光ファイバー同士を接続する際には、光情報の損失を防ぐことが重要です。その鍵を握るのが、接続に使用する光コネクタの研磨です。光コネクタの端面に傷や異物があると、光が反射して光情報が損失してしまうためです。本記事では、研磨によって光情報の損失を抑える仕組みや研磨工程に加え、マイポックスが推奨する研磨製品をご紹介します。
なぜ光コネクタの研磨が必要なのか
光ファイバー同士を接続するときは、光情報の損失を抑えるために端面の研磨が欠かせません。接続する端面に異物や傷があると、端面同士の間に隙間ができます。この隙間には光ファイバーとは屈折率の異なる空気が入り込むため、光が反射・減衰し、光情報が損失してしまいます。
研磨によって端面の異物や傷を取り除くことで、隙間なく接続できるようになり、光情報の損失を抑えることができます。
光コネクタは主に2種類
光コネクタは、大きく次の2種類に分かれます。
単心コネクタ
多心コネクタ単心コネクタの研磨工程と推奨研磨フィルム
単心コネクタの研磨工程
単心コネクタの研磨工程は、「樹脂取り→粗研磨→中研磨→仕上げ研磨」の4つに分けられます。
単心コネクタの研磨では、1回の研磨で12本、24本といった多数のコネクタを同時に加工します。また、研磨フィルムは1枚で複数回の研磨に使用してから交換するため、高い耐久性が求められます。マイポックスでは、研磨層を構成する研磨材と樹脂の配合設計、そしてそれらをコーティングする技術によって、高耐久な研磨フィルムを実現しています。
単心コネクタの推奨研磨フィルム
ここからは、単心コネクタの研磨工程においてマイポックスが推奨する研磨フィルムをご紹介します。

SC16-CFは、粒径16µmの炭化ケイ素をPETフィルム上に樹脂を介してコーティングした研磨フィルムです。樹脂取り用の研磨フィルムには、光コネクタの先端に付着しているエポキシ樹脂を完全に除去することが求められます。エポキシ樹脂は研磨フィルムへの負荷が大きいため、炭化ケイ素と樹脂の配合によってその負荷を吸収し、複数回使用できるように設計しています。
D9-NWは、粒径9µmのダイヤモンドをPETフィルム上に樹脂を介してコーティングした研磨フィルムです。粗研磨用の研磨フィルムには、前工程の樹脂取りで端面に付いた研磨痕を除去することが求められます。従来の研磨フィルムでは、複数回研磨するとフィルム表面の目詰まりやダイヤモンドの脱粒によって研磨力が低下していました。D9-NWは、ダイヤモンドを単層で均一にコーティングすることで、目詰まりや脱粒による研磨力の低下を抑えています。

D1-KTは、粒径1µmのダイヤモンドをPETフィルム上に樹脂を介してコーティングした研磨フィルムです。中研磨用の研磨フィルムには、前工程の粗研磨で端面に付いた研磨痕を除去する高い研磨力と、後工程の仕上げ研磨で端面を鏡面化できるよう深い傷を入れないことの両立が求められます。D1-KTは研磨層の表面にパターン形状を持たせることで高い研磨力を発揮し、さらに高精度な分散技術でダイヤモンドを均一に分散させることで、深い傷が入らないように設計しています。

026Ultimasは、サブミクロンサイズのシリカをPETフィルム上に樹脂を介してコーティングした研磨フィルムです。仕上げ研磨用の研磨フィルムには、端面を鏡面化するとともに、複数回の研磨に耐える耐久性が求められます。026Ultimasは、シリカと樹脂の配合設計によって、端面の鏡面化と高い耐久性の両立を実現しています。
以下は、単心コネクタ研磨の各工程後の端面画像です。

多心コネクタの研磨工程と推奨製品
多心コネクタの研磨工程
多心コネクタの研磨工程は、「樹脂取り→平面出し研磨→突き出し研磨→仕上げ研磨」の4つです。
多心コネクタの研磨工程は、お客様の使用環境に応じて、「研磨フィルムのみを使用する工程」と「研磨フィルムと研磨スラリーを併用する工程」のいずれかを選択いただけます。
多心コネクタの推奨研磨フィルム(研磨フィルムのみの工程)
ここからは、研磨フィルムのみを使用する多心コネクタの研磨工程において、マイポックスが推奨する研磨フィルムをご紹介します。

樹脂取り工程の目的は単心コネクタと同じため、推奨研磨フィルムも前述のSC16-CFとなります。
SC3-CFは、粒径3µmの炭化ケイ素をPETフィルム上に樹脂を介してコーティングした研磨フィルムです。後工程でファイバーの突き出し高さを高くする必要があるため、炭化ケイ素と樹脂の配合設計によって、ファイバーの凹み量が小さくなるようにしています。
AA1-MFPSは、酸化アルミニウムを、PETフィルムではなく植毛基材にコーティングした研磨フィルムです。多心コネクタはプラスチックの筐体の中に複数本の光ファイバーが組み込まれており、コネクタ同士を接続する際に光ファイバー同士が接触するよう、端面から光ファイバーを突き出させる必要があります。植毛基材を使用することで、光ファイバーへの研磨を抑えながら突き出しを実現します。

CE1-MFPSは、酸化セリウムを植毛基材にコーティングした研磨フィルムです。酸化セリウムは研磨材として柔らかく、光ファイバーに傷を入れずに仕上げることができます。前工程と同じく植毛基材を使用することで、光ファイバーの突き出しを損なわずに研磨でき、研磨残渣による端面への傷の発生も防ぎます。
以下は、研磨フィルムのみを使用した多心コネクタ研磨の各工程後の端面画像です。

多心コネクタの推奨研磨フィルム・研磨スラリー(併用する工程)
ここからは、研磨フィルムと研磨スラリーを併用する多心コネクタの研磨工程において、マイポックスが推奨する研磨フィルムと研磨スラリーをご紹介します。

前述の研磨フィルムのみの工程と同様です。
前述の研磨フィルムのみの工程と同様です。
MT-SC3XLは、炭化ケイ素を用いた研磨スラリーです。植毛基材や発泡基材などと併用して使用します。クッション性のある凹凸の基材を使用することで、光コネクタの端面を選択的に研磨しつつ、光ファイバーの突き出しを行います。
MT-CE1Bは、酸化セリウムを用いた研磨スラリーです。突き出し研磨と同様に発泡基材と併用することで、光ファイバー端面の傷を除去して仕上げます。
以下は、研磨フィルムと研磨スラリーを併用した多心コネクタ研磨の各工程後の端面画像です。

まとめ
マイポックスの研磨フィルムや研磨スラリーは、光ファイバーのコネクタ端面研磨において多くのお客様に採用いただいています。お客様のご要望に合わせて、最適な材料選定・分散技術・塗布技術を組み合わせ、研磨フィルムや研磨スラリーを開発しています。また、自社で保有する研磨機・評価機器を活用し、研磨工程を開発・ご提案することも可能です。光コネクタの研磨に関するお悩みやご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。
