はじめに

自動車のステアリングの滑らかな回転を支える「ジャーナル部」。ラック部とは異なり、ここは極めて高い研磨精度が求められる重要箇所です。
現在、このジャーナル部に対し、ワークを0°から90°へ転回させる「2ステップ研磨」を採用したプロジェクトが進行しています。「平面度は追わず、表面粗さのみを追求する」というこの特化型プロセスにおいて、高い研磨精度を実現するマイポックスの挑戦を追いました。

目次

  1. 1. ジャーナル仕上げに特化した「2ステップ研磨」の狙い
  2. 2. 「動かさない」からこそ起きる、ホイール中央への負荷集中
  3. 3. 解決の切り札:UNIVEX NLC Wheel (NLC F-2Z)
  4. 結論:「粗さ」への執念が、品質を支える

1. ジャーナル仕上げに特化した「2ステップ研磨」の狙い

この工程の最大の目的は、ジャーナル表面の微細な凹凸を削り取り、目標となる仕上げ面粗さRa(以下、Ra)0.2〜0.5を確実に達成することです。

  • 0°ステップ: 軸方向に対して基準となる研磨を行います。
  • 90°転回ステップ: ワークをその場で90°転回させ、研磨方向をクロスさせます。これにより一方向の筋(研磨目)を打ち消し、表面を均一に「均す(ならす)」ことが可能になります。
  • なぜ平面度は不要か: ジャーナル部は回転体であるため、最終的な表面の「滑らかさ(粗さ)」こそが、摩擦抵抗を減らすための最も重要な鍵となるからです。
ステアリング

2. 「動かさない」からこそ起きる、ホイール中央への負荷集中

今回のプロセスは、ワークを左右に動かさず(非トラバース)、固定位置で磨くスタイルです。そのため、ホイールには非常に過酷な負荷がかかります。
通常、広く均一に摩耗するのが理想ですが、この工程ではジャーナル部が常にホイールの同じ場所(中央部)に接触し続けます。すると、ホイールの真ん中だけが局所的に削れて凹んでしまう現象が発生します。
ホイールの形状がこのように変化してしまうと、ワークへの当たりが不安定になり、目標とするRa値を安定して維持することが難しくなるという課題がありました。

3. 解決の切り札:UNIVEX NLC Wheel (NLC F-2Z)

平面度ではなく「粗さ」の精度に特化した工程だからこそ、不織布ホイールが持つ「柔軟な追従性」が最大の武器になります。マイポックスが提案する「UNIVEX NLC」には、以下の強みがあります。

  • 高度な弾力性(不織布構造): ホイールの中央部が多少摩耗したとしても、不織布の弾力によってジャーナル表面に密着し続けます。これにより、形状の変化に左右されず安定したRaを維持することが可能です。
  • 自生作用の最適化: 固定位置での研磨は熱を持ちやすいですが、目詰まりを抑えながら常に新しい砥粒が顔を出す「自生作用」により、安定した切れ味が持続します。
ユニベックス プレスドホイールNLC
ユニベックス プレスドホイールNLC

結論:「粗さ」への執念が、品質を支える

「平面度は不要、欲しいのは滑らかさだけ」。 この一見シンプルでいて、非常にシビアな要求に対し、マイポックスは「0°/90°転回」という特殊工程の特性を深く理解した最適なソリューションを提供します。
現場で磨き上げられた技術は、世界のステアリング研磨品質のスタンダードを目指します。


No,394