Mipoxの「塗る」技術にはさまざまな方法があり、それぞれの用途や目的に応じて使い分けられています。その技術の一つに静電塗布方式で研磨材(フィラー)を塗布する方法があります。今回は、この静電塗布方式による塗布技術について、基本的な仕組みや特徴などをご紹介します。
サンドペーパーについて
皆さんは「サンドペーパー」をご存じでしょうか? サンドペーパーとは、紙や布の表面に研磨材(けんまざい)を接着したもので、日本語では「研磨紙」や「紙やすり」とも呼ばれています。
最近では、ホームセンターなどでも手軽に購入できるため、DIY(日曜大工)で使われる方も増えてきました。
業界では、表面を削ったり磨いたりする工程のことを「研磨(けんま)」と呼びます。「ガリガリ」「ピカピカ」とする作業、と言えばイメージしやすいかもしれませんね。
研磨の目的には、以下のようなものがあります
- バリ取り:加工時にできた不要な出っ張りを削る
- 足付け:塗装の密着性を高めるために表面に細かい傷をつける
- 肌調整:表面をなめらかに整える
このように、サンドペーパーは身近でありながら、非常に多くの場面で使われています。

さて、このサンドペーパーがどのようにつくられているか、ご存じでしょうか? 断面図で見てみると、サンドペーパーは大きく4つの層で構成されています。
- 基材(ベース):紙、布、フィルムなどの土台となる素材
- メイクコート(下地処理層):接着剤などを用いて、研磨材がしっかり定着するようにする下地層
- 静電塗布層:ここで研磨材(フィラー)を静電気の力で均一に配置します
- サイズコート(上掛け処理層):研磨材の上からさらに接着剤をかけ、固定性や耐久性を高める層
このように、サンドペーパーは単なる「ザラザラの紙」ではなく、機能性を持たせるために複数の層を丁寧に積み重ねて作られているのです。
次に、この中でも特に重要な「静電塗布」の工程について、詳しくご紹介していきます。

サンドペーパーの作り方(塗工工程の説明)

サンドペーパーの製造は、まず「原反(げんたん)」と呼ばれるベース素材に塗工を施すことから始まります。
私たちが扱っている原反は、幅1,170mm、長さ2,800m、3インチコア付きという非常に大きなサイズで、業界内では「ジャンボロール」とも呼ばれています。
この原反にはいくつかの種類があり、使用される素材によって次のように分類されます:
- 紙
- 布(クロス)
- 不織布
- フィルム
それぞれの素材は、研磨用途や最終製品の形状、コスト(価格帯)などに応じて使い分けられます。 まず最初の工程として、研磨材を塗布するための下地処理(メイクコート)を行います。 これは、原反の表面に専用の糊(接着剤)を塗布する工程で、この後に続く研磨材の付着性や定着性を大きく左右する重要なステップです。

下地となる糊を塗布したあとは、すぐに研磨材を塗布する工程に入ります。 このときに採用されるのが、静電塗布という技術です。
この方法では、静電気の力を利用して研磨材を上に向かって引き上げるようにして付着させます。 これにより、研磨粒子が垂直に立ち上がった状態で表面に固定されるため、サンドペーパーの表面はまるで無数の細かいトゲが並んでいるような形状になります。

この「トゲトゲ」した表面こそが、切れ味の鋭いサンドペーパーを生み出す鍵です。 立ち上がった研磨粒子が、素材にしっかりと食い込むことで、ザクザクとした強い研削力を発揮することができるのです。

研磨材を塗布した後は、まずしっかりと乾燥させる工程に入ります。 しかし、この工程だけでは研磨材が表面から簡単に剥がれてしまうため、さらなる工夫が必要です。
そこで、研磨材の上から樹脂によるコーティングを施し、再度乾燥させることで、研磨材をしっかり固定し、耐久性を高めます。 この仕上げのコーティング工程があるからこそ、サンドペーパーは長時間の使用にも耐え、安定した研磨性能を維持できるのです。
また、Mipoxの塗工は強い研削力を持つだけでなく、仕上がり面も非常に美しいのが大きな特徴です。 これは、研磨材を均一に定着させるための下地処理の塗布技術が高い精度で行われていることが大いに関係しています。

均一な下地塗布があるからこそ、研磨材がムラなくしっかりと付着し、結果として高品質な仕上がりが実現できるのです。
この技術を使った受託コーティングについて
紙やすりの作り方はおわかりいただけたかと思いますが、この塗工プロセスは実は他のさまざまな用途にも応用が可能です。
例えば、アスファルトに貼られている防滑シート(滑り止めシート)も、この同じ技術を使って製造されています。

サンドペーパーに使われている研磨材にはアルミナ、ダイヤモンド、シリコンカーバイトなどがあります。 粒経は最大で約400μm(マクロメートル)、最小は5μmまで幅広く使われており、例えるなら粗塩の粒やグラニュー糖の一粒ほどの大きさです。
「こんな研磨材を塗りたい」「独自の素材に特殊なコーティングを施したい」など、多様なご要望に柔軟に対応いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
本記事では、サンドペーパーの製造工程を通じて、特に静電塗布を用いた研磨材の塗布技術についてご紹介しました。 均一で強固な研磨材の塗布は、製品の研削力や耐久性、そして仕上がりの美しさを左右する重要なポイントです。
さらに、この技術は紙やすりだけでなく、幅広い分野で応用が進んでいます。 私たちは、受託コーティングサービスとしてお客様のご要望に合わせた高品質な塗布を提供しておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。