書店などで売れ残ったり返品された書籍は、汚れたり黄ばんだりしている事が多々あります。書籍のクリーニングとして必要な書籍端面の補修研磨について解説します。

書籍研磨

目次

  1. 書籍の物流・保管管理について
  2. 書籍端面補修研磨の必要性
  3. 書籍の研磨方法
  4. 最後に

書籍の物流・保管管理について

書籍の物流は、出版社や流通業者から書店やオンラインショップへの供給を含みます。一般的に、出版社は印刷所で書籍を印刷し、それから流通センターや倉庫に送り、そこから書店や配送業者に配送されます。オンライン書店では、顧客の注文に応じて直接倉庫から出荷されることもあります。

出版社や流通業者は、出版物を保管する倉庫や流通センターを運営し、在庫を管理します。これには、受け入れ、保管、ピッキング、出荷、再収容などの作業が含まれます。書籍の保管には、いくつかのポイントがあります。

  1. 温度と湿度の管理:書籍は温度と湿度の影響を受けやすいので、適切な環境条件で保管することが重要です。通常、温度は摂氏20度から25度くらいが適切で、湿度は40%から60%程度が望ましいとされています。
  2. 日光や直接の光源からの保護::書籍は日光によって色あせや劣化する可能性があり、直射日光が当たらない場所に保管することが重要です。また、蛍光灯や強い光源からも遠ざけることが良いとされています。
  3. 乾燥や湿気からの保護:書籍は湿気によって紙がくっついたり傷んだりすることがありますので、乾燥した場所に保管する事が良いとされています。

また返品や不良品の処理も物流の一部です。出版物が書店や顧客から返送され、必要に応じて再処理や再販売のためのリバースロジスティクスが行われます。

書籍物流倉庫

書籍端面補修研磨の必要性

書籍の端面を補修研磨することは、重要工程です。書籍の汚れや黄ばみを取り、美観を向上させるために行われる処理です。前述の保管状態をしっかり行っていたとしても、経年劣化はどうしても避けられません。 文庫や新書の紙が黄ばむのは、紙の材料である木材パルプに含まれている物質が、光・空気(酸素)・熱などで化学変化するためです。念入りに漂白した上質紙に比べて、安価な紙を使った文庫本や新書は特に黄ばみやすいと言えます。他にも端面研磨は、以下のような目的で行われることがあります。

  1. 整然とした外観:書籍を整然とした外観にするために、端面を均一に整えることができます。特に、書棚に並べた際に一貫性のある見た目を実現するのに役立ちます。
  2. 保護と耐久性:端面を研磨することで、ページの端がより保護され、耐久性が向上します。研磨によってページが均一になり、ページの欠けや崩れを防ぐ効果があります。
  3. 印刷品質の向上:端面研磨によって、ページが均一になるため、印刷品質が向上します。特に、厚い書籍や雑誌などでページが密集している場合に効果的です。

出版社や物流倉庫でもこうした事は行われています。書店から売れなくて戻ってきた本を研磨して、また売り直すという事も行われています。

書籍の研磨方法

書籍の端面研磨によって黄ばみやしみの汚れを除去し、美観性を整えます。物流倉庫や古本屋では扱う本の量が多い為、1回で何冊も研磨可能な研磨機を導入し使用しています。紙の研磨をすると微細な紙が粉塵として出ることになる為、研磨機に集塵装置が取り付けられているものが多く、保管場所の環境面にも配慮した設計になっています。書籍用研磨機には主に研磨布ベルトを取り付けて作業します。 書籍の紙というのは工業用ワークと比べて柔らかい為、Mipoxではレジノン研磨布ベルトのDRWX-B(アルミナ砥粒品)を推進しており、目詰まりのしやすい紙の研磨に最適な研磨布ベルトとなります。コミック本などはコンビニエンスストア等で日焼けしやすい事もあり少し粗目の#60、紙質の良い書籍に対しては細目の#80での使用がオススメです。上製本などハードカバーが使用されている書籍は研磨機の構造上により研磨布ベルトでの補修が出来ない為、その場合は先端工具に厚みの薄い不織布シートを取り付け手動研磨で補修する方法もございます。その場合は自社のユニベックスシートNSがラインナップとしてございます。

レジノン研磨布ベルト
(画像=レジノン研磨布ベルト)
ユニベックスシートNS
(画像=ユニベックスシートNS)

最後に

書籍の補修研磨は大切な書籍や貴重な資料を保存し、その価値を保つために重要な役割を果たします。研磨をする事により、顧客の満足度やブランド価値を向上させる事に役立っています。弊社はお客様のご要望に合わせた研磨製品の改良・提案もおこなっていますので、お気軽にご相談いただければと思います。