ショベルカー
(画像=ショベルカー)

建設現場工事現場になくてはならないショベルカークレーン車などの建機・重機ですが、乗用車と比べると道具として使用されている感があります。現場作業ですので、とにかく使い方もあらいです。このため、建機のボディーやアウトリガー、ムーブなどの部品に使用されている塗装は、対候性、防錆性のある特殊な塗装が施されます。また、下地の塗装から上塗りの塗装に入る前に足付け研磨と言われる研磨を入れることで、下地塗装と上塗塗装の密着性を良くします。今回は、建機・重機での塗装の種類や、塗装にマッチした研磨材のほか、導入事例などをご紹介します。

目次

  1. 建機、重機の塗装
    1. アルキド樹脂塗装
    2. カチオン電着塗装
  2. フィルムマジックSUWF・WRAFのご紹介
    1. フィルムマジックWRAF-DS
    2. フィルムマジックSUWF-L
  3. 導入事例
  4. まとめ

建機、重機の塗装

ここでは、建機、重機で使用される塗装の中でも代表的な塗装を2種類ご紹介します。同じ建機・重機の塗装でも塗装方法や塗装厚み、研磨性などがかなり違います。

アルキド樹脂塗装

 アルキド樹脂塗装は、無水フタル酸などの多塩基酸と多価アルコール(グリセリンなど)のエステルを基体とし、さらに各種の油または脂肪酸で編成したアルキド樹脂を塗膜の主要素とする常温乾燥塗料です。通常は専用のスプレーガンで噴霧、塗装します。

アルキド樹脂塗装の特徴には以下の特徴があります。

  • 塗膜が強靭で付着性、耐候性が良い
  • 顔料分散性がよいため色、光沢がよく、保色性が良い
  • 肉のりが良い
  • 塗膜の耐水性、耐溶剤性、耐熱性が良い
  • 使いやすく安価

常温で乾燥できるのですが、夏場は問題ないとしても、冬場は乾燥までに時間が掛かります。短納期に対応する場合などは、ある程度、未硬化でも次工程に進まなければならないことがあります。未硬化で足付け研磨を行うとペーパーへの目詰まりが激しく、作業性の低下やコストアップなどの問題を引き起こします。

カチオン電着塗装

カチオン電着塗装されたショベルカーイメージ
(画像=カチオン電着塗装されたショベルカーイメージ)

カチオン電着塗装とは、電着塗装の中に被塗物を浸漬させ、直流電流をかけることで塗膜成分が荷電し、被塗物表面に電着させる手法です。被塗物を陰極とする場合を【カチオン電着】と呼び、被塗物を陽極とする場合を【アニオン電着】と言います。この手法を用いることで複雑な形をした被塗物であっても均一で厚い塗膜を形成できます。

カチオン電着塗装に以下の特徴があります。

  • 中型のワークにも対応
  • 防錆力に優れている
  • 大量生産省力化が可能
  • 塗装効率が高いのでランニングコストが安価
  • 複雑な形状にも均一に塗装できる
  • 膜厚は15~25μまで調整可能

問題点としては、色の変更が難しいことや、2度塗りができない、設備費のランニングコストが高い、塗料槽や純水槽の液管理が必要となることが挙げられます。ただ、乾燥炉で塗膜を乾燥させるのですぐに次工程の研磨作業に移ることができます。

フィルムマジックSUWF・WRAFのご紹介

Mipoxの主力製品の中にマジックタック製品があります。ここでは、基材に紙を使用したマジックタックの紹介と基材にフィルムを使用したフィルムマジック製品の特長について解説していきます。

マジックペーパー丸型
(画像=マジックペーパー丸型)

ベース基材はクラフト紙を使用しています。Dw研磨紙と言って少し厚みのある紙を使用することで高研磨力、高耐久力を狙っています。バインダーに使用する樹脂は少し硬めの樹脂を使用します。厚手のDw研磨紙と併せて使用することでさらに高研磨力、高耐久力を実現しています。なお目詰まり防止剤は通常のDSタイプとなります。

フィルムマジックWRAF-DS

フィルムマジックタック
(画像=フィルムマジックタック)

通常のマジックタックの場合、ベース基材には紙を用います。フィルムマジックは、基材にフィルムを使用することで砥材を均一にコーティングすることができます。通常のマジックタックより均一で細かな仕上がりとなることが特徴です。また、フィルム基材は、紙基材に比べて強靭で破れにくい性質があります。建機・重機などの部品や、ボディーの曲面、部品でっぱり箇所などに接触しても破れたり裂けたりの心配がありません。
なおWRAFフィルムマジックの場合は、バインダーになる接着剤を硬めのものを使用することで研磨性を良くしています。また、目詰まり防止剤を表面に施すことでアルキド性塗装にも対応できます。未硬化塗膜の研磨には特殊処方として難落処方Lタイプ【ロングライフ】の目詰まり防止剤もご用意しています。ご要望がありましたら、弊社の担当営業までお問い合わせください。

フィルムマジックSUWF-L

同じフィルムマジックシリーズのWRAFと比べてかなり柔軟性があることが特徴です。フィルム基材やバインダー樹脂をかなり柔らかい方向へふり、砥材をオープンコートで電着していますので、目詰まりに対して有効です。WRAFより柔らかいフィルムを使用することで研磨力を少し抑えています。研磨力を抑えることでペーパー表面に研磨カスの付着を防止していますので、目詰まり防止効果が期待できます。
また、砥材の付着をオープンにしていますので、さらに目詰まりに関しては効果を感じることができると考えます。目詰まり防止剤については、WRAFでは、特殊処方として設定の難落処方Lタイプ【ロングライフ】の目詰まり防止剤を標準仕様でご用意しています。まさに目詰まり対策に特化した尖った位置づけの商品です。

導入事例

ここでは地方都市に事業所を構えるA社の導入事例をご紹介いたします。A社は大型のクレーン車や高所作業者などを国内で製造・販売するほか、米国や中国、欧州などに輸出も行っています。
大型クレーン製造のS工場と、キャビネットやムーブ等製造のU工場があります。今回はU工場より引き合いがありました。競合研磨材メーカーS社の紙基材マジック式のペーパーを使用しているが、製品のバラつきが大きく、作業性が安定しないので改善してほしいというのが要望でした。作業の内容は以下の通りです。

A社・U工場の作業内容
① キャビネットをカチオン電着
②スポットパテ、板金パテ盛り付け
③塗膜足付け研磨
④板金パテ、スポットパテ研磨
⑤次工程上塗り研磨へ

≪使用サンダー≫
空研DAM-055 吸塵タイプ
≪A社使用研磨材≫
S社125φ穴無し #80→#120→#180→#240
電着後にスポットパテ、板金パテの盛り付けを行いますが、冬場硬化で研磨することがあります。S社でのペーパーは通常の目詰まり防止剤を使用していたので未硬化時に対応できていませんでした。これをバラつきと判断されたと考えました。
≪当社推奨アイテム≫
マジックタックペーパー DRAD-DDSM-06 #80 #120
フィルムマジック SUWF-DLM06 #180相当#240相当

【推奨アイテムテスト結果】

作業内容②スポットパテ・板金パテ研磨
#80#120はマジックタックペーパーDRADで研磨を行い作業性良好でした。とにかく切れ味が良く、作業がスムーズに進む、目詰まりも気にならないレベルでした
#180 #240はフィルムマジックSUWF―DLMで耐久力・目詰まり改善を行いました。とにかく長持ちする。取替頻度も減って手間も省けたと作業者も高評価でした。

作業内容③塗膜足付け研磨
≪T社使用研磨材≫S社125φ穴無し125φ穴無し #320 #400
カチオン電着で塗装しています。完全硬化していましたのでさほど大きな問題はありませんでした。ただ、改善を求めた時にメーカー対応、販売店の対応が良くなかったとのことでユーザーは全アイテム切り替えの要望をしていました。

≪Mipox推奨アイテム≫
フィルムマジックペーパー WRAF-DDSM06 #320 #400
S社現行品で問題ない工程でしたが、WRAFの研磨力が評価されました。作業時間が大幅に短縮され、作業者からも高評価をました。

今回は、Mipox製品のテストサンプルがかなり良好な結果となり、全製品採用となりました。競合の対応の悪さが追い風となりました。ただ、ユーザーのニーズにマッチした製品を提案できたのが決め手になったと自負しています。

まとめ

今回は建機・重機で使用する塗装や、塗装研磨にマッチしたMipoxの研磨材についてご紹介してきました。導入事例では紹介しきれなかった商品もMipoxにはまだまだたくさんあります。今後もさらにユーザー様のニーズに応えられるよう努力していきます今後のMipoxの活動にご期待ください。