鉄道は、長距離の輸送手段として広く利用されている重要なインフラです。鉄道は、人々の生活と経済活動に不可欠な交通手段であり、その中でメンテナンス作業は重要な役割を果たします。今回はメンテナンス時に使用するレール研磨についてご説明します。
レール研磨の重要性
レール研磨は、鉄道インフラの維持管理において不可欠な作業です。定期的なメンテナンスを行うことで、鉄道の安全性、効率性、および快適性が維持されます。またレール研磨の頻度は、使用される鉄道の種類や運行条件によります。高頻度で使用される都市鉄道や高速鉄道では、定期的な研磨が必要です。一方で、使用頻度が低い路線では、メンテナンスの間隔が長くなることがあります。

レール研磨の用途
錆落とし
鉄道のレールにおける錆落としは、レールの表面から錆を除去する作業です。錆はレールを劣化させ、列車の走行性能や安全性に影響を与えるため、定期的な錆落としは重要です。錆落としの目的としては、
- 安全性の確保: 錆が進行するとレールが脆くなり、列車の運行に危険を及ぼす可能性があります。
- 走行性能の維持: 錆によりレール表面が不均一になると、列車の走行が不安定になります。滑らかなレール表面は安定した走行を実現します。
- 接触電気抵抗の低減: 電気鉄道では、レールが電気回路の一部となっており、錆が接触抵抗を増加させるため、電気的な効率が低下します。
落ち葉除去
鉄道のレールに落ち葉が堆積すると、列車の走行性能や安全性に影響を与えるため、レール研磨が重要です。落ち葉がレールに及ぼす影響は、
- 滑りやすさの増加: 落ち葉がレールに堆積すると、車輪とレールの間の摩擦が低下し、列車が滑りやすくなります。これにより、加速や制動性能が悪化します。
- 接触不良: 電気鉄道では、車輪とレールの接触が悪くなることで、信号システムに影響を与える可能性があります。これにより列車の位置検知が困難になることがあります。
- 腐食の促進: 落ち葉が湿気を保持することで、レールの腐食が促進される場合があります。

レール研磨方法
一般的なレール研磨の主な方法は
- 手動研磨
レール研磨機(手動や電動タイプ)を作業者が操作し、レール表面を研磨します。手動研磨は小規模な範囲や局所的な修正に使われることが多いです。 - 自走式レール研磨機
レールの長距離研磨を効率的に行うために開発された高度な機械です。この機械は自ら移動しながらレール表面を研磨することができ、大規模な鉄道ネットワークの保守作業において重要な役割を果たします。自走式研磨機は、昼夜を問わず運転可能で、鉄道の利用者に対する影響を最小限に抑えながらメンテナンス作業を行えます。新幹線のような高速鉄道、長距離の貨物鉄道、および都市鉄道など、さまざまな鉄道ネットワークで使用されています。特に、頻繁な使用や高速走行によってレールの摩耗が激しい路線では、この機械が不可欠となります。
レール研磨用研磨材製品
手動式・自走式レール研磨機ともに主にホイール状の研磨材製品を取り付けての使用となります。弊社ではユニベックスと呼ばれる不織布研磨材があり、その中で不織布研磨材を積層し圧縮して製造している「NLホイール」を推奨しています。
弊社の不織布研磨材はディップ方式(不織布基材を液層に浸漬)と呼ばれる製造方法を採用している事から、砥粒が不織布基材に均一に付着している事により、仕上げ面が非常に安定している特性があります。
また落ち葉除去など研磨力が必要な用途には「NLCホイール」を推奨しています。「NLCホイール」は不織布研磨材へ発泡樹脂含侵させ圧縮した製品となり、従来の不織布ホイールの常識を超えた高い研磨力を持ち、ホイールの消耗も少なく耐久性に優れた製品となります。また更に研削力が必要な状況ですと金具に研磨布を放射線状に貼り合わせて製造した「NPホイール」もラインナップに揃えています。

最後に
鉄道は、人々の生活と経済活動に不可欠な交通手段であり、その技術革新とメンテナンスが持続可能な未来に向けて重要な役割を果たします。将来的には、技術の進歩とともにさらに発展が期待されています。自動運転技術やAIを活用した研磨機が開発される可能性があり、線路の状態をリアルタイムで監視し、必要に応じて自動で研磨が行われるようになるかもしれません。新しい技術に対して対応出来る研磨材製品の開発が我々の使命だと感じています。