クラッチプレートとフリクションディスクの2種類の部品を合わせた総称の事で、どちらも偏摩耗したり、変形したりすると、正常に駆動力が伝えられず滑ってしまいます。 クラッチプレートは、そもそも製造段階での研磨を必要としており、成型後のバリ取り研磨と整面研磨を行う必要があります。
エンジン車に欠かせないクラッチを構成する部品の一つにクラッチ板があります。

今回は、バリ取り研磨と整面研磨で用いる研磨方法と研磨製品をご紹介します。

目次

  1. 研磨方法のご紹介
    1. 研磨ベルトを使用した研磨方法
    2. 研磨ホイールを使用した研磨方法
  2. クラッチホイール研磨に使用する研磨材
    1. レジンクロス製品
    2. ホイール製品
  3. まとめ

研磨方法のご紹介

クラッチプレート製造工程におけるバリ取り研磨・整面研磨の代表的な研磨方法をご紹介します。

研磨ベルトを使用した研磨方法

布基材を使用した研磨ベルトを弊社ではレジンクロスベルトと呼んでいます。基本的には湿式研磨用の自動機にてプレートを流していき、研磨します。
自動機が湿式である理由は、主に研磨時に発生する摩擦によるヤケ防止と、目詰まりによるスクラッチ対策のためです。番手構成は#150・#180・#240・#280・#320・#400・#600とあり、バリの度合い・整面後の仕上げ面精度に応じて粒度選定し、3軸もしくは4軸にて構成します。 ワークによって都度粒度を変更する事もあります。

メリット:研削性が強い→送りスピードを速くできます
プレス後のバリの形状が厳しい場合に効力を発揮します。

研磨ホイールを使用した研磨方法

不織布ホイールやセラミックホイールを使用した研磨方法です。基本的にはベルト研磨と同様、湿式になります(理由も同様です)。不織布ホイールとセラミックホイールを混合したり、どちらか一方のみを使用したりと、ワークによって変更します。
番手構成は不織布ホイールで#80・#120・#240・#320#400、セラミックホイールで#320・#400・#600となります。

メリット:ロングライフ・仕上げ面が安定します
成型後のバリが安定しており、数量をこなす場合にこちらの研磨方法が効力を発揮します。

  
(試作機になりますがこういった機械を使用しプレートを流していきます)

クラッチホイール研磨に使用する研磨材

レジンクロス製品

 
レジンクロスベルト:一般金属・特殊鋼金属用
 WRAX-B S-23:湿式研磨用ベルト
特徴研磨材高密度タイプ  一般金属に対し湿式研磨で高研削力・高耐久力を発揮
粒度#40・#60・#80・#100・#120・#150・#180・#240・#280・#320・#400・#600・#800
CRCX-B:コルクベルト
特徴クッション材としてコルク粒を使用した製品
基材と研磨材の間に緩衝材の役割を果たすコルク粒を接着することで、2~3番手細かい仕上げ面が得られる
コルク粒の起伏により高耐久力が得られる
粒度#600

※主に仕上げ用のベルトとして使用されます。

ホイール製品

 
画像(左:TLFホイール)(右:LUBホイール)
TLFホイール:セラミックホイール
特徴 研磨砥石を立体構造に配列させたセラミックタイプの研磨ロール
ベークコアにスポンジを巻き柔軟性を持ち、馴染み性を向上
これにより、整・平面研磨性能においても優れた性能を発揮
粒度#320・#600・#800

LUBの不織布ホイールと組み合わせて使用してください。

   
LUBホイール:不織布ホイール
特徴不織布研磨材へ発泡樹脂を含侵させた研磨ホイール
高い研削性と高耐久性を実現
バフカス発生量を低減、打痕を低減できる構造
粒度#320・#600

まとめ

ここまで、クラッチプレート製造時に必要とする研磨工程と研磨材をご紹介してきました。
近年、ガソリン車などのエンジンを利用した自動車が減少傾向にありますが、インフラの問題を始めとして課題はまだまだあり、エンジン車に欠かせないクラッチプレートの製造はしばらく必要とされています。

弊社の強みは研磨材総合メーカーとしてベルト研磨でもホイール研磨でもあらゆる用途の研磨製品を提案できるところにあります。製品開発においても粒度の拡張や高耐久性を目指した製品を提供できるよう日々研究しております。今後も弊社の使命である「塗る・切る・磨くで世界を変える」を軸としてお客様に新たな価値を提供していきます。