研磨プロセスにおいて、研削力と耐久性は相反するニーズであり、これらを両立させるためには過酷な使用環境に耐えうる高度な材料設計が求められます。当社の海外セールス課とエンジニアリング部門はワンチームとなり、「高温多湿な海外市場に最適化した、ラテックス耐水研磨紙」の新規開発プロジェクトを推進しています。

先日、海外のパートナー様をマイポックス福山事業所へお招きし、研究ラボにて立ち合いテストを実施いたしました。本稿では、福山事業所で行われた立ち合いテストの検証プロセスと、当社の研究ラボが提供する「共同開発体制」の技術的メリットについて解説します。

目次

  1. 1. 当社研究ラボで行う「立ち合いテスト」の目的と必要性
  2. 2. 実証プロセスの実際:ラテックス耐水研磨紙の共同検証事例
  3. 3. 当社の研究開発プラットフォームが提供する2つの価値
  4. 4. 今後の展開
  5. まとめ

1. 当社研究ラボで行う「立ち合いテスト」の目的と必要性

一般的に、海外市場向けの研磨製品開発やカスタマイズにおいては、日本国内の開発部門と海外の現地ユーザーとの間に大きな物理的・時間的距離が存在します。この距離感は、数ヶ月単位の時間的ロスが発生するだけでなく、作業者が重視する「削り心地の微妙な硬さ」「被削材との相性での目詰まり感」といった、言語化・数値化しにくいアナログな定性評価のズレにつながり、お客様のニーズに正確に応え、修正することは極めて困難でした。

福山事業所内にある研究ラボは、こうした距離と時間の壁を排し、海外のパートナー様やユーザー様を直接ラボにお迎えして、立ち合いテストを通じてリアルタイムで評価と処方変更を繰り返すことが可能となっています。

2. 実証プロセスの実際:ラテックス耐水研磨紙の共同検証事例

先日実施された海外のパートナー様との立ち合いテストでは、事前の詳細な要件すり合わせから製造ラインの視察までを実施しました。さらに、ラボでの実証実験を通じて即時改良を行いながらお客様の求める研磨紙を追求し、今後の明確な方向性をまとめることができました。

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事前の仕様決定とサンプル・ワークの調製立ち合いテストを効率化するため、事前にお客様と当日実施する実験内容や評価軸について詳細に合意形成を行いました。今回は、現地から実際に研磨で使用する「自動車用パテやプライマー」などの実被削材(ワーク)を福山へ手配。マイポックス側では、あらかじめ粒度、基材、防水コーティング処方(トップコート)などのパラメータを変えた多様なプロトタイプを調製し、実験に向けた準備を完了させました。
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ラボにおける評価と迅速な代替案の提示立ち合いテストでは、お客様の技術担当者様が製品を実際に水に濡らし、用意された被削材に対して手研ぎ評価を行いました。テスト中、お客様より「初期の研削力は非常に優秀であるが、研磨開始から一定時間が経過した段階での砥粒の脱落が気になる。より高耐久な仕様が望ましい」というフィードバックをいただきました。この評価に対し、エンジニアリング部門は別用途向けに開発・蓄積していた技術を応用し、耐久性に特化した既存のプロトタイプを代替案としてその場で提示いたしました。結果的に、「砂落ちが抑制され、耐久性と高い研削力の双方が両立できている」と極めて高い評価をいただくこととなりました。
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ラボにおける技術アプローチと次期仕様の特定幾度ものディスカッションと、ラボ内にある試作サンプル群を用いた評価をその場で繰り返すことにより、次期プロトタイプの目指すべき仕様を特定しました。さらに検証精度を高めるための「N増しサンプルの追加提供」のご依頼をいただくなど、極めて速いスピード感で具体的なプロセスが進展しました。

3. 当社の研究開発プラットフォームが提供する2つの価値

当社はカスタマーサクセス(お客様の成功)を目標に掲げており、お客様の目線から問題を解決いたします。当社の研究ラボは、単に自社製品の基礎研究を行う場にとどまりません。研磨材の製造現場という強みを生かし、熟知したエンジニアリングを提案できる環境のもと、立ち合いテストを通じてお客様と共同でより良い製品を開発しています。立ち合いテストをご利用いただくことで、お客様には以下のメリットを提供いたします。

① 営業とエンジニアリングの共同体制マイポックスの強みは、セールスとエンジニアリングが一体となり、お客様のお悩みを解決することです。国内外問わずお客様とエンジニアリング、セールスがそれぞれ綿密に情報を共有する環境を大切にしており、ラボ内に現地の環境を高度に再現した検証環境を整え、ニーズの言語化における誤差を最小限に抑えることができます。
②「感覚」の即時対応「もう少し柔らかいペーパーがいい」「研磨した時の抵抗感の少なさ」といった数値化が困難な感覚的フィードバックを、エンジニアリングがヒアリングすることによって、その場で技術的に提案を行うことができます。

4. 今後の展開

今回、共同テストを重ねたラテックス耐水研磨紙は試作段階にありますが、立ち合いテストで合意された仕様をベースに、今後は現地でのサンプルテストへと移行します。このように、マイポックスではプロトタイプのすり合わせから量産化に向けたステップまで、一貫してスピーディーな並走支援を行います。

素材の進化や品質基準の多様化など、研磨に関する技術要件は絶えず変化を続けています。マイポックスはこれからも「海外セールス課」と「エンジニアリング部門」が密接に連携し、福山事業所研究ラボをオープンな検証拠点として、世界中のものづくりの課題解決に貢献してまいります。

まとめ

福山事業所研究ラボでの立ち合いテストは、距離と時間の壁を越え、お客様の感覚的なフィードバックをその場で技術提案に変える取り組みです。営業とエンジニアリングが一体となった体制のもと、マイポックスは今後もお客様とともに、より良い研磨製品づくりを追求してまいります。


記事No,526