近年、人工知能(AI)技術は驚異的な進化を遂げています。その中でも注目を集めているのが、「光回路AI」と呼ばれる新しい計算アーキテクチャです。光の位相や干渉を用いて情報処理を行うこの技術は、従来の電子回路に比べて桁違いの省電力性と高速性を実現できるとされ、次世代のAIインフラとして期待されています。

こうした光回路AIのコア技術を支えるのは、極めて高い光学的均質性と機械的平坦性を兼ね備えた光学部品やナノレベルで構成される微細構造体です。実は、その性能の根幹にあるのが「研磨技術」です。Mipoxは創業100年を超える研磨フィルムメーカーとして、次世代情報技術を支える「見えないインフラ」として、独自の超精密研磨技術を提供しています。

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光回路AIと研磨の関係:不可視の精度を追求する世界

光回路AIでは、回折格子や位相パターン、干渉フィルターといった光学素子が信号処理の中心を担います。これらはナノ~サブミクロンレベルで光を制御するため、製造過程においてわずかな表面の歪みや微細な欠陥が全体の性能に大きく影響します。反射や散乱によるロスを極限まで抑えるには、基板表面の「面粗さ(Ra)」を数nm以下に抑える研磨プロセスが不可欠です。

Mipoxではハードディスクや半導体向けに培ってきたナノスケールの表面仕上げ技術を応用し、こうした光学系構造体や光ファイバーの製造支援に対応しています。特に、以下のような部材において強みを発揮しています:

  • フォトニック集積回路用のSi、SiN、LiNbO₃等のウェーハ研磨
  • 光学フィルムや反射防止コーティング前の基材研磨
    • 回折格子・干渉素子の製作時に使用される高平坦・低ダメージな表面処理
  • 光ファイバーの端面研磨
FO 研磨材

「塗る・切る・磨く」で世界を変える──Mipoxの技術資産

Mipoxは、製品と受託加工の両面からエンジニアリングサービスを提供しており、単なる素材供給にとどまらず、「お客様のつくりたいモノを、一緒につくる」姿勢を貫いています。とくに「磨く」技術においては、世界のデータストレージ産業でトップシェアを持つ研磨フィルムを提供してきた実績があり、その技術は光学・通信分野にも拡張されています。

光回路AIにおいては、製造時の表面精度が直接的に信号処理効率やノイズ耐性、消費電力に影響します。Mipoxは、電子光学機器に求められるサブナノ精度の研磨ニーズに対し、次のようなソリューションを展開しています:

  • 多層構造基材への低ダメージ仕上げ
  • 高反射率を保つための微粒子型研磨フィルム
  • プローブカードや光学プローブ用の特殊用途研磨材

また、加工評価用の測定機器(AFM、干渉計、SEMなど)を自社内に保有し、試作から量産スケールまで一貫したサポート体制を構築しています。

AI

新たなテクノロジーと、静かに支える研磨技術の融合

AIや半導体といった先端分野では、世間の注目が最終製品やアルゴリズムに集まりがちですが、その裏側では高度な材料技術と表面処理技術が不可欠です。特に、光回路AIのような新技術は、精密加工技術と不可分の関係にあります。

Mipoxは、「塗る・切る・磨くで世界を変える」という使命のもと、次世代技術の実現に貢献する研磨ソリューションを提供し続けています。未来のAIが光の速さで思考し、電力消費を極限まで抑えるその日を支えるために研磨の力が、今まさに必要とされています。