線材にはさまざまな種類があり、用途も非常に多岐にわたります。当社では、特に実績のあるステンレス線材やピストンリング用線材の二次加工研磨に焦点を当ててご紹介します。研磨は、線材の品質を高め、製品としての信頼性を確保するために欠かせない重要な工程です。

「どの研磨材を選べば良いのか」「より効率的な研磨方法はないか」――こうした課題を抱える企業様も多いのではないでしょうか。当社は、少しでもこうした課題解決のお手伝いができるよう、製品や技術の提案に取り組んでいます。

線材の需要は、家庭用品、建材、自動車、化学、原子力、医療、ITなど、ほぼすべての産業分野に広がっています。また、種類も多岐にわたり、ステンレス線材、ピストンリング用線材、ピアノ線材、PC用線材、チタン線材、チタン合金線材など、用途に応じた多様な選択肢があります。

近年は、海外からの輸入材の増加により市場競争が一層厳しくなっています。かつては中国を中心に安価ながら品質面で劣ると評価されていましたが、現在では価格だけでなく品質も国内メーカーと肩を並べる水準にまで向上しています。こうした状況下でも、特殊加工技術を武器に競争力を維持する企業様の支えとなる製品を提供できるよう、私たちは日々努力を続けています。

線材のイメージ画像

目次

  1. 線材の一般基本工程例
  2. 研磨の目的
  3. ユニベックスホイールの特長
  4. 課題
  5. フラップホイールでの研磨
  6. 保守品の研磨
  7. さいごに

線材の一般基本工程例

工程 ユニット / 装置 役割・説明
被膜コーティングユニット 線材表面に均一な被膜を形成し、耐食性や導電性など機能を付与します。
伸線機ライン 線材を所定の太さまで引き延ばし、強度や精度を確保します。
バフ研磨ユニット 表面の酸化皮膜や微細な凹凸を除去し、光沢と平滑性を高めます。
化学洗浄ユニット 研磨で生じた残渣や油分を薬液で洗浄し、清浄な表面を作ります。
水洗浄ユニット 化学洗浄後の薬液を洗い流し、表面の安定性を確保します。
巻き取り機 処理を終えた線材をきれいに巻き取り、次工程や出荷に備えます。
各製品に加工 家庭用品・自動車部品・医療機器など、用途ごとに製品化されます。

研磨の目的

伸線工程を終えた線材の表面には、皮膜剤・潤滑剤・酸化スケールなどが付着しています。研磨の第一の目的は、これら不要な付着物を取り除き、清浄な状態に整えることです。さらに、次工程で使用される化学洗浄液のライフサイクルを延ばし、コストや環境負荷を抑える効果も期待できます。
バフ研磨ユニットでは、適度な研磨力と線材への追従性、そして安定した性能が求められます。これらの条件を満たすことで、線材の表面品質を大きく向上させることが可能です。ユニベックスホイールは、こうした工程に最適化されており、安定した研磨力で確実に品質改善に貢献します。

ユニベックスホイールの特長

Mipoxが取り扱うユニベックスホイールは、安定した研磨性能と幅広い用途に対応できる高機能製品です。

不織布研磨材
(Nikkenブランドの不織布研磨材)

1.均一で安定した研磨力
  特殊化学繊維の不織布に、砥粒を専用の接着剤で芯までしっかり含浸させる「ディップ方式」を採用。これにより、安定した研磨能力を長時間維持できます。

2.常に新しい研磨面を再生
  繊維と砥粒が同時に摩耗するため、使うたびに新しい研磨面が現れます。その結果、常に安定した研磨力と均一な仕上がりを実現します。

3.乾式・湿式の両方に対応
  基材と接着剤の特性により、乾式・湿式いずれの研磨にも使用可能。構造には、不織布基材をコアに渦巻き状に巻き付けたタイプと、放射状に接着したタイプの2種類があります。用途に応じて最適なタイプを選択できます。

課題

使用方法として湿式研磨されている場合が多くあります。被膜剤、潤滑剤がユニベックスホイールに含浸しやすく、目詰まりと近い現象ですが実際には表面が固まり、ホイール自体は摩耗してはいないが、使用できなくなるなどの問題があります。

ドレッシングなどで表面を削る対応が必要ですが手間とタクトタイムに影響が出ることもありますので、耐久性アップが当面の課題です。製品の特性上、同製品での対応はもちろんですが渦巻き状品、不織布研磨材の組み方の変更ホイールも可能で、ユーザー様の作業条件によりご提案することもできます。

基材を放射状に接着品は、基材の枚数を自由に選択することが可能になりホイール硬度選択のバリエーションが豊富で、より作業に最適な製品選択が可能となります。

ホイールの形状

フラップホイールでの研磨

フラップホイール
(画像=フラップホイール)

線材表面の研磨には、一般的にユニベックスホイールが使用されます。ただし、作業環境によっては、より強い研磨力を必要とするケースもあります。その場合に活躍するのが、フラップホイール(当社製品名:NPホイール) です。

NPホイールは、研磨布を放射状に組み合わせ、金具でしっかり接着した構造を持っています。これにより高い耐摩耗性を実現し、長時間の研磨作業でも安定した研磨力を発揮します。

さらに、使用する研磨布の種類や基材の硬さ・柔軟性を組み合わせることで、作業条件に合わせた最適なカスタマイズが可能です。

  • ユニベックスホイール:滑らかな研磨で表面仕上がりを重視
  • NPホイール:高い研磨力で、ユニベックスでは対応しきれない重研磨にも対応

用途や仕上がりの要求に応じて、最適なホイールを選択することで、線材の品質を安定的に確保できます。

保守品の研磨

各種線材製品により製造工程はそれぞれ違いますが、どの製品にも大体は伸線工程があります。伸線後に線を巻取る治具(名称は色々あります)これは、表面が溶射加工されており溝を掘っています。

この溝部分に線を巻きつけるようになっており、線材の種類に関係なく使い回ししていることが多く、新規で製作する場合は製造コストもかかる為、再生使用しています。

製品によってはブロンズメッキ、亜鉛メッキ等を行うため、溝部分にメッキカスが残り線材製品に、悪影響を与える為除去する必要があります。その研磨には研磨フィルムが使用されています。

当社では、ダイヤ電着品研磨フィルWTDF5Bでの対応が可能となります。難削材の加工に適しており、PETフィルムにダイヤモンド砥粒を配列・固定制御することで優れた特性を実現しています。

さいごに

各種線材製品

CS 「Customers Satisfaction=顧客満足」は次のように定義されています。

「提供された商品・サービス、さらに提供者の理念などについて顧客が自分自身の基準によって納得の得られるクオリティと価値を見出すこと」。

企業が顧客から選ばれる時代です。提供する商品・サービスに満足しない顧客は決して我々の企業を選んでくれません。我々が規格にあったものをどんなにがんばって製造しても、使う人がそれを気に入らなかったとすれば、我々は不良品しか製造していなかったといわなければならないかと思います。

なぜなら、その規格は我々独自のものであるからです。加えて顧客は今や形のある製品だけを求めているだけではありません。その商品がもたらしてくれる利便性やサービス、はては企業のイメージ、接客態度といった企業が提供するすべてのものを統合した価値となります。

当社は、お客様からの要望に対して迅速にまずはご一報を入れさせて頂き、一緒に課題・要望を解決していく姿勢を大事にしております。多くは時間のかかる案件かと思いますがメーカーとして最適な製品を選択、ご紹介をさせて頂く為お客様と綿密な打ち合わせを実施し、納得いくまで対応をさせて頂きます。

研磨とは奥の深い分野にて仮に同じ製品を製作しているお客様でも、同じ研磨製品が適合するとは限りません。先に記載しております、ユニベックスホイール、NPホイール、研磨フィルムはご紹介できる製品バリエーションも豊富で、オリジナル製品の開発も手掛けております。お客様の成功の為を基本に日々活動しておりますので是非、Mipoxにご相談を頂けますと幸いです。宜しくお願い致します。

参考文献 カスタマーサクセスとは何か 弘子ラザヴィ 英治出版