みなさんは「研磨材の種類」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか。
私は現在、工業用研磨材を扱うNikkenブランドの若手営業として、日々お客様の現場に足を運びながら、実際の“生の声”をもとに研磨材について学んでいます。
この業界に入るまでは、【研磨材は番手がすべて。数字が小さいほどよく削れ、数字が大きくなるほど削れなくなる】 そんな非常にシンプルなイメージを持っていました。
しかし、現場でのヒアリングを重ねる中で、「同じ番手なのに、仕上がりが全然違う」という声を多く耳にするようになりました。その違いを生んでいる大きな要因こそが、研磨材(ペーパー)の“種類”です。
今回は、「なぜ同じ番手でも仕上がりが変わるのか」を、若手営業の視点から分かりやすくご紹介します。

目次

  1. 研磨材で大切なのは「研削力・仕上げ面・耐久性」のバランス
  2. 用途別に見る、求められる研磨性能
  3. 研磨紙・研磨布・研磨フィルムの違い
  4. アルミナ系砥材と炭化ケイ素系砥材
  5. アルミナ系砥材
  6. 炭化ケイ素系砥材
  7. まとめ

研磨材で大切なのは「研削力・仕上げ面・耐久性」のバランス

研磨材選定において重要なのは、番手だけではありません。 実は、以下の3つの要素のバランスが、用途に合った研磨結果を左右します。

  • 研削力(どれだけ早く削れるか)
  • 仕上げ面(表面のきれいさ)
  • 耐久性(どれだけ長く使えるか)

これらは、研磨する用途や工程によって、重視すべきポイントが変わります。
では実際に、どのような作業で、どの性能が重視されるのでしょうか。

用途別に見る、求められる研磨性能


溶接後には溶接痕を除去します
溶接後には溶接痕を除去します
  • 目消し作業(シングルアクション)・溶接痕除去

 → 短時間で削り切る必要があるため、研削力を最重視。


塗膜の下地処理でパテが使われており研磨する必要があります
塗膜の下地処理でパテが使われており研磨する必要があります


  • 足付け・パテ研ぎ

 → 研削力と耐久性のバランスが重要。削りに特化したペーパーでは適さないことも…


外観を良くするため仕上げ研磨も重要です
外観を良くするため仕上げ研磨も重要です


  • 精度向上・美観重視の仕上げ工程

 → 仕上げ面の美しさが最優先。また塗装後の粉末で目詰まりしてしまうことも多いので、耐久性が良いペーパーもよく好まれています。


研磨紙・研磨布・研磨フィルムの違い

まず大きな違いとして挙げられるのが、基材の種類です。

研磨紙

最も一般的で、「研磨材といえばこれ」というイメージを持たれている方も多いのではないでしょうか。

  • DIY用途から工業用途まで幅広く使用
  • ホームセンターや100円ショップでも入手可能
  • シートタイプだけでなく、ダブルアクションサンダー用など製品バリエーションが豊富


Nikkenのメイン製品。シート型、丸型、角形、ベルト型さまざまな形サイズを揃えております。
Nikkenのメイン製品。シート型、丸型、角形、ベルト型さまざまな形サイズを揃えております。


研削力・仕上げ面・耐久性のバランスが良く、コストパフォーマンスにも優れています。多くの研磨ニーズに柔軟に対応できる、汎用性の高い研磨材です。

研磨布(クロス)

研磨紙よりも厚みのある布(クロス)を基材に使用しています。

  • 研削力・耐久性が大幅に向上
  • ディスク、ベルト、フラップ、ホイールなど多様な形状に対応


大阪オフィス ショールーム内のクロス製品各種。ベルト型、ホイール型は特に重研削現場で多くお使いいただいています。
大阪オフィス ショールーム内のクロス製品各種。ベルト型、ホイール型は特に重研削現場で多くお使いいただいています。


金属材料や溶接部など、重研削用途に適しており、工業分野では欠かせない存在です。

研磨フィルム

研磨紙に比べて平滑性が高く、基材自体のムラが少ないのが特長です。

  • 高い平滑性
  • 柔軟性と耐久性を両立
  • 仕上げ面が非常にきれい

美観や精度を重視する工程では、研磨フィルムが選ばれるケースが増えています。


アルミナ系砥材と炭化ケイ素系砥材

もう一つ、同じ番手でも性能差を生む重要な要素が砥材の種類です。
マイポックス Nikkenの研磨材では、主に以下の2系統の砥材をラインアップしています。製品名の英数字によって砥材種類を判別できる設計となっており、用途に応じた選定がしやすいのも特長の一つです。砥材の種類は、製品品番(英数字4桁)の3文字目に、A・W・C・Z・S・Dなどの記号で表記されています。


アルミナ系砥材

アルミナ系砥材は、靭性が高く、丸みを帯びながら摩耗するのが特長です。

  • 切れ味は比較的マイルド
  • 耐久性に優れる

用途に応じて、以下のような種類があります。

  • アルミナ(AA)
    一般鋼を中心に、粗研磨から仕上げまで幅広く使われる標準砥材

  • ホワイトアルミナ(WA)
    硬度が高く切れ味に優れ、精密部品や仕上げ用途に適する

  • ジルコニア(Z)
    高負荷下で砥粒が割れて再生し、溶接ビード除去や厚板鋼材の重研削で高い研削力を発揮

  • セラミック(S)
    ステンレスや高張力鋼の連続研磨、自動化工程で高効率かつ長寿命を実現


炭化ケイ素系砥材

炭化ケイ素系砥材は、非常に高い硬度を持ち、砥粒が尖った状態で消耗します。

  • 切れ味が非常に鋭い
  • 耐久性よりも研削力を重視

  • 炭化ケイ素(CC)
    安価で研削力もあり、非鉄金属や硬質材料の研磨など幅広く使用される砥材

  • ダイヤモンド(D)
    ガラス、石材、非鉄金属など、硬く脆い材料の研磨に適しています。


まとめ

「同じ#240」でも、最適解は一つではない

一口に「#240のペーパー」と言っても、

  • 基材(研磨紙・研磨布・研磨フィルム)
  • 砥材の種類(アルミナ系・炭化ケイ素系)

によって、研削力・仕上げ面・耐久性のバランスは大きく変わります。

マイポックスでは、多様な製品バリエーションを活かし、ユーザー様一人ひとりの用途や工程に最適な研磨材をご提案しています。

「番手は同じなのに、仕上がりがしっくりこない」 そんな時こそ、研磨材の“種類”に目を向けてみてはいかがでしょうか。マイポックスは全国11カ所に営業オフィスがございます。研磨材選定に迷ったときは、番手だけで判断せず、ぜひ一度現場の条件をお聞かせください。