングでの屈曲性および絶縁性のニーズも増加しております。ぜひ一度ご相談ください。