架装 トラック

はじめに

国内貨物輸送の約9割を担う、日本の重要インフラである「トラック」に焦点を当ててご紹介します。トラックは過酷な環境に耐えるタフな構造を持ち、多くの専門パーツから構成されています。大枠として、ベースとなる車体(シャシー・キャビン)、見た目や空力を左右する外装(エクステリア)、トラック特有の荷台(架装)、その他の重要部品に分類されます。トラックのエンジンやシャシーは自動車メーカーから供給され、その後「架装メーカー」によって冷凍車、ダンプ、クレーン付きなど、用途に合わせた荷台(架装)が取り付けられます。

今回は、マイポックスの研磨材が多く使用されている「架装メーカー」での研磨工程をご紹介いたします。

目次

  1. 研磨の目的と重要性
  2. 素材
  3. 外装研磨の標準的な工程
  4. まとめ

研磨の目的と重要性

近年、トラック全体の商品価値を高めることが重要視されており、より美しい外観に仕上げることが求められています。トラックは企業ロゴやカラーリングを纏って公道を走る存在でもあり、外装の仕上がりがドライバーや荷主企業のブランドイメージに影響するとも言われています。また、研磨による下地処理は塗装の密着性を高め、剥離や錆の起点となる微細な傷・段差を減らす効果があるとされ、美観だけでなく防錆性能の観点からも重要な工程とされています。

トラックの平均所有年数は約11〜14年程度であり、使用期間中も美観を保つことが重要な課題となっています。年数を重ねても価値が落ちにくい車体に仕上げることは、下取り価格の維持にもつながるといわれています。

素材

架装には、多種多様な素材が用途に応じて選択・使用されています。ステンレスやアルミは装飾パーツや外板に、FRPは軽量化が求められる部位に、鉄はキャブやシャシーなど強度を要する部位に使われる傾向があります。素材によって硬度や熱への感受性が異なることから、研磨材の砥粒の種類や粒度、磨き方も素材ごとに最適なものを選ぶことが望ましいとされています。

ステンレス(SUS) アルミ FRP(繊維強化プラスチック) 鉄(キャブ・シャシー)


外装研磨の標準的な工程

外装研磨は、大きく分けて次の3つの工程で進められます。それぞれの工程について、詳しくご紹介します。

1
溶接ビード・バリ取り パネル接合部やバリを除去する作業
2
下地処理(足付け) 塗装の密着性を高めるための微細な傷付け作業
3
鏡面・仕上げ研磨 美観を極限まで高める仕上げ作業


①粗研磨(バリ取り・溶接ビード切削)

板金加工後、切断面に残る突起物や、二枚以上の部材を溶接によって接合した際に盛り上がる「溶接ビード」を研磨材で除去し、表面を平滑にします。

NewZベルト研磨布

研磨布ベルトにはアルミナ、炭化ケイ素、ジルコニア、セラミックなど様々な砥粒があり、研磨箇所に応じて選定します。粗研磨工程ではジルコニア砥粒が適しており、作業性の向上が見込めます。ハンドツールで使用するため小物から大型ワークまで対応可能で、手軽に使用できます。ベルト交換も簡単に行えるため、作業性がさらに高まります。

その他、ディスク仕様の「ハイハイディスク」でも研磨が可能です。

金属研磨画像

工具にはグラインダーを使用し、研磨面に追随してきれいな仕上がりとなります。基材の羽部分が2枚重ね仕様となっており、耐久性が高くクッション性も兼ね備えた製品設計のため、平面・曲面いずれの部位でも適度に馴染みながら使用できます。 ※削りすぎによる変色(熱歪み・焼け)を防ぐため、グラインダーを動かしながら作業を行います。

②中研磨(足付け・平滑化作業)

塗装前のワークの「段差解消」や「面出し」を行う工程です。 工具にはダブルアクションサンダーまたはオービタルサンダーを使用し、研磨材には研磨紙を用います。

工程別・粒度の目安 ・金属素地:#60〜#120 ・パテ研磨:#120〜#240 ・サフェーサー下地・足付け:#320〜#400 ※ワークの形状や素材により、粒度が前後する場合があります。


剛Qについて

作業時間を短縮するツールと研磨材の組み合わせにより、抜群の初期研削力が期待できます。ワークを素早く平滑にでき、熱による歪みや研磨ムラの発生も最小限に抑えられます。

・剛goQ:粒度規格 #60〜240
・Go9サンダー:ダブルアクション オービット9mm

パテ研磨(#120〜#240)からサフェーサー下地・足付け(#320〜#400)までの工程には、マジックタックペーパーが対応します。

パテ研磨とマジックタックペーパー

マジックタックペーパーは、パテ塗布後にできる周囲との段差をなめらかに馴染ませ、下地部分の塗装面に均一で細かい傷をつける「足付け」までを1シリーズでカバーします。用途に応じた特徴的な品種を数多く取り揃えており、作業時間の大幅な短縮に貢献します。

③仕上げ・鏡面研磨

ステンレスやアルミの装飾パーツをピカピカに光らせ、塗装後の肌(ブツ・タレ)を修正する工程です。 工具にはシングルアクションポリッシャーやギアアクションポリッシャーを使用し、バフとコンパウンドを工程に応じて使い分けます。

粗仕上げ ウールバフ+粗目コンパウンド
仕上げ ウレタンバフ+細目〜超微粒子コンパウンド


柔らかい布やスポンジでできたバフに液体研磨材コンパウンド(#1000〜2000)を塗布し、全体を磨き上げます。さらに超微粒子コンパウンド(#3000〜)とスポンジバフを使って鏡面仕上げを行うことで、光沢があり凹凸のない滑らかな表面に仕上がり、美観がさらに高まります。 ※オーロラマークやバフ目などのお悩みについても、改善提案が可能です。

ウジケ製品ラインナップと製品画像

まとめ

トラックは単に「物を運ぶ」だけの存在ではなく、日本の経済と社会のライフラインを支える重要な役割を担っています。原材料の調達から工場への部品配送、製品の出荷まで、サプライチェーンの各段階を支えているのがトラックです。 運ぶ製品によって荷台の形はさまざまであり、「架装メーカー」は、お客様の要望に応じた仕様で製造・出荷を行っています。外装塗装をはじめとする美しさも重要視されており、磨くための研磨材選定には細やかな配慮が求められます。研磨工程に関する課題や改善のご要望がございましたら、ぜひ弊社までお問い合わせください。


記事No,546