家具や楽器などの木材とその塗装を研磨する際、工程を短縮するために無理な研磨条件を設定して品質に悪影響が出た経験はないでしょうか。本記事では、研磨機とサンドペーパーの適切な組み合わせにより、研磨作業を効率化して無理なくコスト削減につなげる方法をご紹介します。

 

木材とその塗装を研磨する研磨機のご紹介

木工製品を生産する工程で多くの研磨材が利用されています。木工製品の研磨を大きく分類すると、「木材の研磨」と「塗装の研磨」の2種類になります。それぞれの研磨を効率よく行うための研磨機をご紹介いたします。

<研磨機の種類>
木材の研磨で使用する研磨機 塗装の研磨で使用する研磨機
・ワイドベルトサンダー
・ストロークベルトサンダー
・エッジサンダー
・プロフィルサンダー
・スピンドルサンダー
・ワイドベルトサンダー
・ストロークベルトサンダー
・レベルサンダー

それでは、それぞれの研磨機の特徴について詳しく見ていきましょう。

●ワイドベルトサンダー
平面材料の研磨用として利用価値の高いサンダーです。作業能率と研磨の均一性や研磨カスの飛散防止などの面からとても有効です。特にライン作業で同一品種の大量生産に適しています。材料の厚み規制やプレナーマークの除去等の重研削には、研磨加圧部分が硬いゴムロールでできているコンタクトロールタイプを選びます。仕上げ研磨や塗装の研磨にも利用したい場合は、研磨加圧部分がエアーパットタイプのものが使用されています。加圧方式がロールとパットでは研削性と仕上げ面粗さに差が出ます。ロール加圧では研削性がよくなり、効率よく研磨できますが仕上げ面が粗くなります。パット加圧ではソフトな研磨となり仕上げ面は細かくなりますが、削り代も少なく研磨能率が低下します。しかし、パット加圧でも粗い粒度の研磨紙を選択すると比較的研磨力を維持でき、研磨ベルトの耐久性も伸ばすことができます。

●ストロークベルトサンダー
手軽に利用できるベルトサンダーの標準的な研磨機です。当初は研磨紙ベルトを装着した平面研磨が主体でしたが、現在では平面のみの研磨はワイドベルトサンダーで行い、ストロークベルトサンダーは曲面研磨に利用する場面が増えました。柔軟タイプの研磨布ベルトをストロークベルトサンダーに装着し、研磨布の印刷面を手袋した手の平または曲面状のフェルトパットで研磨物をなでるように研磨します。そうすることで、比較的大きな曲面でも研磨することができます。多品種少量生産に適した研磨方法です。

●エッジサンダー
材料の端面を研磨するための専用のサンダーです。強い研磨圧で押しつけて研磨するために、硬めの研磨布ベルトが使用される場合が多いです。目詰まりにより研磨ベルトの耐久性が低下したり、焼けにより材料が変色したりする場合には、研磨圧が小さくなるよう調整します。

●プロフィルサンダー
曲面研磨用サンダーの代表的なサンダーです。研磨加圧パットの調整が難しいですが、ライン作業で同一品種の大量生産に適していて、ワイドベルトサンダーと同様に省力化できます。しかし、研磨パットの調整がよくないと不均一な研磨面になりやすいため、多品種少量生産の場合は能率が低下します。これをカバーするために研磨加圧機構にスポンジロールを使用して、曲面に自由になじむ構造のものも選べます。

●スピンドルサンダー
内R面の研磨に適したサンダーです。2次元の研磨には硬めの研磨ロールが、3次元の曲面には柔らかいスポンジ研磨ロールが使いやすいです。曲面の形状に合わせて、研磨ロールの直径や硬度を選択します。

●バイブレーションサンダー
材料の小さい面積部分の研磨や、大きく重量がありベルトサンダーにセットできない材料の研磨に使用されます。手磨きよりも効率よく研磨できます。研磨パットの形状により長方形・円形・3角形などの種類があり、振動形式によりデュアルアクション・シングルアクション・ストレートなどに分類されます。

木材木工とその塗装研磨に適したサンドペーパーのご紹介

研磨の種類やサンダーの種類別に、当社の研磨材をご紹介いたします。


研磨種類 サンダーの種類 主な研磨布紙
木材塗装
平面研磨 ワイドベルトサンダー Ew研磨紙・Xw研磨布Ew研磨紙・Xw研磨布
ストロークベルトサンダー DRAD-BDS
DRWC-B・BDS
DRWC-B・BDS
DRCC-B・BDS
WRCC-B・BDS
WRAC-B・BDS
WTCC-B・BDS
エッジサンダー Ew研磨紙・DHWX-B Ew研磨紙・ DHWX-B
曲面研磨 プロフィルサンダー
スピンドルサンダー
NRWJ-B・BDS
PRWJ-BDS
NRCJ-BDS
NRWJ-B・BDS
PRCJ-BDS
バイブレーションサンダー DRAD-DDSN・M
AHAC-DDSN・M
DRAC-DDSN・M
RRAC-DDSN・M
AHAC-DDSN・M
WRAF-DDSM
耐taiQ

※ワイドベルトサンダー用およびEw研磨布紙は当社のラインアップにはありません

研磨工程の作り方について

木地研磨は研磨する材料の表面状態により、使用する研磨布紙の粒度が決まります。さらに、希望する最終仕上げ面を得るために必要な研磨粒度も判定できれば、その間を何工程で研磨するかを設定できます。

研磨工程数をできるだけ少なくするために、最初の粗研磨はできるだけ細粒度で、仕上げ研磨はできるだけ粗粒度の研磨布紙を使用し、研磨する条件を調整する方法もあります。しかし、工程を短縮するために無理な研磨条件を設定すると、品質・コストに悪影響がでるので注意して選ぶ必要があります。高すぎる研磨加圧や無理のある研磨布紙の粒度選定を行うと、研磨布紙製品の耐久性を短くするとともに、研磨対象の木工製品の品質にも悪影響が出ます。

塗装研磨でも研磨に対する考え方は木地研磨と変わりませんが、塗膜の性質により研磨布紙の品種選定が変わります。塗膜硬度の違いと、熱可塑・熱硬化の塗膜ではそれぞれ性質が違いますので、それらに適した研磨布紙の選定が必要になります。

<研磨速度・研磨圧・加圧機構の違いによる差>
研磨速度 研磨圧加圧機構
高速低速 高圧低圧ロールタイプパットタイプ
研磨力
耐久性
仕上げ面

最後に

当社は今ある研磨材だけでなく、お客様のご要望に合わせた研磨材製品の改良・開発も行っています。お客様のご要望に真摯にお応えして、カスタマーサクセスにつながるご提案をさせていただきます。