前回は、塗装焼付乾燥工程の「燃料依存」をIH粉体塗装システムで解く話をお伝えしました。
今回は三本柱の二本目――レーザー剥離装置です。
塗装ラインで「燃料」の次に深刻な依存構造が潜んでいるのが、ハンガー治具の塗装剥離工程です。ここは長らく、薬液(強酸・強アルカリ)、有機溶剤(シンナー)、そしてガスバーナーや熱処理炉による焼成という三択の世界でした。原油クライシスでシンナー価格が高騰し、都市ガス・LPGコストも上昇しているいま、この「もう一つの依存」を正面から見直す時期に来ています。
剥離工程が抱えてきた「三重苦」
塗装ハンガー(治具)は繰り返し使用されるため、定期的に塗膜を剥離しリセットする必要があります。この剥離工程は、製造現場が長年抱えてきた「三重苦」の温床です。
レーザー剥離装置とは ― 「電気だけで剥がす」という発想
マイポックスのファイバーレーザー剥離装置は、高速1軸スキャナ方式のファイバーレーザーで塗膜・錆をスキャンして除去します。母体(金属素材)にダメージを与えることなく、薬液もシンナーも一切使わずに剥離が完結します。
ロボットアームにレーザーヘッドを持たせることで、単体では困難だった照射強度・焦点距離・レンズの角度などの加工条件を最適化し、安定した自動化を実現します。レーザー照射の死角を排除し、極めて高い再現性を得るこの「レーザーとロボットの統合制御技術」は、マイポックスの独自のアプローチであり、グローバル市場を見据えた技術開発の実績として国際特許を出願・公開済みです(国際公開番号:WO 2026/074882)。
装置の主要仕様
| 印字方式 | X軸ガルバノスキャナ方式 |
| レーザー種類 | ファイバーレーザー クラス4 |
| レーザー波長 | 1080nm |
| 平均出力 | 1500W |
| 焦点距離(f0レンズ) | 1083mm |
| スキャン範囲(最大) | 300mm |
| スキャンスピード(最大) | ≦27,000mm/s |
| 冷却方式 | 水冷 |
| 定格電圧 | 単相200V±10% 50Hz / 60Hz(ご注文時に選択) |
| 最大消費電力 | レーザー発振器 5,000W/水冷機 1,958W |
| 水冷設定温度 | 夏季:26〜28℃ / 冬季:24〜26℃ |
| 使用湿度 | 10〜80%RH(結露なし) |
| 保管温度 | −20〜50℃(結露なし) |
| 保管湿度 | 10〜95%RH(結露なし) |
| 重量 | ヘッド 1.1kg / 本体 180kg |
| 外形寸法 | W700 × H1060 × D926.9mm(突起物含む) |
従来工法との比較 ― 何が変わるのか
省エネ補助金対象設備としての活用
レーザー剥離装置は、省エネ補助金の対象設備として申請が可能です(Ⅱ. 電化・脱炭素燃転型、またはⅢ. 設備単位型)。薬液・燃料から電気への工程転換は、補助金制度の「電化・脱炭素」の趣旨と合致します。
レーザー剥離が「正解」になる場面
以下のいずれか一つでも該当する現場であれば、レーザー剥離装置の導入を検討する価値があります。そしてこれらのほとんどは、今回の原油クライシスとは無関係に、製造現場が以前から抱えてきた課題でもあります。
おわりに ― 「薬液を使わない剥離」という選択肢を持つこと
シンナーが入手しにくい、廃液処理のコストが重い、ガス焼成の高温で治具が傷む、作業者の安全を確保しながら剥離ラインを回し続けるのがつらい――そうした現場の声に、レーザー剥離装置は正面から応えます。
「いますぐ全面切り替え」でなくても構いません。まず「電気だけで剥離できる」という選択肢を手元に持っておくこと。それが、これからの製造現場のレジリエンスです。
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記事No,456
