光ファイバーの端子研磨(フェルール研磨)において、優れた性能を有するMipoxの植毛研磨フィルムについて紹介します。

Mipoxの植毛研磨フィルムについて

植毛研磨フィルムの特徴

植毛研磨フィルムとはアルミナや炭化ケイ素等の研磨砥粒が長さ1mm未満の樹脂パイル表面に施されており、その研磨パイルがそれぞれ独立して、PETフィルムに立っています。(図1、図2参照)。 見た目はザラザラしたカーペットの様な風合いです。植毛研磨フィルムを使用することにより、スクラッチレスな表面仕上げを実現できます。またRの小さい曲面を持つワークでも、その植毛によるブラッシング効果で追従研磨を行うことができるのも特徴です。Mipoxはこの植毛フィルム開発の先駆けであり、特許を有しています。

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(図1:Mipox植毛研磨フィルム)
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(図2:SEM画像)

植毛研磨フィルムの用途

もともと植毛研磨フィルムはハードディスクのメディアに対するテクスチャー研磨工程において高精度な研磨を行うことを目的として開発されました。しかし、時代とともにメディアの研磨工程も変わり、昨今では5Gや6Gの大容量高速通信網構築の一端を担う光ファイバー用途で多くのお客様にご使用いただいています。

光ファイバー研磨工程における植毛フィルムの役割

光ファイバー研磨工程で特に使用頻度が高いのがMT(MPO)コネクター研磨です。
MTコネクターとは一つの筐体(フェルール)に複数のファイバーが充填されており、一度に大容量の光データを送信することができます。データクラウド化が騒がれている昨今、世界各国のデータセンターにはこのMTフェルールが使用されています。

このMTコネクターですが、ただ研磨すれば良いというわけではありません。図3~5に示すようにファイバーを2μm~3μm程度突き出させなければなりません。さらには、その突き出した状態で精度良くファイバー先端を鏡面仕上げしなければなりません。

そこで活躍するのが、植毛研磨フィルムです。植毛研磨フィルムの弾性および追従性で、突き出し研磨を行うことができます。また、通常の研磨フィルムで生じやすいファイバーのチッピング(欠け)が生じることが少ないのも特徴です。 植毛研磨フィルムの種類と研磨機の組み合わせで、コアディップ(コアのへこみ)をコントロールすることも可能です(図6参照)。

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(図3:突き出し2Dプロファイル)
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(図4:突き出し3Dプロファイル)
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(図5:研磨前、研磨後の突き出し比較)
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(図6:コアディップ)

まとめ

MTコネクターの研磨工程は、従来は研磨スラリー(液体研磨剤)とパッドの組み合わせによる方法が主流でした。最近では洗浄性が改善したことや、廃液による環境汚染が懸念されるため、世界的に植毛研磨フィルム等を使用する方法に移行しています。特にアメリカやヨーロッパ市場では標準工法になりつつあります。 Mipoxでは研磨機と植毛研磨フィルムを中心とした各種研磨フィルムを使用することで、お客様のご要望に合わせた研磨プロセスをご提案することも可能です。ご相談などがあればいつでもお気軽にお問合せいただければ幸いです。