展示会に行ってきました。

セミコン 幕張メッセ

先日、幕張メッセで開催された「ネプコンジャパン2025」を見学してきました。製品・受託事業の新たな可能性を探るべく、業界の最新動向を肌で感じてきた感想をお伝えします。

1. ブースで見つけた興味深い技術

透明導電性フィルムの新技術に驚き

一番印象に残ったのは、透明導電性フィルムの革新的な技術でした。色がついたフィラーを使っても透明なフィルムが作れるという、従来の常識を覆すような技術が展示されていました。

展示会の写真 展示物

見て驚いたポイント

  • 黒色のフィラーを使用しているのに、完成したフィルムは完全に透明
  • まだ開発品とのことでしたが、ブースには多くの来場者が集まっていました
  • 実際に手に取って確認できたのですが、本当に透明で不思議な感覚でした

技術者の方にお話を伺うと、引き合いが非常に多いとのこと。新しい技術への期待感の高さを実感しました。


EV用電池関連で目を引いた製造技術。

EV用電池に使われる断熱材を製造している企業のブースでは、実際の製造プロセスを見ることができました。

  • 紙の塗工機を使ってスラリー状の塗料を塗工
  • 鉄ドラムで乾燥させる工程が印象的
  • 従来の紙製造技術をEV分野に応用した事例として興味深く感じました

圧倒的だった海外勢の存在感

LFP(リン酸鉄リチウムイオン電池) 関連のブースを回っていて感じたのは、アジア系海外企業の圧倒的な存在感でした。

  • ロール製品の展示は中国が中心で、東南アジア系の企業も目立っていました
  • 日本企業の出展は本当に少なかった
  • 価格競争力もありそうな印象

正直、この分野でのアジア全体での競争激化と、日本の立ち位置について考えさせられました。

2. 人だかりができていたBYD関連展示

中国BYDの技術力に注目 会場で一際人だかりができていたのが、中国BYDのU8の展示でした。好奇心に駆られて近づいてみると... 実際に見て触れた印象

BYDのEV部品分解画像

運転席パネル周りの部品が実際に展示されていて、触ることもできました
EV部品とプラグインハイブリッド部品が豊富に展示、じっくりと観察できました

出展者の方に質問してみたところ、最近BYDのプラグインハイブリッド事業が活発になっているとのこと。トランスミッション部品なども展示されていましたが、ミッション関係は現地調達が主流で、日本メーカーの参入は厳しそうだという話でした。

車載ディスプレイの大型化に驚きこんなに大きなディスプレイが車に?

BYD 車載パネルの画像

車載ディスプレイの進化には本当に驚きました。

コクピットにもリアシートにもディスプレイが標準搭載 23.6インチや12.8インチといった大型ディスプレイが当たり前の時代に

BYD EV部品分解した画像

基板に機能性フィルムが使われているのか気になって質問しましたが、詳細は今後の情報収集が必要そうです

3. 当社技術との関係で考えたこと

全固体電池・脱炭素関連は発展途上

事前に期待していた分野もありましたが、現実は...

全固体電池関連

  • フィルム関係の具体的な展示や情報は思ったより少なかった
  • まだまだ研究開発段階という印象
  • ただし、将来的には当社の受託事業技術が活用できる可能性を感じました

ソーラーパネル系・ペロプスカイト

  • 期待していたペロプスカイト太陽電池関連の企業出展は見つけられませんでした
  • この分野はもう少し時間がかかりそうな感じです
  • 実用化が進めば、機能性フィルムへの塗工ニーズが生まれる可能性があります

水素・燃料電池関連

  • 展示されている技術はどれも素晴らしく、将来性を感じる分野でした
  • ただし、当社事業との直接的な接点はまだ見つけられていない状況
  • 技術の成熟とともに、材料面での新たな需要が生まれる可能性はありそうです

見学を通じて感じた当社技術の可能性

今回の展示会見学で、いくつかの技術領域において当社の受託事業技術が活用できそうな場面を発見できました。

透明導電性フィルム分野

  • 新しい透明化技術は、当社の精密塗工技術と相性が良さそう
  • 開発段階の技術だからこそ、受託製造のニーズがあるかもしれません

EV関連材料

  • 断熱材製造で見たスラリー塗工技術は、当社でも対応可能な範囲
  • EV市場の拡大に伴い、新たな塗工ニーズが生まれる可能性を感じました

車載ディスプレイ関連

  • 大型化・高精細化に伴い、ディスプレイや基板への機能性フィルム需要が増加するかも
  • 当社の受託事業技術が活かせる分野として注目しています

半導体・プリント基板分野

  • 会場全体を通じて、半導体やプリント基板(PCB)の展示が非常に多い印象でした
  • この分野は当社の研磨材事業との親和性が高く、大きな可能性を感じました
  • 技術の高度化が進む中で、精密研磨へのニーズは今後も拡大していきそうです
 画像:Mipoxが取り扱うプリント基板向け研磨材製品

一方で、アジア系企業の技術力向上と価格競争力を目の当たりにして、当社の差別化要因である高精度・高品質な塗工技術の重要性を改めて実感しました。

全体的な印象と感想

海外勢の躍進

  • 特に中国・韓国を中心としたアジア企業の技術力向上は目を見張るものがありました
  • 東南アジア系企業の参入も活発で、価格競争だけでなく技術面でも追い上げが激しい状況

日本企業の立ち位置

  • 高付加価値分野での差別化がより重要になっていると感じました
  • 独自技術による競争優位性の確保が急務

今回の見学を終えて

この展示会見学を通じて、業界の現在地と今後の方向性について多くの気づきを得ることができました。

印象に残ったこと

  1. 透明導電性フィルムの新技術 - 従来の常識を覆す革新技術
  2. 中国・韓国企業の躍進 - 技術力と価格競争力の両立
  3. 車載ディスプレイの大型化 - 想像以上の進化スピード

今後注目していきたい分野

  • 透明導電性フィルム技術の進展
  • EV関連材料の多様化
  • 車載ディスプレイ市場の拡大

おわりに

展示会は、実際の技術や製品を間近で見ることができる貴重な機会でした。カタログやWebサイトだけでは分からない、技術の実際の姿や市場の生の声を聞くことができ、非常に有意義な時間となりました。 次回も機会があれば、ぜひ参加して最新動向をお伝えしたいと思います。

関連する展示会情報 同様の技術展示会にも積極的に参加し、業界動向をウォッチしていく予定です。興味深い技術や製品を発見した際は、またレポートとしてお伝えします。