この記事でわかること
メッシュ・D・μm・#、4つの粒度表記の違い
同じD50でも数字が変わる理由
受け入れ前に確かめたい4つのポイント
分析ラボの作業台に置かれたダイヤモンド微粉とふるい、粒度分布グラフ
AIによるイメージ画像

目次

  1. 粒度表示は一つの物差しではない
  2. メッシュ表記と「D」表記 ― ふるいで決める世界
  3. ミクロン表記と「#」表記 ― ふるいが使えない世界
  4. 同じD50でも、測り方で数字が変わる
  5. 粗大粒は表示に表れにくい
  6. 受け入れの前に確かめたい四つのこと
  7. まとめ

粒度表示は一つの物差しではない

ダイヤモンド砥粒のカタログを並べてみると、粒度の書き方がそろっていないことに気づきます。どれも砥粒の大きさを表していますが、背景にある規格も測り方も異なります。

メッシュ表記325/400数字が大きいほど細かい
D表記(FEPA)D46数字が大きいほど粗い
ミクロン表記2-4μm範囲は分布の目安
番手表記#3000微粉の番手
濃い青=ふるいで決める表記 / 薄い青=ふるいが使えない微粉の表記

以前、この欄では粒度分布測定装置の測定原理について書きました。今回は、カタログや仕様書の数字を使う側がどう読めばよいかを整理します。

メッシュ表記と「D」表記 ― ふるいで決める世界

粗い砥粒の粒度は、ふるいで決まります。米国式のメッシュは1インチ当たりのふるいの目の数です。「325/400」なら、325メッシュのふるいは通り、400メッシュには残る粒子が主体という意味です。

ダイヤモンドやcBNといった超砥粒については、ISO 6106が粒度の区分やふるい、確認の手順を定めています。

一方、欧州のFEPAの体系では「D」の後にμmに基づく数字を付けます。メッシュとは数字の向きが逆なので、海外の資料を読むときは取り違えに注意が必要です。メッシュとμmの換算表も、資料によって数字が食い違うことがあるため、目安として扱うのが無難です。

ミクロン表記と「#」表記 ― ふるいが使えない世界

ダイヤ研磨フィルムの表面
マイポックス製 ダイヤモンド研磨フィルムの表面

数ミクロンの微粉は、ふるいでは扱えません。たとえばJIS R 6001-2はF230〜F2000や#240〜#8000といった番手を定め、粒度分布の試験方法としてX線透過沈降法、電気抵抗法、沈降管法を示しています。

ただし対象は研削といし用のアルミナ質・炭化けい素質研削材で、遊離砥粒や研磨布紙、ダイヤモンド微粉にそのまま当てはまるものではありません。

また「2-4μm」のような範囲表記は、すべての粒子がその範囲に収まるという意味ではありません。

「2-4μm」が示している範囲(イメージ)
下限より
細かい粒子
分布の大部分
(2〜4μm)
上限を超える
粗大粒
両端をどこまで許すかは、表記とは別の取り決めです。

範囲表記だけで同じ製品と判断せず、仕様書の最大粒径や分布の幅もあわせて確認しましょう。

同じD50でも、測り方で数字が変わる

ミクロン領域の数字は、何で測ったかに左右されます。代表的な2つの方式を比べてみます。

例:マイクロトラックレーザー回折・散乱法
測り方光の散らばり方から推定
基準体積基準
効きやすい粒子大きな粒子
例:ベックマン・コールターコールター法
測り方細孔を通る粒子を一粒ずつ
基準個数基準も可
効きやすい粒子小さな粒子

そのため同じ試料でも、D50の値は基準によって変わります。万能な測定装置はなく、方式の違う結果を比べるには校正や換算の関係の把握が必要です。

カタログのD50を比べる前に、まず測定方式と基準がそろっているかを確かめましょう。

粗大粒は表示に表れにくい

研磨で本当に問題になるのは、分布の端にあるごく少数の粗大粒です。精密研磨では、粗大粒が残す一本のスクラッチが不良に直結します。

しかし通常の粒度分布測定は、ごく少数の粗大粒の混入を捉えるのが苦手です。粒子メーカーの中には、粗大粒だけを調べる独自の試験を設けているところもあります。

現場でも、分布測定では差が見えない二つのロットで、片方だけにスクラッチが出ることは珍しくありません。そうしたときは、フィルターで粗大側を集めて顕微鏡で確かめる地道な方法が頼りになります。

ここが落とし穴範囲表記もD50も、粗大粒が混じっていないことまでは保証していません。スクラッチに厳しい用途では、粗大側の管理方法を表示とは別に確認しましょう。

受け入れの前に確かめたい四つのこと

私がお客様にお勧めしているのは、次の四点の確認です。

1どの規格・体系の表記か
2どの装置で測ったか
3体積基準か個数基準か
4粗大側をどう管理しているか

そのうえで、受け入れ検査と製造側の測定法をそろえるか、両者の数字の関係を把握しておくことが大切です。新しい購入先の砥粒は、カタログの数字をうのみにせず、できれば自社の装置で測り直しましょう。

まとめ

粒度の数字は、それだけで品質を保証するものではありません。その数字がどの物差しで測られたのかまで含めて読むことで、初めて研磨結果を予測する手がかりになります。


記事No,574