アルミ素材研磨に困っている方は多いのではないしょうか。アルミは素材が柔らかく薄いタイプが多いため研磨方法に苦労することがあります。表面だけを手作業でペーパー仕上げするのであれば、問題はありません。しかし、寸法精度が求められる機械研磨では熱の影響も強く受けるため、研磨加工ではシビアな作業が求められます。
今回は、アルミ素材で研磨加工が難しい自動二輪用アルミパーツ研磨について説明します。

目次

  1. アルミ素材とは
  2. アルミ素材の特徴
  3. アルミ素材研磨での砥粒選定
  4. アルミ素材研磨工程
  5. まとめ

アルミ素材とは

非鉄金属のアルミは表面が薄い酸化膜で覆われており、腐食を防ぐ効果を持つとともに、酸化アルミニウムよる被膜で物理的に金属表面を保護するという効果もあります。
ただ、軽いだけでなく、表面の硬さという点で見ればアルミニウムの純度が高いものほど傷がつきやすくなるため、注意を払う必要があります。アルミニウムは高い熱伝導性を持つことと、融点が600℃前後となるため、研磨中の温度上昇には他の金属以上に注意を払う必要があります。
また、鉄鋼材料同様に、純アルミニウムとそれぞれのアルミ合金の機械的な強度が著しく違うため、加工しようとしているアルミがどの部類のものなのかは事前に把握しておく必要があります。

Aluminum
(画像=アルミニウム)

アルミ素材の特徴

アルミニウムは鋳造性の高い材料のため、ダイカストや鋳物などでもよく利用されます。現在のアルミニウム加工の多くは、切削加工が必要となります。切削加工のみでは面精度を出すことはできません。面精度を出すには研磨加工が極めて重要な工程となります。

アルミ素材は研磨性が極めてよい素材ですので、切削で表面粗さを得ることができるのであれば、それ以上の研磨工程を省いてコストダウンを図るという考え方が主流です。とはいえ、鏡面に近い精度を出したい場合や曲面などの加工を行う場合には、研磨が必要となる状況も依然多いといえます。これらの場合のみ、バフ研磨という形で仕上げることもあります。

アルミ表面
(画像=アルミ表面)

アルミ素材研磨での砥粒選定

研磨材としては、ジルコニア砥粒がよくマッチします。ジルコニア砥粒は、アルミナ質のA砥粒に比べて硬度に優れ、砥粒の破砕性に優れた研磨材です。一般的に「破砕性に優れる」と言うと、砥粒がよく割れるため良くないと解釈されることもありますが、実は破砕性の良い砥粒の方が切れ味が優れます。

アルミ素材研磨工程

自動二輪用のアルミパーツとしては、エンジンハンガー・ホイール・スイングアーム・シリンダーヘッドカバーなどがあります。アルミパーツの種類によっては研磨材をまったく使用しない製品もあります。
今回は、エンジンハンガーの研磨工程に沿って説明していきます。
エンジンハンガーは、鋳造された製品が検品され良品・不良品に分けられます。その後、研磨工程へ移行します。主な研磨部位としては、エンジンハンガー湯口ゲートのバリ取り除去等で研磨材を使用します。

研磨工程使用研磨材
使用砥粒:ジルコニア

当社製品名:New Z-B02
粒度:♯40・♯60
ベルトサイズ:50×3350

当社製品名:New Z-B02
粒度:♯80・♯100
ベルトサイズ:50×2100

New Z
(画像=レジンクロスベルト New Z)

エンジンハンガー研磨工程で特に使用頻度が高い粒度は♯40・♯100になります。 テストワークでの試作を繰り返し研削力・耐久性共に諸条件をクリアしました。
次に仕上げ工程に移ります。この工程では、湯ジワ取り・表面外傷除去などが行われます。使用される研磨材は以下になります。

仕上げ工程使用研磨材
使用砥粒:ジルコニア・アルミナ

当社製品名:New Z-B14
粒度:♯36・♯40・♯60・♯80・♯100
ベルトサイズ:20×520

当社製品名:DRAD-RDSM
粒度:♯100
サイズ:125φ
工程内のほとんどがエアサンダーでの研磨作業になります。

マジックタックペーパー
(画像=マジックタックペーパー)

まとめ

アルミ素材は様々な研磨材と研磨粒度を変更し研磨作業を行っていきます。研磨業界のパイオニアとして技術を磨いてきたMipoxでは、多種多様化したユーザー様のニーズに対応できる製品作りおよび提案活動を行っていきます。今後も新しい製品を皆様にお伝えしていきます。研磨でお困りのことがありましたら当社にお問い合わせください。