一般的な粉体塗装では、被塗物に粉体塗料を塗布後、塗料を硬化させるために一定時間の加熱が必要とされています。高周波誘導加熱装置(以下IH)とジェット噴出式加熱装置を組み合わせたハイブリッド方式は、加熱時間の大幅な短縮とエネルギー消費量の削減効果を生み出します。

焼き入れ

IHによる塗料の仮止め

IH粉体塗装の工程では、まず静電気を利用して被塗物に粉体塗料を均一に付着させ、その後、誘導加熱を用いて粉体塗料の一部を迅速に溶融させ、被塗物に仮止めさせます。この仮止め工程により、塗料の飛散を防ぎつつ、塗料の一部が被塗物に固定されます。

高周波誘導加熱装置
(画像=高周波誘導加熱装置)

ジェット噴出式加熱とのハイブリッド方式

仮止めした塗料は次に、ジェット噴出式加熱装置を使用して熱風を高速で被塗物に噴射し、短時間で塗料を焼付け温度まで昇温させる工程に移ります。この急速加熱により、塗料の溶融と硬化が均一に進み、塗膜の品質が向上します。この方法では加熱時間の短縮が可能になるため、生産効率が大幅に向上し、エネルギー消費の削減にも寄与します。

ジェット噴出式加熱装置
(画像=ジェット噴出式加熱装置)

粉体塗装ラインの設計

製造設備に関しては、塗装ブース、高周波誘導加熱装置、ジェット噴出式加熱装置、均熱炉を含む一連の装置が、効率的な生産ラインとして設計されています。被塗物はこのラインを通過しながら、各工程で必要な処理を受け、最終的に均一で高品質な塗膜が形成されます。この一体型の生産ラインは、操作の簡易化と生産性の向上を可能にし、従来の粉体塗装プロセスに比べて大幅な改善を実現しています。

コンベアー追従型加熱装置
(画像=コンベアー追従型加熱装置)

まとめ

以上の技術は、自動車部品、家電製品、金属製家具など、粉体塗装が求められる幅広い製品に適用可能であり、製造コストの削減、生産効率の向上、環境負荷の軽減など、多くの利点を提供します。この革新的な粉体塗装技術と製造設備は、産業界における持続可能な製造プラクティスへの移行を加速させる可能性を秘めています。