ディスプレイや電子デバイスの高性能・高機能化が進む昨今、これらの製品に使用される機能性フィルムにおいても同様に性能向上が求められています。ここには製品がもつ特性だけでなく、製造工程が関わる信頼性や歩留りにおいても高い要求があります。コーティング・スリットサービス(以下コンバーティング)を請け負うMipoxでは、信頼性・歩留りに大きく影響する高いクリーン度をもった製造設備を保有しています。本コラムではクリーン環境の詳細と、その環境を活かして製造している事例をご紹介します。

■クリーンルームの管理と取り組み

当社では研磨フィルムを製品として製造してきた長い歴史があります。そして1980年代には、研磨フィルムメーカーとして初めてクリーンルームを導入しています。導入した背景は磁気テープやハードディスクといった当時の最先端を行く製品に使用されるフィルムを製造するために、性能の安定化や高い品質を保つためのものでした。 クリーン環境における製造は、研磨フィルムからコンバーティングにも受け継がれ、現在はハイクリーンな環境を安定的に提供できる管理体制が整っております。当社のクリーン環境は以下の通りです。

  • クラス100のクリーン環境を保有(加工エリアはパーティションで区分け)
  • 乾燥炉内を含めて自動的にクリーン度を計測、管理。
  • コーティングから2次加工まで一般環境に出ることなく加工が可能。
  • 製品の切替えのたびに乾燥炉内を含め全ロール清掃し、高いクリーン環境を維持。
  • インライン除塵機を保有。材料からの持ち込みもシャットアウト。
クリーンルームとコーター
(画像=クリーンルームとコーター)

■コーティングサービスの事例1 光学系フィルムの製造

高いクリーン環境が必要とされるディスプレイ向けフィルムのコンバーティング(OCA、拡散フィルム、AGフィルムなど)の受託実績があります。私たちが普段目にするディスプレイ表面に使用されるフィルムは、高いクリーン環境での製造が必要とされています。Mipoxでは、クリーン環境と併せてインラインの欠点検査装置を導入することで、製品の信頼性を担保しています。

■コーティングサービスの事例2 半導体向けフィルム

DC(ダイシング)テープ、BG(バックグラインド)テープに代表されるプロセス材料に加え、半導体に実装されるフィルムの受託製造実績があります。半導体はその製品自体がハイクリーンな環境で行われることから、材料にも同レベルの製造環境が求められます。加えて、性能として熱伝導性、絶縁・導電性を付与するために高価な材料を使用する例もあり、高い歩留りが求められます。工程で混入する異物はコンタミだけでなく、塗布欠陥にもつながるため、ハイクリーンな環境は高い歩留りを得るためにも必須であると言えます。

■まとめ

Mipoxは研磨フィルムの製造を含めると90年以上の歴史をもったコンバーティングメーカーです。長い歴史の中で洗練された高いクリーン環境とそれを維持する管理体制が整っております。事例として挙げた製品以外にも多くの用途実績があります。新規の開発や製造でコンバーティングメーカーを探されている際はぜひ一度ご相談ください。