皆さんステンレス研磨で困っていませんか?今回は、ステンレスの特徴や研磨方法についてお話します。 ヘアライン仕上げでは、研磨方法により粗い研磨目や短く連続した研磨目などが可能です。また、研磨材の粒度を変えることで、ヘアラインの細かさや仕上がりを変えることも可能です。そうしたヘアラインの細かさや方向、加工順番に工夫をすることで、自動車関連や水洗金具業界で採用されています。 ステンレスの研磨方法を理解すれば現状より品質の高い研磨が可能になり、結果として製品品質及び作業効率が向上します。

目次

  1. ステンレス研磨
    1. ステンレスとは
    2. ステンレスの組成
    3. ステンレスを研磨する理由
    4. ステンレス研磨の種類
  2. ヘアライン研磨
    1. ヘアラインとは
    2. ヘアライン加工とは
    3. ヘアライン研磨方法
  3. まとめ

ステンレス研磨

ステンレスとは

ステンレスは英語でstainless steelといいます。stainlessとは「さびない」と言う意味です。

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ステンレスの組成

ステンレスは鉄(Fe)を主成分とし、クロム(Cr)を含むさびにくい合金です。現在は、鉄等の材料に比較するとさまざまな業界で使用量が伸びている素材です。ステンレスの使用量の増加要因は、軽くて耐久性があるからです。

ステンレスを研磨する理由

ステンレスは、棒材など加工前の段階で工場に納品されます。製品として販売するためには前工程で研磨が必要になります。しかし、ステンレスは研磨が難しいです。理由は、ステンレスは、研磨で力を加えると加工硬化といって表面が硬くなる性質があります。そのため、研磨が難しい難削材と呼ばれています。研磨を行うことで建築、自動車等さまざまな分野で使用できる素材が完成します。

ステンレス研磨の種類

ステンレス研磨にはオーソドックスな仕上げで下記5種類があります。
・最も使用量が多いステンレス研磨→ヘアライン研磨
・均一な表面を出す仕上げ→バフ研磨
・万能なステンレス研磨仕上げ→バイブレーション研磨
・仕上がりはきれいだが加工が難しいブラスト研磨
・鏡のような鏡体仕上げ→鏡面研磨

今回は、使用量も多く表面加工で重要度が高いヘアライン研磨について説明します。

ヘアライン研磨

ヘアラインとは

ヘアラインとは、単一方向への研磨により生成された髪の毛ほど細く長い筋目のことです。

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ヘアライン加工とは

ヘアライン仕上げとはステンレス表面にヘアラインをつける仕上げ方法のことです。 ヘアライン仕上げでは光沢をなくし、つや消しを行なうことで、表面に光沢のあるステンレスよりも金属の質感をはっきりさせ、落ち着いた雰囲気、金属感、高級感を演出できます。

ヘアライン研磨方法

1. 黒皮除去
黒皮とは、熱間圧延で作られた鋼板(熱間圧延鋼板)などの表面を覆っている酸化皮膜のことです。
黒皮の上から塗装やコーティング等を行うと、時間の経過とともに塗膜がはがれてしまったり、塗膜内部に錆が発生し表面が膨れてしまったりします。被膜を行って耐久性アップを行ったにもかかわらず密着不良等をおこしてしまい塗装が長持ちしない原因となります。

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【当社製品での提案】
黒皮除去にはジルコニア砥粒を使用します。
まず、目の粗い研磨布を用いて、加工物の表面の黒皮や異物を取り除きます。 研磨布には粒度が存在し、砥粒の大きさ(粒度)によって数字が振られています。数字が小さいほど砥粒が大きく、目が粗いため削りも大きくなります。

レジンクロスベルト NEWZ-B 01
New Z
製品名NEWZ-B 01
粒度#60・#80
使用方法ベルト研磨
用途ステンレス・チタンなどの難削材の研削研磨に最適でなじみ性がよく手研磨でも使いやすいです
黒皮はステンレス表面にしっかり密着して除去に時間がかります。
そこで砥粒に耐久性があり重研削に強いジルコニア砥粒を使用ししっかり黒皮を除去することができます。

2. 黒皮除去後の粗い研磨目除去(ならし工程)
黒皮除去には粒度60、80を使用し研磨目がかなり粗い表面になります。研磨目をなめらかにするために仕上がりが細かい研磨布を使用します。黒皮除去工程で使用した研磨布よりも目が細かい粒度を使用します。この工程で凹凸や異物を取り除いた表面をさらに「ならし」ていきます。

レジンクロスベルト WRAX-B
 
製品名WRAX-B
粒度#100・#120
使用方法ベルト研磨
用途一般金属向け湿式標準品。重研削から研磨まで広範囲な作業が可能です。

3. 仕上げ
WRAX-Bで粗い粒度のペーパー目消しを行った後、ヘアライン加工研磨の最終工程となります。使用する研磨材の粒度をさらに細かくし研磨していきます。黒皮除去、ならし工程で平らにした表面にヘアラインを出すための工程です。さらに目の細かい研磨布を使用し、ヘアラインが均一に出るように表面を削りながら磨いていきます。また、最終仕上げによっては、このあとに行う鏡面仕上げの前処理段階として必要な工程になります。

レジンクロスベルト WRAX-B
製品名WRAX-B
粒度#400・#600
使用方法ベルト研磨
用途ステンレスに均一なヘアラインの目をつけて完成です。
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まとめ

今回はステンレスのヘアライン研磨について、工程や種類を解説しましたがいかがでしたでしょうか。 ヘアライン仕上げは、普段身の回りでも見かけることの多い表面仕上げで、正しい方法を押さえればきれいな加工が可能となるシンプルな加工法です。 しかし、ヘアライン加工はステンレスにでる曲線を均一につけるには熟練の技術が求められる加工法でもあります。 ステンレス加工はヘアライン加工以外にも大切な研磨工程があります。溶接によって盛り上がったビート部分や、切り離した際に残ったバリを取っていく作業です。ビートやバリが発生しているときれいなヘアライン加工が出せません。次回は、ステンレスのビートやバリ取りの解説をしたいと思います。
用途に適している研磨材を選べずお困りの時には、ぜひMipoxにご相談ください!